みなさんこんにちは。
合言葉は「女子力!」☆カンザキです。

今夏公開予定だったスタジオジブリ新作アニメ映画『かぐや姫の物語』は延期と告知されましたね。これまでさまざまな絵本や児童文学をモデルにアニメ作品を制作してきたスタジオジブリ。今回日本で最も古い昔話といわれる『かぐや姫』(竹取物語)を題材にすると発表した際、衝撃が走りました。

かぐや姫が登場する古典『竹取物語』をざっくり言うと…。
竹から生まれたお姫さま。おじいさんおばあさんが手塩にかけて美しく育てあげ、複数の男性貴族(帝まで!)にモテまくり、最後は月に帰るという、仮名文字で書かれた最初期の物語のひとつ。

では現在、竹ないし『木』から人間が生まれたら、どうしますか?
本日はそんな一冊をご紹介いたしましょう。

ツリーチルドレンツリーチルドレン
著者:小村 一三
出版元:小村一三
(2013-01-12)
販売元:Amazon.co.jp

樹木の地下茎から生み出された子ども、ツリーチルドレン。古代からそのような話は民話に残り、かぐや姫はその代表例だ。

樹木は、ツリーチルドレンを人間の協力者として生み出していたが、環境の悪化や人心の荒廃は樹木の生存を危うくさせてしまった。遂に樹木は人間社会に反旗を翻すこととなる。樹木のアレルギー反応のようなものである。

その仕組みは、遠い過去に、宇宙に漂う生命体ユーマによってもたらされたものだ。ユーマの意思によってかぐや姫は元の世界に連れ戻され、板橋謙太の育てるツリーチルドレンもユーマの指示を聞いた。

呼応するように樹木は人間に必要な生気の放出を止め、オロチという生物を産みだした。この生き物も民話や神社の古文書に記録として残っている謎の生物である。ユーマの人間に対する怒りは人間を地上から排除する方向に動き始めていた。

質量を持たない生命体ユーマは、フリーマン・ダイソン博士が予測する肉体を持たない生命体と酷似している。


根っこから生まれたマーブル君


この物語は、主人公板橋謙太が木のふもとで不思議な物体を見つけるところから始まります。恋人の祐子は独特の感性を持っており、第六感を大事にするタイプ。彼女に不思議な物体を拾ったことを伝えると、直感で気に入りマーブル君(マー君)と名づけ育てることに決めました(独断で)。木から生まれたツリーチルドレンのマーブル君は日に日に形を変え、いつか普通の人間と大差ない幼児の姿に。主人公たちをパパ、ママと慕うマー君は不思議な能力を持っており、オロチとユーマの襲来を予知します。

手足の無いトカゲ形のオロチと質量を持たない生命体ユーマは、人間とツリーチルドレンたちを憎み抹殺するため発生。日本中を徘徊します。それは有害生物を排除しようとする、自然の防衛反応なのです。オロチとユーマに命を狙われながら、マー君は人間との共存を望みます。

肉体を持たない生命体?


作中で重要な役割をもつユーマという脅威は、質量を持たない=重さも体表も無い、普通の人間には見ることすらできない存在です。ヒトはユーマに取り付かれると発狂し、殺人をはじめます。作中に怨霊や亡霊に近いという解釈がありました。
オロチは手足のないトカゲと形容され、それはもしかして伝説のツチノコ…。と想像をめぐらせつつ、古事記をさかのぼるとカヤノヒメという名の女神で、神社に祭られているようです。ツリーチルドレンと同じく木の根から生まれ、群れをなして人間に襲い掛かります。

竹取物語では、かぐや姫(ツリーチルドレン)は月からのお迎えにすんなり応じましたが、現代のお迎えは随分手荒なようで平気で命を奪います。子供と大人は協力しあって、驚異に立ち向かっていくのです。

樹木から人が生まれるよう遺伝子操作したのは、神かUMA(未確認動物)か。
日本の自然界が、牙を剥く。


新感覚の絶滅系、オカルトSF小説、ぜひお手にとってご覧くださいませ。


  • ツリーチルドレン
  • 著者:小村 一三
  • 価格:178円
  • 読了にかかる時間:約3時間(個人差があります)
絶望度
★★★★★(5)
祐子の女子力度
★★★★☆(4)
専門知識度
★★★☆☆(3)
総合
★★★☆☆(3)



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