つんどく速報（電子書籍の感想・レビュー）

ハッピーバレンタイン！
悲しきチョコハンター、キンドる速報ライター☆イマガワです。

ブラックサンダーをむさぼり食いつつ、ご紹介するのはコチラ！

農魂ライダーは爆走する！ ～農大王道青春物語～
著者：yuuma
(2013-01-06)
販売元：Amazon Services International, Inc.


農林大学校に入学した堂山竜一。
実家が蜜柑農家の堂山は、実家に不満を持ちながらも、これといった目的もなく入学した。
同じ班員の猪口には、適当な気持ちなら就農なんて辞めろとまで言われ、何かと対立しながら、梨や蜜柑の管理実習に明け暮れる毎日だった。
農業祭ではクラスの実行委員長になって、企画を立ち上げたり。　留学の話が出たり、同じ班員の女子に片思いをしたりと、ドタバタ青春農大生活を突っ走ります。

梨を朝9時までに収穫する理由は？

答え → 外が明るくなると、光合成によって自らの糖分を消費しはじめるから。この小説を読み終わったあとには、たくさんの「果樹農業トリビア」を知ったかぶりできます。

かじゅか！

本書は、県立の「農林大学校」の果樹課に通う8人の男女たちの奮闘を描いた物語です。わかりやすく言えば『もやしもん』(石川雅之) と『銀の匙』(荒川弘)を足して2で割ったような内容。くだもの栽培の専門的なトリビアネタが満載でありながら、筋運びが丁寧なので読みやすいです。

農林大学校とは？

4年制大学でもなければ短期大学でもない「2年制」の公立教育機関。ニュアンスとしては農業系の短期大学。馬・豚・牛などの「家畜」や「競走馬」をモデルにした作品は数あれど、果樹課の学生生活を題材にした小説というのは珍しいですね。

実家は、ミカン農家

主人公の堂山竜一は、自信と自意識が過剰な男子大学生。まったく期待されておらず、ミカン農業を営む両親からは「農業以外の会社に就職しろ」と言われています（笑） ひそかに、同じクラスの月原玲という女の子に片思いしている。

恋のライバルであるイケメン猪口は、物静かな無愛想キャラ。梨農家の跡継ぎ息子であり、主人子の堂山とはちがって知識が豊富で頼りになる男。イケメン猪口とアイドル月原は幼馴染なので、つねに主人公は激しく嫉妬しています。

これらの人物たちの三角関係（のようなもの）が展開されるのですが、男女間の恋愛沙汰よりも、男同士の心の機微を掘り下げて書いてあるのが不思議でした。このあたりは、著者が女性であることに関係あるのかも。……けっして変な意味じゃないですよ！

果物トリビアが満載！

著者が農大出身者なので、リアリティのある描写が盛りだくさん。現代の農家経営は、作業員のモチベーション管理やマーケティングがとくに重視されていたり、おなじミカン農家であっても圧倒的な経済格差があったり。

ストーリーの起伏はゆるやかで、ひたすら学校生活1年目の授業風景が描かれています。堆肥を手作りしたり、ミカンの収穫作業をしたり、青梅のシロップ漬けを作る授業があったり、梨の摘果や選果をしたり。とにかく、これでもかというくらいリアルで細かい作業風景が描かれています。

最近アニメ化が決定した『銀の匙』(荒川弘)が好きな人には、間違いなくオススメな青春小説です。ぜひ。

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