こんにちは。managonです。

今回レビューする『メカねこと空気入れ』。編集部にいる猫好きのスタッフに紹介されました。

初めてタイトルを見たときは、メカねこの方に注目してしましたが、読み進めていくと空気入れで表現されている、やさしく、さみしげな世界に惹かれていきました。この独特の世界観はいい意味で想像を裏切ってくれます。

メカねこと空気入れメカねこと空気入れ
著者:針とら
(2013-01-20)
販売元:Amazon Services International, Inc.
「ぼくは猫が欲しかったんだよ」
「猫だよ」ペットショップのおじさんは、にっこり笑ってそう答えた。「メカ猫だ」
「メカじゃない猫が欲しかったんだよ」


右前脚には破壊力抜群のロケットランチャー。左前脚には失神確定のパンチンググローブ。
機械でできたメカねこは、さびしがりやの少年・大輝のために、人間は不完全なものを可愛いと思う性質があると調べあげ、よりよいこけ方の練習をはじめた!

風船だらけのおかしな世界の、少年たちと猫とカラスのお話。

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文庫本換算:40ページ

メカねこは思う


この小説は、ネコ視点で描かれています。
メカねこが考えるのは、常に飼い主の大輝殿のこと。メカねこの大輝殿への思いが読者のこころにささります。

しかし、そんなメカねこの気持ちを慮ることのできない小学五年生の大輝殿。
「本当のネコがほしかった」と厳しい言葉をかけます。

かわいそうなメカねこ。

しかし、メカねこは本当のネコとは異なり、高度な演算処理能力がありました。
メカねこは、大輝殿の愛情を受けることができるのか、メカねこの挑戦が始まります。

街中のみんなが風船という設定


小学五年生の大輝殿の一日は空気入れから始まる。<<中略>>愛用のT字型空気入れを手にとり、寝ぼけまなこをこすりながら、ご家族の空気を入れにかかる。

ここの部分で、完全に本の世界にひきこまれました。なぜ家族全員が風船なのか、なぜ小学五年生が空気をいれる必要があるのか?

よくわからない疑問がふつふつと湧いてきます。風船は、話せないのかなと想像すると、普通にしゃべる!

毎日家族に空気を入れている大輝殿の腕前はなかなかのもので、風船の奥様方から高評価を得られます。

そんな彼に隣町の亮太が勝負を挑み、街中の人々から空気を抜いてまわります。
空気をいれる大輝殿、空気を抜く亮太。二人の静かな戦いが始まります。

なぜそんな勝負をするのか?と疑問に思うかもしれません。
大人には理解されない勝負であっても、子供には子供の哲学があり、地域や街の人への愛情がありました。

同じ愛情を抱えているのに、方法が違いぶつかる二人。実社会でも見られる光景です。

クライマックスの戦闘シーン


最後は、読者の期待通りというか、激しい戦闘シーンが始まります。

大輝殿の命を守るため、必殺技を駆使して、メカねこが大暴れしてくれます。
ここは期待を裏切らない戦いをしてくれます。

がんばれメカねこ~。

ぜひ続編を


文庫本換算で40ページと文字量は少なく30分程度で読める本ですが、
冒頭にも記載したとおり独特の世界観が魅力で、読了後は、ほんわかとした気持ちに包まれます。

しかし、そもそもなぜ家族が風船なのかなど、いくつかの謎が残されたままになっています。
その謎の秘密を明らかにして欲しいです。著者には続編の出版を期待しています。


先の読めない度
★★★★☆(4)
メカねこのメカニック度
★★★☆☆(3)
大輝殿と亮太の友情
★★★★★(5)
総合
★★★☆☆(3)

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