ふぅ…。どうやら人類滅亡の危機は回避されたようですね。
先週末は、比叡山に引きこもって祈り続けていました。マヤの予言おそるべし。

こんにちわ新世界! キンドる速報ライター☆イマガワです!
気持ちをあらたにして読みたい、本日のオススメ本はこちら。

トラベラーズトラベラーズ
著者:如月恭介
販売元:夜明けプランニング
(2012-10-27)
販売元:Amazon.co.jp

社会から落ちこぼれた青年が、ふとしたことから時空を旅するトラベラーに。
人との出会い、不思議な経験を重ねながら、次第に生きることの真の価値に気づき始める。

「たった1つのルールを」守るかぎり、ワクワクドキドキの異世界旅行が楽しめる。そんな旅行者たちのネバーエンディングストーリー。

現世利益を求めない


悪質な新興宗教というものは「XXXという教祖や神様を信じれば、運が上向き、身の回りに良いことが起きますよ」という現世利益(げんせいりやく)をエサにして信者を集めます。

しかし、伝統的な宗教は必ずしも「現世利益」のみを求めたりはしません。

この「トラベラーズ」はファンタジーSFの文法をもちいて「現世利益を求めない生き方」の効用を描いた娯楽小説です。

パラレルワールドを旅する


主人公はホームレスで、周りの人間もホームレス。でも、ただのホームレス達ではありません。

彼らはパラレルワールドを旅することのできる「トラベラーズ」なのです。眠りについたあと、魂が遊離して、しばらくのあいだ「並行世界」での旅をエンジョイする。テンポが良くて、読み終わるまでまったく飽きさせない良作です。

押しつけがましくない


本作の良いところは「押しつけがましくないところ」です。これはけっこう大切。現世利益を求めない生き方を説いた内容でありながら、それに従わないことによって受ける「罰」を描かない。

なにかの思想を押しつけようとする場合、たいていは「罰」を用意するものです。教えに従わないと「こんなにひどい目にあうんだぞ!」というエピソードを提示したほうが効果的だからです。そういう押し付けがましさのない作品には、とても好感がもてます。

心に土足で踏みこまない


同じ作者の「名探偵の事件簿」を読んでも感じましたが、読者に対して押しつけがましいところがない。問題提起をしていながら、けっして他人の心を踏みにじらないよう細心の注意が払われています。

けっして土足で踏みこまない。まさに作家性です。

本当の幸せとはなにか?


本作に登場するパラレルワールドは「極楽浄土、南国パラダイス」ばかりではありません。時には、独裁者が支配する世界において「奴隷」として過ごす場合もあります。

登場人物いわく「そういう不幸な世界も知らなければ、幸せというものに対して不感症になってしまう」と。

如月恭介さんの小説はスラスラ読めます。今後も作品を発表し続けていくことで、ますます読者が増えていくのではと予感させます。イチオシの作家さんです。

  • トラベラーズ
  • 著者:如月恭介
  • 価格:100円
  • 読了にかかる時間:約1時間(個人差があります)
ほんわか度
★★★☆☆(3)
現実逃避度
★★★☆☆(3)
星新一っぽい度
★★★★☆(4)
総合
★★★☆☆(3)

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