こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

できれば、読み始めるまえに、Deep Purple『Burn』をいちど聴いてみるといいかもしれません。

作中、何度も登場して、かたくなに『紫の炎』という表記で通されたハードロック史上に燦然と輝く名曲は、著者のテクニカルでメロディアスな筆致によって脳内再生余裕でした。

440Hz -1978-
澤 俊之
Goriath Publishing
2013-08-18


物語は1978年4月の海洋大学入学式から始まります。
幼馴染と共に進学。初めての下宿生活。

日本人冒険家の北極圏到達、新東京国際空港の開港など、
日本が世界へと拓いていく時代背景の中、様々な出会いと経験によって、
青年はギターと共に成長して行きます。

本作は、長編ギター小説「440Hz」の続編に位置します。
続編ではありますが、本編未読でも問題ございません。
むしろ時系列で考えると、本作から入って頂くのも良いかと存じます。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

あらすじ


1978年。舞台は、静岡のとある海洋大学の音楽部。大学文化祭のライブ中に起きた事件によって、ふたりの男子学生のあいだに決定的なすれちがいが生じる。

ひとりは、新入生でありながらすでにギターヒーローの風格を備えたキサラギ。もうひとりは、播州弁が抜け切らない、ヒマさえあればくたびれたストラトで『紫の炎』のイントロを何度も掻き鳴らしているリッチー。

青春時代を題材にしていながら、色恋沙汰が全くないのがすばらしい。硬派な男子ほど、じつは繊細な心を持っていることを、うまく表現した長編小説です。

あの事件の真実


前作『440Hz』で登場した リッチーことムトウトシカズ が主人公をつとめています。

根っからのギター少年であり、リッチー・ブラックモアを尊敬しており、本名が『利一』だからリッチー。わかりやすいでしょ?

前作において、リッチーというキャラクターは、やや陰湿な脇役として描かれていました。当然、読者たるわたしも、リッチーを『許しがたい人物』と思っていました。

しかし、それは作者が巧妙に仕掛けた錯誤だったのです。本書においては、まったく印象が異なるリッチーの素顔を垣間見ることができます。

死ぬかと思った(食欲を刺激されすぎて)


基本的にはギターや音楽を題材とした青春小説なのですが、本書『440Hz -1978-』は、静岡ご当地グルメ小説でもあります。

たとえば、静岡名物黒はんぺんや黒おでんをはじめ、だし焼きそば、それらにふりかける魔法の粉、半熟具合が好きなリッチーは固ゆで卵にいらだちを覚えつつ、天然ウナギの鰻丼うな重をむさぼり、バイト先の歓迎会では女店長によって桜えびのかき揚げを饗されます。

本書全体の85%まで読み進んだあたりで、寄せては返す波のように押しよせてくる食欲に打ち勝てなくなり、いったん読書を中断せざるをえませんでした。

このあと、ふたたび食事描写がでてきたら死んでしまう――いま思えば、あたかも雪山登攀におけるビバークのごとき決断でした。

そのあと、ストックしてあったカップラーメンを食べることで人心地をつけてから、ようやく読書を再開することができましたが……案の定、物語終盤だというのに、佃煮やイカの塩辛、あげくのはてにはキュウリの浅漬けで2合の白い飯をむさぼるなどというけしからんシーンが登場しやがりくださいました。

まさに、間一髪。あのまま空腹状態で読み進めていたら、胃酸の過剰分泌によってポンポン・メルトダウンを起こしていたかもしれません。狂おしいまでに食欲を誘発するという一点において、本書は、ネクロノミコンやドグラマグラ並に危険な書物だともいえます。

シリーズ中、最重要作品


書評担当の立場としては、前作を読んでいなくても楽しめます的なことを書き添えたいところですが、あえて申し上げたい。『なにも考えずに第1作目をポチれ』と。

なぜなら本書は、悪役として描かれていた人物の真意をクローズアップした物語だからです。中盤以降のカタルシスを味わいたければ、本書『440Hz -1978-』を手に取る前に、ぜひとも第1作目である『440Hz』に目を通すことを強く推奨します。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • 440Hz -1978-
  • 著者:澤 俊之
  • 価格:299円
  • 読了にかかる時間:約3時間(個人差があります)
「眼で音楽を聴く体験」度
★★★★★(5)
「グルメ小説」度
★★★★★(5)
「女店長外伝マダー?(・∀・)」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★★(5)



著者について


澤俊之さん(@Goriath_Publish)。『さわ・としゆき』と読みます。静岡県出身。好きなアーティスト:リッチー・コッツェン。愛用ギターはIbanezeのJ-Custom、型番不明のPeavyテレキャスなど。


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440Hz
澤 俊之
Goriath Publishing
2012-11-28


レビュー有り
不登校少年の『440Hz』ギター主義者は青春を奏でる



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コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. Chandra
    • 2020年11月24日 07:06
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