こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介するのは、あの『LIAR GAME』を彷彿とさせるルール設定とゲーム展開が味わえるミステリです。さらに、作中において『ローレンス事件』なる都市伝説も登場するので、古典ミステリファンは必見!

Point Kill G
夏居暑
夏居暑
2013-07-07


はじめに「ポイント・キル」というオンライン推理ゲームがあった。

しかし、時代の変遷と共にゲームは廃れ、このゲームをフォーマットにギャンブルの要素を追加した違法ギャンブル推理ゲーム「ポイント・キルG」に新たに生まれ変わった。

「ポイント・キルG」は、500万円を軍資金に闘うこと以外は、ルールもほとんどオンラインゲームを継承していた。Aグループ、Bグループ、犯人と3つに分けられ、移動と会話のみが情報源という縛りの中でゲームは行われる。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

読みごたえのある『コン・ゲーム』小説


本書『Point Kill G』は、離島の屋敷に集った男女たちが、賭け金の総取りを目指して、違法な"コンフィデンス(騙し合い)ゲーム"を繰り広げる、ミステリ長編です。

大金を獲得するために、参加者同士が裏切りと騙し合いを繰り返す――そのゲームの名前は『金掛島殺人事件』といいます。

もとは無害なオンラインゲームだったのに、悪意ある存在によって現実世界で再現される――いわば『LIAR GAME』と『BTOOOM!』を足したものを小説に仕上げた感じです。

参加資格


あらかじめ主催者から招待された者で、かつ500万円を用意できた者。参加料は100万円で、残りの400万円がゲーム開始時点の保有ポイントになります。

Killシステムとは何か?


犯人は、いくつかある個室において、2人きりになった場合に限り、参加者を『Kill』できます。本当に殺害するわけではなく、ゲームから退場させるという意味です。

Killが成功したあかつきには、犯人は相手のポイントを50%獲得できます。残りの50%は、ほかの生存者に分配される仕組みです。

ちなみに、暴力(本当の殺害も含む)は禁止です。違反した参加者は、即失格。所有ポイントは剥奪されて、残りのメンバーに分配されます。

ルール概要&ゲーム終了の条件


48時間が経過すること。もしくは、犯人が特定されること。

参加者たちは、2時間ごとに部屋を移動しなければいけません。『運動会のフォークダンス』のごときシステムであり、犯人と思しき人物と2人きりにならぬよう、注意する必要があります。

犯人指名は『参加者2名以上』が合意しなければ実行できません。正解すればゲームは終了。犯人が所有しているポイントを総取りできます。

ただし、間違えてしまった場合には、指名に関わった参加者の行動は制限されてしまいます。こうなると、犯人にとってはカモネギ状態であり、真っ先に『Kill』される末路をたどります。

8名の参加者たち


招待状が発送された時点で、8名の参加者は『A・B・C』の3つのグループに振り分けられています。もちろん、本人のみに知らされる情報です。

Aグループ 5名


嘘をついてはいけない。ゲームを監視している運営者によって嘘が認定されたら失格。すべてを失う。

Bグループ 2名


かならず嘘をつかなければいけない。ただし、24時間につき1度ずつ。それ以上の嘘は、違反行為とみなされて失格。すべてを失う。

Cグループ 1名


犯人。嘘の回数に制限は無い。ただし、48時間以内にかならず『2名以上をKill』しなければならない。達成できなければ失格。すべてを失う。

人が死なない純粋知的ゲーム


犯人は、Killした分だけポイント(現金)が手に入ります。参加者が減っていくほどにリスクは増えますが、ゲーム終了後に得られる金額は多くなります。

いっぽう、A&Bグループの参加者にとっては、自分以外の誰かが殺されることで労せずしてポイント分配を受けられるので、他人を裏切ったり陥れたりするモチベーションが高まります。

つまり、たくさんKillさせたあとに犯人を指名したほうが獲得できる金額は多くなるという、悪魔的なシステムです。

参加者のほとんどが家計破綻者であり、このゲームを勝ち抜くことによって人生をやり直そうと目論んでいます。参加費用の500万円を工面すべく、高利の借金に手を出した参加者もいるほどです。

不可解なゲーム進行にこそヒントがある


このゲームは本来、8名の参加者で行われるべきものですが――開始直前になって、1名が欠員します。

にもかかわらず、運営側の判断によって、残りの7名だけでゲームが断行されてしまうのです。ルール遵守こそが根幹である『Point Kill G』というゲームにおいて、それをあえて無視するという暴挙にでた『運営』の思惑とは?

そもそも、これは正式な運営者によって開催されたゲームなのか? じつをいうと、この欠員は、終盤において大きな驚愕をもたらす伏線なのですが――読めばわかる!

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • Point Kill G
  • 著者:夏居暑
  • 価格:295円
  • 読了にかかる時間:約3.5時間(個人差があります)
「知的ゲーム」度
★★★★☆(4)
「よくできた作品」度
★★★★☆(4)
「結末が超展開」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


夏居暑さん。『なついあつ』と読みます。ダジャレですね。たしかに、今年の『暑』は『夏』い。


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