こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・私刑とは……法律にもとづかない暴力的な制裁
・『クワタ・マスミ』という女刑事が捜査する
・イジメっ子を狙った連続暴行殺人事件の真相とは?

通りすぎる夏の私刑通りすぎる夏の私刑 [Kindle版]
美都胃痛 (著)
出版: 美都胃痛; 1版 (2014/3/10)

夏の日………
私刑執行人がぼくの嫌いな人たちを次々に処刑していく。

ぼくじゃないんだ!
心の叫びは誰にも通じないのか?

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

はじめに、本書『通りすぎる夏の私刑』冒頭に記載されている文章を引用します。
何者かによって、物語内のインターネット掲示板に貼り付けられた『犯行予告』です。

主文


被告人ニノミヤ・トオルを死刑とする。

被告人サカタ・テツヤを死刑とする。

被告人トウドウ・ミノル、バンドウ・キョウコに肉体的苦痛をあたえるものとする。

被告人イワタ・ミドリには性的な苦痛をあたえるものとする。

通りすぎる夏の私刑』から引用。以下おなじ

あらすじ


高校3年生であるトモヒコは、イジメを受けている。

あるとき、トモヒコは送信者不明のメールを受信する。そのつど指定された場所へ行くたびに、イジメに加担したクラスメイトたちの無残な姿があった。

はじめは、性的暴行を受けたあとの女子生徒。2度目は、腹部をナイフで刺されてもがき苦しむ男子生徒たち。

3度目は━━首の動脈を切断されたあと正座姿勢のまま放置されているイジメ主犯格のクラスメイトの惨殺死体。その隣には、親身に相談にのってくれた担任教師の死体も並んでいた。猟奇殺人だった。

特に、3番目の事件は不可解をきわめていた。

メールで呼び出されたトモヒコが屋上に着いたとき。かんたんにドアを開けることができなかった。出入口ドアの向こう側にはダンボールが積んであったからだ。それを押しのけて、ようやくトモヒコは屋上に立ち入ることができた。

校舎は3階建てであり、屋上には行き場がない。完全ではないものの、この猟奇殺人はかぎりなく密室に近い状況にあった。

はじめて見る死体に、おもわず腰を抜かしてしまったイジメられっ子のトモヒコは、かけつけた警察官に連行される。凶器は見つからなかった。

無能な女刑事


本書『通りすぎる夏の私刑』における、もうひとりの主役をご紹介します。
若い女刑事の名前は、クワタ・マスミ。ミステリアスな探偵少年に協力をあおいで、事件の手がかりを次々と得ていきます。

探偵に頼りっぱなし=無能であるばかりでなく━━イジメられっ子・トモヒコを、生理的に嫌悪しています。

マスミの脳裏に、また、タケダ・トモヒコの顔が浮かんだ。あの時のおどおどした態度も思い出した。

キモい。

そんな言葉がつい口に出そうになる。

ひどい!(笑) ちなみに、この女刑事の存在は、本書における悲しくて救いのない真相の一要素です。

情況証拠がそろっていくなかで、新たな事件が発生します。取調室にいるトモヒコが真犯人であるならば絶対に起こりえない━━新たなイジメっ子殺人でした。

はたして、誰の仕業なのか? 動機は? 繰り返される『私刑』は、いったい誰が計画したのか?

感想


イジメ、復讐(ふくしゅう)、学園もの。序盤だけをながめるならば、さほど珍しくもないテーマのミステリです。

しかし、本書『通りすぎる夏の私刑』は、中盤以降からが本番です。
やや飛躍ぎみなストーリー展開ではあるものの、終盤においてサプライズが用意されています。

はじめ平凡・ラストでびっくり・救いのない残酷な真相。著者である美都胃痛さんの作風です。

たとえば『スウィート・ミルク・メモリー』という短編小説は、現役の暴力団員である「ぼく」が、少年時代の不思議な出来事について回想するミステリです。
読みはじめたときには退屈きわまりないと思いましたが、最後の数十行で思いがけない秘密が明かされます。平凡な出来事のなかにヒントが隠されており、2度読みしたくなる……というアレです。

本書『通りすぎる夏の私刑』は、悲しくて救いのないを含みます。いろいろな意味で、本書のノリは、港かなえ『告白』に似ていなくもない。

ウツ展開は上等! イヤ~な読後感のミステリ大好き! という読者だけにオススメする1冊です。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)


「残酷な真相」度
★★★★☆(4)
「意外な犯人」度
★★★★☆(4)
「満足」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)


著者について


美都胃痛さん(@mitiida)。『mitiida』と読みます。日本語読みが、わかりませんでした。ほかにもKindleストアで好評発売中です。

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コメント

コメント一覧

    • 1. 名無し
    • 2014年06月04日 06:17
    • こういうことを現実に行ってる人がいるんだよなぁ。
      いい迷惑大嫌い。
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