こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介するのは、千葉県を超リスペクトした独立シミュレーション小説です。

機密符牒機密符牒 [Kindle版]
敦音尚之 (著)
出版: 敦音尚之; 2版 (2013/1/12)

2007年1月1日、低迷を続ける日本に対し突如千葉県が独立を宣言、県境を全て封鎖した。

政府は未曾有の出来事に対処できず、首都圏はパニックに陥る。

従来の平和憲法に縛られない独自の軍隊を所持した千葉の狙いは何か、それを明らかにすべくジャーナリスト笛崎亮介は単身故郷千葉へと足を踏み入れる。彼が見た独立国、千葉の驚くべき真実とは?

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

あらすじ


21世紀初頭。ある年の元旦。突如として、元俳優である麦田晋作知事が千葉県の独立を宣言しました。

同日、安徳天皇の末裔を自称する少女……アヤコ新皇を元首とした主権国家『千葉公国』が誕生します。

本書『機密符牒』は、ルポタージュ形式のSF小説です。

とあるジャーナリストが、独立後の千葉公国を取材することを許され、じつは周到に用意されていた驚くべき軍事・産業・インフラなどの実態が明らかになっていきます。

独立国家の3条件


国際法(1933年に締結されたモンテビデオ条約)によれば、次の4つの要件を満たせば、ある集団を主権国家と見なせるそうです。

・定住する国民
・明確な領域
・実効的な統治機構
・外交能力

千葉公国は、まず台湾(中華民国)と国交樹立を果たします。外交能力の証明です。

軍事力は、千葉県内における『習志野第一空挺団』をはじめとする自衛隊の精鋭を国防軍へと転換。

F22ラプターと同等の航空装備、スターリングエンジン搭載の新型潜水艦、ガスタービンに換装した戦艦三笠の復役など――。

ひそかに開発していた数々の新型兵器は、ロシアの領空侵犯機を撃墜するだけに留まらず、中国やアメリカすらも牽制するほどでした。

脱北者ならぬ "脱千葉"者が続出!?……


県境あたりを流れる江戸川は、千葉公国河川軍によって完全封鎖されていました。あるとき、意図せずに国境を侵犯してしまった『矢切の渡し』の小舟が、砲撃を受けて撃沈する事件も発生します。

そして、中国の金盾(グレート・ファイアウォール)のごとく、インターネットも分断された千葉公国。この突如としてあらわれた閉鎖的な軍事独裁国家にまつわる、数々の不穏なウワサがささやかれます。

いわく『食糧不足により大量の餓死者が発生している』や『反乱分子が強制収容所に送られたのち大量粛清された』など。はたして、その真相は……。

感想


首都東京に隣接している自治体であり、人口600万人を擁し、愉快なネズミ男がいるにもかかわらず、ともすれば埼玉同様の扱いをされがち。

しかしながら、千葉県は日本有数の農林水産県であり、さらには巨大な港湾施設と重化学工場、空港、京葉工業地帯をも有している、大いなる潜在力を秘めた地域でもあります。

本書は、独立シミュレーション小説という体裁をとることによって、『千葉県』に対しての過小評価を払拭する内容に仕上がっています。

情報を羅列しすぎな印象を受けつつも『よくもここまで千葉県の可能性について考察したものだなあ』と、誰もが感嘆するであろう仕上がりです。

そして、単なる『千葉県イジリ』の小説かと思いきや……。用意されている結末は、意外なほどシリアスです。やや冗長な中盤あたりを読み飛ばしてでも、ラストまで読む価値があります!

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • 機密符牒
  • 著者:敦音尚之
  • 価格:100円
  • 読了にかかる時間:約2.5時間(個人差があります)
「奇想天外」度
★★★★☆(4)
「設定マニア」度
★★★★☆(4)
「マリーンズは不戦勝で優勝ってこと?」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


敦音尚之さん。『あつね・なおゆき』と読みます。以前、当ブログでレビューした『村まつり』の作者です。

ベタなドラマツルギーをあえて避けるタイプの作家かと思いきや、本書『機密符牒』では、そうとは限らない一面を見せています。

村まつり村まつり [Kindle版]
敦音尚之 (著)
出版: 敦音尚之; 1版 (2013/1/21)

レビュー有り
玄人好みのホラー小説「村まつり」 行きはよいよい帰りはこわい



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