つんどく速報（電子書籍の感想・レビュー）

みなさんこんにちは！
双子萌え☆カンザキです。なぜ同じ寝相で同じタイミングに寝返りが打てるんでしょうか。遺伝子の神秘です！

本日のレビューは以前ご紹介しました『未来少女ミウ』の作者、山田佳江さんの第2作目です。

ノウチラスの黒猫
著者：山田佳江
販売元：無計画書房
(2012-12-26)
販売元：Amazon.co.jp


もしも俺たちの世界の神が、落ちこぼれの男子中学生だったらどうする？

　地方のランジェリーショップで働く三加。
　彼女が自分の中に「もう一人の自分」を作ってから、もう十八年になる。
　大地は三加の想像上の人物に過ぎなかった。
　その日、彼から荷物を受け取るまでは。

大地は自分の存在を確認する。どれも正しく実在している。

　大地は常に「自分を守っている誰か」の存在を感じていた。
　全ては都合良く出来過ぎている。
　この世界は実在しているのだろうか。

離れていた三加と大地が交わり、世界は崩壊していく。

人は神になれるのか

『ドッペルゲンガーに会うと死ぬ』という都市伝説があります。しかし、通りがかった他人がそっくりな2人を見比べて、「どちらが本物」なんて言えませんよね。
片方はもう片方を「偽者」と罵れるのでしょうか。実在するならどちらも本物だし、片方が死んで片方は生き残るのか、あるいは双方死ぬのか。…そもそも存在しないのかもしれません。

ミステリー作品がお好きな方、特に、後半以降で背筋があわ立つ錯覚が好きな方にオススメいたします。
ちなみに、ドッペルゲンガーは例え話ですのであしからず。

この作品は、2人の主人公がそれぞれの日常を送りつつ、霧がかった違和感を覚えていることが鍵となります。
登場人物はみんな何かしらの鍵を持っていますが、本作をお読みいただく際は、人物の独白や心理描写に注目してください。
サッと読み通すところに、黒猫のような目立たない伏線が佇んでいます。

登場人物を簡単にご紹介いたしましょう。

三加
本作の主人公。郊外商業施設のランジェリーショップ店長。幼少時は喘息持ちで運動が出来なかった。完璧な半熟ゆで卵を作れる。

大地
本作のもう1人の主人公。広告デザイン会社に勤めている。学生時代から走るのが好きで、今も毎朝ジョギングしている。

始
三加の恋人。本好きが高じ、本屋のフリーターになった。彼女宅に泊まる時は、朝食用のいろんなパンを手土産にする。

美奈実
大地の恋人。同じ事務所に勤めている。月9ドラマはとりあえず観るタイプの、ごくごく普通なゆるふわカワイイ女子。

神無木
宅配便のセールスドライバー。各人物の職場近辺を担当している。帽子で顔を隠しており、一見すると性別の区別が付かない。

この5人が「やらかす」ことで、三加と大地が出会ってしまいます。
傍観する読者もイチ神なのかもしれません。ぜひあなたも彼女たちの動向を見守ってください。

あわせて読みたい

・スクールライフSF小説『未来少女ミウ』 少女はバクテリアの夢をみる

未来少女ミウ
著者：山田佳江
販売元：無計画書房
(2012-10-29)
販売元：Amazon.co.jp