ジェアグゥィチトロノーナ!(アイルランドで「こんにちは」の意)
キンドる速報ライター☆イマガワです。

KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)が始まって可視化されたこと。それは「日本語を駆使する」外国人の表現者の存在です。

今回ご紹介するのは、日本のオタク文化を愛する「アメリカ人留学生」の体験記マンガ!

留漫。留漫。 [Kindle版]
著者:ゼン・ミガワ
出版: マンガ東京スタイル
(2013-02-27)

今、日本のマンガ・アニメに世界の注目が集まっている。世に言うクールジャパン。その世界級のエンターテイメントを勉強するため、アメリカから日本へ留学した作者ゼン・ミガワ。そこで見た現実とは・・・。

夢と現実との葛藤。作者自身の体験に基づいたシリアスな内容をコミカルに描いた同作品、待望の電子書籍化!!



アメリカ人の「まんが道」


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作者のゼン・ミガワさんは、アジア系アメリカ人。合衆国の大学を卒業後、日本のアニメ・マンガ専門学校に留学することを決めます。期間は4年間。この『留漫。』は、漫画家志望の熱血アメリカ人の希望と挫折の日々を描いた作品です。

Pixivでも活動中


ミガワさんは、専門学校に提出した「課題マンガ」を、Pixivに投稿しています。全編が閲覧可能。(「ゼン・ミガワ」のプロフィール [pixiv]

画風は『月刊コロコロコミック』に掲載されていそうな感じで、まったく違和感がありません。いわゆる「ケモノ」絵師であり、作品内にはかならず擬人化された動物キャラが登場します。

専門学校に入学したけれど


ミガワさんが、留学を決めた理由。それは「日本でマンガ家になるため」。合衆国の大学で「日本語学士」を取得。日本語に関しては問題なし。あとはマンガの本場である日本の専門学校で技術を学べば、あこがれのマンガ家になれる!……と思っていたのに、外国人特有のさまざまな問題に悩まされます。

外国人らしいマンガを描けといわれる


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日本でマンガ家としてデビューするために、ミガワさんは苦労して「日本人の読者に好まれる作風」を習得しました。しかし、出版社へ持ち込みに行くと「せっかく外国人なんだから、日本人には描けないものを!」と、編集者にアドバイスされてしまいます(泣)

デビュー出来ても、ビザがおりない


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当の日本人ですら在校時デビューは難しい。たとえ、プロの漫画家としてデビューが決まったとしても「職業・マンガ家」では就労ビザを取得することができず、ミガワさんが日本で活動することはできません。そこでミガワさんは「日本語学士」の資格を活かして、翻訳家や通訳を本業にして、どうにか日本に滞在しようと考えているようです。

マンガやアニメの底知れないパワー


専門学校の「1学年」350人中、外国人は40人。ミガワさんは「合衆国の大学に比べて、留学生の割合が低い」と言いますが、日本人からすれば「そんなにアニメやマンガを学びたい外国人がいるのか!」と驚きます。

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大学とは違い、アニメやマンガ専門学校の海外向け情報というのは少なく、ミガワさんを含めた多くの留学生は「自分の好きなアニメーターや漫画家が講師を務めているから」という、わずかな情報だけを頼りにして、日本への留学を決めたそうです。

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日本のお隣さんである「言論の自由が無い国」からの留学生もいます。『クールジャパン』というと、カネの話題になりがちですが、日本のオタク文化に対する憧れというのは目に見えにくいところで国際外交の下支えになっているかもしれません。

「カラテ・ニンジャ」で恐れさせ、「マンガ・アニメ」で惚れさせる。まさに「強力な外交ツール」であるとも言えます。

クリエイティブ・コモンズ表示


ところで、『留漫。』の表紙には『CC BY-SA』という表記があります。これは『クリエイティブ・コモンズ』といって、作品の取り扱いルールを定めたものです。

『留漫。』の場合、「原著作者のクレジットを明記」すれば「変形や改変」を加えてもOK。しかも「二次創作」を描いてもOK。クレジット表記さえすれば「営利目的」で使用してもOK。このように、作者公認で本編のスクリーンショット利用ができると、ブログやソーシャルメディアでオススメしやすいですね。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。

  • 留漫。
  • 著者:ゼン・ミガワ
  • 価格:100円
  • 読了にかかる時間:約15分(個人差があります)
熱血度
★★★★☆(4)
クールジャパン度
★★★★☆(4)
ケモナー度
★★★★☆(4)
総合
★★★★☆(4)

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