こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・小学3年生の女児霊能力者
・七不思議妖怪たちをドS精神でイジり倒す
・終盤には、思いがけずイイ話になる
本書『神楽坂白猫の台無し怪異事件簿』の主人公・神楽坂白猫ちゃんは、おませです。
いまどき おませ って言いませんよね、ほとんど。白猫ちゃんは、小学3年生の下ネタ大好きな女の子です。ちなみに病院坂黒猫ではありません。神楽坂白猫です。
彼女は、おませなだけでなく霊能力者です。能力と暇をもて余して、学校の七不思議を求めて現場を訪れます。
たとえば━━お便所の花子さんをイジメ倒し、理科実験室における生きた人体模型の陰部 金将をギュッと握りしめ、生きた二宮金次郎像を小型化してペット扱いするなど、おませで傍若無人な活躍が繰り広げられています。
連作短編であり、前半から中盤にかけては、妖怪を妖怪とも思わない白猫ちゃんの一方的な生意気トークで占められています。
そして、終盤の2話である『冥界の階段』や『四十九日』にさしかかると、急に物語らしい佇まいになります。読後には、ほどよい満足感を得ることができました。終わりよければ、すべて良し。
水月さなぎさん(@sanaginovel)。『みつき・さなぎ』と読みます。
くわしいプロフィールは明らかではないものの、ググってみたところ『小説家になろう』アカウントを確認できました。水月さんは、いわゆるなろう作家です。
こちらのページでは、長編や短編をふくむ15タイトル以上が公開されており、現在でも読むことができます。
時は、2012年10月末。日本版KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)が開始したとき、真っ先に思い浮かんだことがあります。
Kindleストアが、なろう作家たちの自作小説によって溢れかえるだろう━━という予測です。公称によれば、小説家になろうには20万タイトルが登録されています。これらの一部がどっと押し寄せる、そう考えていました。
しかし、2014年2月現在。Kindleストアにおいて、なろう作家を見かけることは稀であり、せいぜい多くても30名にも満たないであろうというのが実感です。
KDP版を発表後、あらためて祥伝社から『黎明の笛』を上梓することになった数多久遠さん。なろうに『日本海クライシス2012』という小説を掲載していたことがあるそうです。
ほかにも。きうりさんの『光速文芸部』、青井由さんの『夜の半分』などは、元をたどれば小説家になろうで掲載していた作品です。ただし。いずれの作品も、なろうにおいて主流を占める作風とは異なります。伝統的な小説作法に則った小説です。
一方で、今回ご紹介した『神楽坂白猫の台無し怪異事件簿』の著者である水月さなぎさんは、まさに小説家になろうを象徴するような作風であるという印象です。
じつに『なろう』的━━独白体というよりも独り言に近い、あるいは中学や高校の教室内において回し読みで楽しむ創作ノートのような、決してチープではないけれど間延びしがちな、あえて言うならば緊張を伴わない読書体験ができたので、嬉しくなった次第です。
「こういうのでいいんだ、おれなんかが時間をつぶすには、こういうので十分なんだ」みたいな。B級グルメならではの心地よさとでも申しましょうか。
『小説家になろう』的━━商業出版物のような緻密なフォーマットに基づいたものではなく、ゆるい、肩肘張らない姿勢でもって生み出されたフィクションが、Kindleストアにもっと増えればいいな。そう思っています。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
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つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・小学3年生の女児霊能力者
・七不思議妖怪たちをドS精神でイジり倒す
・終盤には、思いがけずイイ話になる
神楽坂白猫の台無し怪異事件簿 [Kindle版]
水月さなぎ (著)
出版: BookSpace (2013/12/9)
神楽坂白猫はなんちゃって霊能力を有している小学三年生。
