こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・少女の眼球採集をおこなう魔女がすんでいる女子校
・百合&ダークネス&ほろにがい青春ストーリー
・『おとボク』メインライターの書き下ろしライトノベル

少女義眼工学士・青のベルベット少女義眼工学士・青のベルベット [Kindle版]
嵩夜あや (著), たん (イラスト)

白草女学園には、ひとつの都市伝説が存在していた。 ――美しい、一人の女生徒の伝説。

早乙女朱紗(さおとめ・あがさ)はそんな白草女学園に入学して三ヶ月が経つ。迷い込んだ記念館と名付けられた謎の建物の中――一人の女性とに出逢う。

白衣をひらめかせて、まるで妖精のような美しい顔と、女優のような艶やかな黒髪をなびかせて。 彼女は、紫愛――「しあ」と、そう名乗った。
謎の上級生に出逢って、その運命が変わる――!?

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

女子校のふしぎな伝説


それは、美しい一人の女生徒の伝説━━。
彼女は、制服の上から白衣を羽織っていて。
彼女は、在学中にしか姿を見ることが出来なくて。
そして、彼女のことを見た者は、卒業するとそのことを忘れてしまうのだという。

少女義眼工学士・青のベルベット』から引用。以下おなじ

白草(しらくさ)女学園高校に入学したばかりの女子生徒・早乙女朱紗(さおとめ・あがさ)は、敷地内の広大な裏庭に迷いこみ、古めかしい洋館へとたどりつく。

伝説は、実在した。洋館には、白衣をまとった美しい女生徒が住みついていた。

生きたまま、少女の眼球を


井内紫愛(いうち・しあ)。はじめ、この学園の3年生を名乗っていたが━━じつは、とても長いあいだ生きている。すくなくとも、数十年以上は。もはや魔女だった。

白衣の魔女・紫愛(しあ)は、学園の女生徒たちの『眼球』を狩っていた。
ある切実な願いをかなえるために、少女たちから数えきれないほど奪い、かわりに『視力をもった義眼(ぎがん)』を与えた。

館に迷いこんでしまった朱紗(あがさ)は恐れおののくが、魔女がえらんだ生贄(いけにえ)は━━クラスメイトの嶋原みなとだった。

「━━私は、貴女の『生きた眼球』を片方、頂くわね」
(中略)
みなとの顔の上で、なにかを摘み上げるような指━━薬指と小指だけを曲げた━━形を作ると、一瞬だけ躊躇したけれど……。

ぐじゅり……がぼっ。

生きたまま片方の眼球をくりぬかれた━━かわりに『赤の義眼(ぎがん)』を埋めこまれた女生徒・みなとは、意外にも、翌日から登校することができた。

しかし、違和感があった。みなとは、恋人の心の声に悩まされはじめる。魔女から与えられし『赤の義眼』がもたらす作用だった。

失われたものを求めて


「レムリア人の本能は、総てを表象から読み取るという一点に集中していたの……洞察し、理解する。その能力を極限まで発達させた彼らには、そもそも言葉も理論も要らなかったのね。

だって、総てを読み取れば、それが本質的な『答』になってしまうのだから」

魔女が手がける『色とりどりの義眼』は、ヒトやモノの本質をとらえる能力をそなえています。

ある日とつぜん、すぐれた感覚を与えられてしまった思春期の少女は、自分の弱さと向かい合うことになります。乗りこえれば祝福を受けることができますが、そうでなければ永遠に苦しみ続けることに。

朱紗(あがさ)は、白衣の魔女に怒りをおぼえます。そして、義眼の作用に苦しんでいる友人を元にもどすため、いままで引っ込み思案だった人生の向こうがわへと踏み出します。

感想


「被験者が『視た』ものが一体なんなのか、それを本当に知った時、初めて『義眼』のもたらした『知覚』は彼女にとって有益なものになるのよ」

白衣の魔女・紫愛(しあ)のセリフです。「わざわざ目玉をくりぬいてやった。ありがたいと思え」と言わんばかり。美しいドヤ顔が目に浮かびます。

『少女義眼工学士』の紫愛(しあ)は、きわめて利己的(りこてき)、自己中心的な人物です。
悪党、マッドサイエンティスト━━物語のラストはハッピーエンドですが、はじめから終わりまでダークヒロインのやりたい放題なライトノベルです。(・∀・)イイ!!

主人公である朱紗(あがさ)は、人づきあいが苦手なのですが、この事件をきっかけに成長します━━他人の眼球とひきかえに。罪な役回り。(・∀・)ダークネス!

ちなみに。本書『少女義眼工学士・青のベルベット』の著者である嵩夜あやさんは、ある筋では定評のあるストーリーテラーです。腕はたしかであり、少女たちの心のヒダや色んなヒダのありさまを、すみずみまで、じっくり、ていねいに描写しています。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)


「百合ダークネス」度
★★★★☆(4)
「新感覚ジュブナイル」度
★★★★☆(4)
「満足」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)


著者について


嵩夜あやさん(@AyaYang)。『たかや・あや』と読みます。女装潜入ロマンティックラブコメディ『処女はお姉さまに恋してる』シリーズをはじめとして、ゲームメーカー『キャラメルBOX』のメインシナリオを多数手がける。

本書の章題には、スウェディッシュ・ポップ・グループ『カーディガンズ』の楽曲名を採用している。

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