こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介するのは、伝奇小説です。望まずして『人ならざる者』へと変容してしまった主人公が、苦悩と愛と悲しみを乗り越えて、新しい人生を切り開いていきます。

LeLeLaLeLeLa [Kindle版]
宇佐美ダイ (著)
出版: マイカ (2013/3/18)

渋谷の喫茶店『スピード』店長で、身長185センチ、握力は100キロを超える北島は頭の中に響き渡る“声”に悩まされていた。

狂気の男に襲われる女を助けた北島は、そこで心の力を形にする不思議な力『LeLeLa』に目覚める。

空中に浮かび、信じられない速度で移動する吸血鬼たちは、社会の中に紛れ込み、不可解な殺人事件を起して世界をパニックに陥れようとしていた。

凄まじい拳と想いが炸裂する伝奇アクション登場!

※製品版は、タテ書きです。

あらすじ


裏切られた……もてあそばれた……独身って言ってたのに……殺してやりたい……

主人公である洋平は――夜な夜な、下の階から漏れ聞こえてくる、若い女の怨嗟の声に悩まされていました。

それから数日後。女の悲鳴を聞いた洋平が、階下にある部屋に飛び込んでいくと、まさに修羅場が繰り広げられていたのです。

男が、女のことをナイフで殺そうとしている――非があるほうは明らかだと思いきや、実情は驚くべきものでした。

修羅場の真相


あの女は化け物だ。怪物だ。おれの女房も子どもも死んだ。あの女のせいだ

じつは、女は特殊な能力をもっており、相手の心身を操ることができるのです。弄ばれた意趣返しに、不倫男の精神を操って、彼自身の手で家族を惨殺させました。

洋平を悩ませていた怨嗟の声こそが、女の念能力でした。不倫男が仕返しに来ることを予期して、盾にする目的で、上階に住んでいた洋平へ向けて思念を送っていたのです。

しかし、この能力には、彼女自身も気がついていない副作用がありました。それこそが『LeLeLa』の発現です。

LeLeLa(レレラ)とは何か?


本編においては、ズバリ『ジョジョのスタンド能力のようなもの』と説明されています。『LeLeLa』は、新人類のみが持ちうる能力です。つまり、女の思念には、ヒトを新人類へと進化させる作用もあるわけです。

新人類は、従来のヒトに比べて卓越した能力を示しますが、本質的には『吸血鬼』であり『食人鬼』です。

当然のことながら、女の思念を受けている不倫男も新人類――食人鬼と化しました。元来ロクデナシだった不倫男は、人間離れしたその能力を喜んで受け入れ、ヒトの世界を支配しようと目論みます。

感想


本書をひとことで言いあらわすならば、望まずして新人類に進化してしまった者たちの主導権争いです。

食人鬼と化した不倫男が仲間を増やしていく描写、グッドタイミングで登場する新キャラクター、スピーディーで飽きさせない物語進行など、毛色の変わったおもしろいVシネマのような読後感でした。

ただし若干、表現や展開にケレン味が効きすぎているので、ヤングアダルト系――10代の読者向けかもしれません。それ以上の年齢になると、読んでいて照れくさい気持ちになるかも。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • LeLeLa
  • 著者:宇佐美ダイ
  • 価格:300円
  • 読了にかかる時間:約2.5時間(個人差があります)
「伝奇」度
★★★★☆(4)
「ヴァンパイア」度
★★★★☆(4)
「愛が勝つ」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


宇佐美ダイさん(@daiusami)。『うさみ・だい』と読みます。元カメラマン。


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