白猫の通う学校にいくつかの怪談があり、それを次々と解決していくお話です。笑いあり、涙あり(多分)、セクハラあり、ラブありのてんこもりでお送りします。
第一話 お便所の花子さん
第二話 理科室のもっくん
第三話 動く金ちゃん
第四話 もにゃ・りざの眼
第五話 大鏡の蛇
第六話 プールの変態
第七話 冥界の階段
第八話 四十九日
※製品版は、ヨコ書きです。
おませな霊能力女児
本書『神楽坂白猫の台無し怪異事件簿』の主人公・神楽坂白猫ちゃんは、おませです。
いまどき おませ って言いませんよね、ほとんど。白猫ちゃんは、小学3年生の下ネタ大好きな女の子です。ちなみに病院坂黒猫ではありません。神楽坂白猫です。
彼女は、おませなだけでなく霊能力者です。能力と暇をもて余して、学校の七不思議を求めて現場を訪れます。
たとえば━━お便所の花子さんをイジメ倒し、理科実験室における生きた人体模型の
連作短編であり、前半から中盤にかけては、妖怪を妖怪とも思わない白猫ちゃんの一方的な生意気トークで占められています。
そして、終盤の2話である『冥界の階段』や『四十九日』にさしかかると、急に物語らしい佇まいになります。読後には、ほどよい満足感を得ることができました。終わりよければ、すべて良し。
著者について
水月さなぎさん(@sanaginovel)。『みつき・さなぎ』と読みます。
くわしいプロフィールは明らかではないものの、ググってみたところ『小説家になろう』アカウントを確認できました。水月さんは、いわゆるなろう作家です。
こちらのページでは、長編や短編をふくむ15タイトル以上が公開されており、現在でも読むことができます。
KDPと小説家になろう
時は、2012年10月末。日本版KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)が開始したとき、真っ先に思い浮かんだことがあります。
Kindleストアが、なろう作家たちの自作小説によって溢れかえるだろう━━という予測です。公称によれば、小説家になろうには20万タイトルが登録されています。これらの一部がどっと押し寄せる、そう考えていました。
しかし、2014年2月現在。Kindleストアにおいて、なろう作家を見かけることは稀であり、せいぜい多くても30名にも満たないであろうというのが実感です。
たとえば
KDP版を発表後、あらためて祥伝社から『黎明の笛』を上梓することになった数多久遠さん。なろうに『日本海クライシス2012』という小説を掲載していたことがあるそうです。
ほかにも。きうりさんの『光速文芸部』、青井由さんの『夜の半分』などは、元をたどれば小説家になろうで掲載していた作品です。ただし。いずれの作品も、なろうにおいて主流を占める作風とは異なります。伝統的な小説作法に則った小説です。
一方で、今回ご紹介した『神楽坂白猫の台無し怪異事件簿』の著者である水月さなぎさんは、まさに小説家になろうを象徴するような作風であるという印象です。
なろう出身作家が増えてほしい
じつに『なろう』的━━独白体というよりも独り言に近い、あるいは中学や高校の教室内において回し読みで楽しむ創作ノートのような、決してチープではないけれど間延びしがちな、あえて言うならば緊張を伴わない読書体験ができたので、嬉しくなった次第です。
「こういうのでいいんだ、おれなんかが時間をつぶすには、こういうので十分なんだ」みたいな。B級グルメならではの心地よさとでも申しましょうか。
『小説家になろう』的━━商業出版物のような緻密なフォーマットに基づいたものではなく、ゆるい、肩肘張らない姿勢でもって生み出されたフィクションが、Kindleストアにもっと増えればいいな。そう思っています。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- 神楽坂白猫の台無し怪異事件簿
- 著者:水月さなぎ
- 価格:100円
- 読了にかかる時間:約1.5時間(個人差があります)
- 「キャラクターの魅力」度
- ★★★☆☆(3)
- 「物語」度
- ★★★☆☆(3)
- 「満足」度
- ★★★☆☆(3)
- 「総合」
- ★★★☆☆(3)
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