こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介するのは、アダルトショップの日常を描いた短編小説です。

うしろめたい気持ちを抱えながら、店内を徘徊する男性客たち――彼らが繰り広げる心理戦のくだりを読めば、ニヤニヤ&共感すること間違いなし!

シャンバラの住人
八幡謙介
八幡謙介
2013-08-06


アダルトDVDショップ<宇宙書房シャンバラ>の客と店員がおりなす人間ドラマを描いた異色の心理小説。抱腹絶倒のエロティック・コメディ!

*本作はアダルトDVDショップを舞台にしたコメディです。官能小説の類いではありません。
*性的な表現は比較的抑えてあるので、女性でも楽しめます。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

あらすじ


宇宙書房シャンバラ』という店が登場します。出版社ではなく、一般的にいう書店でもない。それは、寂れた国道沿いでひときわ光彩を放つ『アダルトDVDショップ』なのです。

本書『シャンバラの住人』は、アダルトショップにおける暗黙のルールや、『称号』を与えられたベテラン常連客たちの生態が描かれています。

ユニークな掟の数々


『半身の礼』(はんみ - の - れい)
『宇宙書房シャンバラ』は、膨大な商品数を実現しているため、棚数を優先するあまり、どうしても通路が狭い。誰かが通行する際は、各々が自発的に棚に身を寄せることで、快適なショッピング環境を実現している。

『一人一棚の原則』(ワンマン・シェラフ)
誰かが商品を吟味しているときは、隣りに近づいてはならない。特に、同じ棚にある商品を眺めようとするなど『宇宙書房シャンバラ』においては、けっして許されない。

このほかにも『無言の圧迫(プレッシャー)』や『静かなる進入(スリップストリーム)』など、アダルトショップ店における男性客の行動パターンを、ズバリ的確に言語化しているのが見事です。

皇帝の生き様


黒ずくめの服を着た男。シャンバラの店員や常連客から『漆黒の皇帝(ダークエンペラー)』と呼ばれるその人物が、とあるジャンルのDVDを購入しにやってきます。ただならぬこだわりの持ち主です。

そもそも、芸術とは何か? それは芸術家が目に留め、その栄養を認め、格闘し、調理し、咀嚼した後の残滓、つまり芸術家の排泄物であり、ピー ではないか?

その生みの行為――正しくは ピー 行為と言うべきか――は、必ずえもいわれぬ臭気を伴い、さらにある種の苦しみと、出し切った後の爽快感まで同じときている! なぜ世界はこの一点をいつまでも認めぬのか?

※註 引用の一部は、編集部の判断により伏せ字表現にしました

誰がうまいこと言えと(ry ――さすが『漆黒の皇帝』なんて呼ばれるだけのことはありますね。

これほどまでに ピー の映像を愛している彼を、責めることなど出来ません。どうぞ気の済むまで、女優が ピー を裸体に塗りたくっているDVDで興奮しちゃってください。

繰り広げられるオトコたちの心理戦


『宇宙書房シャンバラ』――Shambhalaとは、サンスクリット語で『伝説上の理想郷』を示す言葉ですが、本書においては『聖域(サンクチュアリ)』のような意味で使用されています。

まさに "オトコの聖域" における男性客のココロの襞(ひだ)を丁寧にスケッチした意欲作です。本書は、30分もかからずに読み終えてしまうボリュームなので、ぜひとも続編を期待しています。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • シャンバラの住人
  • 著者:八幡謙介
  • 価格:150円
  • 読了にかかる時間:約30分(個人差があります)
「ユーモア」度
★★★★☆(4)
「なるべくジーンズで行く」度
★★★★☆(4)
「のれんの外に出るときが怖い」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


八幡謙介さん(@kensukeyahata)。『やはた・けんすけ』と読みます。ギター講師、作家。バークリー音楽大学に通っていたという経歴の持ち主です。


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