2月から本気を出す! 半袖短パンで早朝ジョギングします!
有言実行三兄弟、キンドる速報ライター☆イマガワです。
今回オススメするのは、ディストピア社会を舞台にした「ゾクッとする」小説。
あるとき突然、北関東の盆地に「東京23区を完コピした」国家が出現します。その名は「大東京共和国」。なぜそのようなことが実現できたのか? それは核兵器を保有しているからです。こうして日本国内に独立国家が誕生しました。
「大東京共和国」は、日本国籍をもたない「日本人たち」で構成されています。日本人と同じように日本語を話し、日本の文化や風俗のなかで暮らしているのです。
この国の最高権力者は「総統」と呼ばれる人物です。独裁第一党の党首であり、常に軍服に身をつつみ、凛々しい声でアジテーション演説をおこなう。勘の良い人はお気づきでしょう。本書には、国家社会主義ドイツ労働者党首「アドルフ・ヒトラー」総統のパロディ成分が多く含まれているのです。
大東京共和国では、毎朝かならずテレビやラジオを通じて定例演説が放送されます。まさにヒトラーのごとく絶叫するように言葉を発しており、たいへん面白いので一部引用してみます。
作中に、竹枝というイケメン官僚が登場します。いつもニヤニヤと気味のわるい笑顔を浮かべている男です。
本家の「日本国」から派遣されてきた主人公にとって、共和国内は治外法権。滞在中は、なにをやっても罪に問われません。特権があるのをいいことに、気にいらないことがあると主人公はイケメン官僚の竹枝に暴力をふるいます。鼻っ柱を殴ったり、みぞおちに蹴りをいれたり。
それなのに……竹枝は腹を立てるそぶりも見せずニヤニヤし続けます。不気味なくらいに。
あるときを境にして、主人公の目の前に「人間が降ってくる」事件が頻繁に起こりはじめます。たびたび、飛び降り自殺を目撃するのです。このあたりから不穏な空気が漂いはじめます。
奇妙なことに、いずれの飛び降り死体も「計算」があいません。1人分の残骸にしては肉片の量が多すぎるのです。頭部だと思われる残骸が2人分あったり、手が3本分あったりします。
主人公がそのことを竹枝にたずねると「そんなこと、どうでもいいじゃないですか」と言われ、ごまかされてしまいます。このあたりから「大東京共和国」の恐ろしい実態が明らかになっていき、結末では驚きの展開が……。
文章は格調高くて、ちょっぴりハードボイルド風味。様々なものを皮肉っている短編小説です。なにを皮肉っているかを明言してしまうと、いろんな方面から苦情が来そうなのでやめておきましょう。
この『大東京共和国の一日』という短編小説は、20分ほどで読めます。しかし最後まで読むことで「ある真実」を知ってしまうと、また始めから読み直したくなる「仕掛け」があります。ぜひ体験してみてください。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。ぜひ、手に取ってお楽しみください
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有言実行三兄弟、キンドる速報ライター☆イマガワです。
今回オススメするのは、ディストピア社会を舞台にした「ゾクッとする」小説。
大東京共和国の一日
著者:杉崎淳
(2013-01-06)
販売元:Amazon.co.jp
北関東地方の盆地に傲然と居座る小国家、大東京共和国。この独裁国家では、全てが不愉快で、全てが狂っている。
日本国から招聘された精神科医である「俺」は、憂鬱な朝をまた迎える。俺は一体いつまでこの国に滞在せねばならないのか。俺はいつまで人格破綻者の上司竹枝を、怒鳴りつけ殴り続けねばならないのか……。
地球はひとつ、日本がふたつ
あるとき突然、北関東の盆地に「東京23区を完コピした」国家が出現します。その名は「大東京共和国」。なぜそのようなことが実現できたのか? それは核兵器を保有しているからです。こうして日本国内に独立国家が誕生しました。
あの国のパロディなのか?
「大東京共和国」は、日本国籍をもたない「日本人たち」で構成されています。日本人と同じように日本語を話し、日本の文化や風俗のなかで暮らしているのです。
この国の最高権力者は「総統」と呼ばれる人物です。独裁第一党の党首であり、常に軍服に身をつつみ、凛々しい声でアジテーション演説をおこなう。勘の良い人はお気づきでしょう。本書には、国家社会主義ドイツ労働者党首「アドルフ・ヒトラー」総統のパロディ成分が多く含まれているのです。
素晴らしいギャグセンス
大東京共和国では、毎朝かならずテレビやラジオを通じて定例演説が放送されます。まさにヒトラーのごとく絶叫するように言葉を発しており、たいへん面白いので一部引用してみます。
総ての人類が偏頭痛から解放される時、グレープフルーツは本当の色を取り戻す!
捨てられた毛ガニの甲羅は、我々の敵と味方とを選別する!
毎日五回の自慰行為は、大地に緑を取り戻す鍵となる!
不気味なイケメン官僚
作中に、竹枝というイケメン官僚が登場します。いつもニヤニヤと気味のわるい笑顔を浮かべている男です。
本家の「日本国」から派遣されてきた主人公にとって、共和国内は治外法権。滞在中は、なにをやっても罪に問われません。特権があるのをいいことに、気にいらないことがあると主人公はイケメン官僚の竹枝に暴力をふるいます。鼻っ柱を殴ったり、みぞおちに蹴りをいれたり。
それなのに……竹枝は腹を立てるそぶりも見せずニヤニヤし続けます。不気味なくらいに。
連続する、飛び降り自殺事件
あるときを境にして、主人公の目の前に「人間が降ってくる」事件が頻繁に起こりはじめます。たびたび、飛び降り自殺を目撃するのです。このあたりから不穏な空気が漂いはじめます。
奇妙なことに、いずれの飛び降り死体も「計算」があいません。1人分の残骸にしては肉片の量が多すぎるのです。頭部だと思われる残骸が2人分あったり、手が3本分あったりします。
主人公がそのことを竹枝にたずねると「そんなこと、どうでもいいじゃないですか」と言われ、ごまかされてしまいます。このあたりから「大東京共和国」の恐ろしい実態が明らかになっていき、結末では驚きの展開が……。
絶対に読み返したくなる仕掛け
文章は格調高くて、ちょっぴりハードボイルド風味。様々なものを皮肉っている短編小説です。なにを皮肉っているかを明言してしまうと、いろんな方面から苦情が来そうなのでやめておきましょう。
この『大東京共和国の一日』という短編小説は、20分ほどで読めます。しかし最後まで読むことで「ある真実」を知ってしまうと、また始めから読み直したくなる「仕掛け」があります。ぜひ体験してみてください。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。ぜひ、手に取ってお楽しみください
- 大東京共和国の一日
- 著者:杉崎淳
- 価格:150円
- 読了にかかる時間:約20分(個人差があります)
- ハードボイル度
- ★★★☆☆(3)
- ジェノサイ度
- ★★★☆☆(3)
- 東京音度
- ★★★☆☆(3)
- 総合
- ★★★☆☆(3)
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