みなさんメリークリスマス☆
このあいだ夢と魔法の王国(千葉県舞浜市)に行ってきました。現実逃避☆カンザキです。

本日ご紹介したい一冊はこちら!

幻術記──修験者、密教僧、陰陽師たち呪術者の験力・法力比べ幻術記──修験者、密教僧、陰陽師たち呪術者の験力・法力比べ
著者:地蔵 重樹
(2012-11-04)
販売元:Amazon.co.jp

歴史の暗い霞の向こう側に棲む者達が居た。
天地の理(ことわり)を感得し、神仏に働きかけ、異形の者どもを使役する。そして人の心に巣くった魔をも動かす。
──呪術師達である。
彼らは歴史ではなく、伝承の中に語り継がれてきた。
それを必要とする人々がいたためである。
そして今でも、彼らの物語は必要とされている

本書で物語るのは、伝説あるいは伝奇として語り継がれてきた呪術師達が、その名を残す契機となった逸話たちである。
本書が試みたのは、歴史の影に隠れてしまった彼らの躍動を感じることだった。

【本書で取り上げた呪術師達】
流浪の皇子──能除(のうじょ)(562~611年)
山を翔る異能者──役小角(えんのおづぬ)(634頃~710年?)
越の大徳──泰澄(たいちょう)(682~767年)
陰陽道の祖──吉備真備(きびのまきび)(695~775年)
即身成仏──空海(くうかい)(774~835年)
仙となる──円仁(えんにん)(794~864年)
捨身の祈祷師──恵亮(えりょう)(生没年不詳。9世紀)
遁甲術の名人──滋岳川人(しげおかのかわひと)(?~874年)
夢を占う──弓削是雄(ゆげのこれお)(生没年不明。9世紀)
不屈の回峰行者──相応(そうおう)(831年~919年)
当代一の験力──浄蔵(じょうぞう)(891~964年)
希代の陰陽師──安倍晴明(あべのせいめい)(921?~1005年)
降魔大師──良源(りょうげん)(912~985年)
東国鎮護開山──寛朝(かんちょう)(916~998年)
雨僧正──仁海(にんがい)(951~1047年)
薬師仏の申し子──行尊(ぎょうそん)(1055~1135年)
内観の聖者──覚鑁(かくばん)(1095~1144年)
指すの神子──安倍泰親(あべのやすちか)(?~1182年頃)
黒衣の宰相──天海(てんかい)(1536~1643年)


『幻術』と聞くとオカルトっぽい妖しいイメージが湧きますが、史実に残っている摩訶不思議なできごとを紹介しています。その上『呪術師』とはいっても、どこかで聞いたことのある名前がしばしば並んでいます。
フィクションに近いノンフィクションでしょうか。

オカルト好きには夢のある日本史本ですのですすめたいのはもちろん、民俗学や歴史上の人物を掘り下げた知識に興味がある方へおすすめします。

伝説になった呪術師たち


登場する人物の一部をご紹介しますと
陰陽師・安部晴明』(あべのせいめい・921?~1005年)
小説や映画になっていますのでご存知の方は多いでしょう。特に夢枕獏先生の『陰陽師(おんみょうじ)』が有名ですね。マンガ化映画化もしました。
しかし、他の陰陽師や開祖はあまり知られていないのではないでしょうか?

遣唐使・吉備真備』(きびのまきび・695~775年)
奈良時代、22歳のとき唐に渡る大役を任された学者です。
任期を終え帰国の途につきますが、道中でひと悶着あったエピソードが掲載されています。
あらゆる知識を持ち帰り天皇の覚えめでたく大出世する秀才で、陰陽術も身に着けました。彼の働きは「陰陽術の開祖」と称えられています。
ちなみに、この時代で学者から大臣に出世するのは、京都・北野天満宮に祀られている菅原道真と彼だけ。
真備が持ち帰った陰陽術を大成し、怨霊・菅原道真の祟りと対峙するのは『陰陽師・安部晴明』です。

各人物ごとに章が分かれ、ほぼ時系列でならんでいます。
本文は小説と時代解説が一つになっており、始めは文章構成に違和感を感じるかもしれませんが、景色を思い浮かべながら読むとまたたくまに引き込まれることでしょう。

年末年始は神社仏閣に足を運ぶ方が多いと思います。
この文化の背景にどんな人々が居たのか、ぜひ一度読んでみていただきたい一冊です。


歴史度
★★★☆☆(3)
ボリューム度
★★★★☆(4)
オカルト度
★★★★☆(4)
総合
★★★★☆(4)

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