こんにチワワ!(茶魔語で「こんにちは」の意)
キンドる速報ライター☆イマガワです。

最近のニュースを観ていると、長渕剛の歌を口ずさんでしまいます。
ティーピーピー♪ ティーピーピー♪ ろくなもんじゃねー(゚д゚)

すいません。真面目にレビューしますね……。

村まつり村まつり [Kindle版]
著者:敦音尚之
出版: 敦音尚之
(2013-01-21)



婚約者である智恵子を連れ、季節外れの海へとドライブに出た『私』は、その帰り道、予期せぬ交通渋滞に巻き込まれる。

智恵子の機転で二人を乗せた車は街道とほぼ並行する迂回路を順調に進むが、道を途中で誤ったらしく元の街道に戻れぬまま、やがて日没を迎えてしまう。

人家もない暗闇を彷徨うように進み続けると、智恵子と私はそこである奇怪な現象と遭遇し驚愕する。そして、漸く辿り着いた不思議な集落で二人が目にしたものとは?



あらすじ


恋人たち。交通渋滞を避けようとして、慣れないルートで迂回しようとする。案の定、道に迷ってしまう。

地図に載っていない小さな村。迷いこんだまま、とうとう日没を迎えてしまう。2人は、村でいちばん大きな屋敷で一晩を明かすことになるのだが……。

ファースト・インプレッション


はじめ、表紙がイイ感じに不気味だったのでKindleストアのサンプルをダウンロードして読んでみました。文章は、とても上質。「これは期待できる!」と思って購入しました。

商品説明には「ある奇怪な現象」「不思議な集落」という記述があったので、ホラーやミステリーの類だと思って読み始めました。しかし。まったく怖い展開になりません。人が死んだり、叫んだり、ましてや消えたりもしませんでした。

じつをいうと……その点こそが、本作の「恐ろしい」ところなのです。

淡々としているのが、かえって恐ろしい


この『村まつり』に出てくる登場人物たちは、凡百のホラー小説のごとく、大げさに恐怖を煽り立てません。村の旧家の主人は、とても親切です。そして、村に伝わっている意味ありげな伝承を、現代の村人たちは恐れていません。

でも、たしかに「異様なるもの」は存在しており、主人公はそれを目撃します。無自覚なのは、村人たちのほうなのです。

超常現象は起こるけれど


不思議な事象によって登場人物が死んだり消えたりはしません。主人公と恋人の2人も、心身ともに無傷の状態で日常へ戻ることができます。ここまで「あっさり」終わってしまうと、逆に深読みしたくなります。なにか見逃してしまったのではないか、と。

大胆に解釈するならば


本作で描かれたのは「もっとも幸運な結末」だと思うのです。よくよく村で起きた出来事を振り返ってみると、主人公たちが無事に帰って来れたのは「偶然」が重なった結果にすぎないからです。運が良かっただけで、ひとつ間違えれば、永遠に閉じ込められてしまうバッドエンドも有り得ました。

「あの時、主人公がxxxxという行動を選択していたら……」と考えると、ゾッとします。本作『村まつり』は、そういう読み方を楽しめる小説です。

玄人好みの作家


キンドル本を読み終えると「この本を買った人はこんな商品も買っています」というページが表示されます。読者の傾向がわかるわけです。2人のアマチュア作家の作品が表示されていました。

muramatsuri_adf

牟礼鯨『コルキータ』(レビュー記事
ヘリベマルヲ『Pの刺激』(レビュー記事

おもわず納得しました。牟礼鯨さんもヘリベマルヲさんも、アマチュア作家というにはオーバースペックな実力の持ち主だからです。今回ご紹介した『村まつり』の敦音尚之さんも、文章力・構成力ともにピカイチです。

KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)で「天下を獲ってやるぜ!」と意気込んでいる人は、まずは、この3人の作品を読むことをオススメします。自分の実力を正確に測ることができるはずです。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。

  • 村まつり
  • 著者:敦音尚之
  • 価格:150円
  • 読了にかかる時間:約1時間(個人差があります)
文章力
★★★★☆(4)
構成力
★★★★☆(4)
婚約者が空気
★★★★★(5)
総合
★★★★☆(4)

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