プリンに醤油をかけるとウニみたいな味に……(゚д゚)マズー
キンドる速報ライター☆イマガワです。
今回、ご紹介するキンドル本はコレ!
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今回、ご紹介するキンドル本はコレ!
ナル NULL [Kindle版]
著者:樫本 誠太郎
(2012-11-27)
主人公は見知らぬ部屋のベッドで目を覚ます。船から転落したことは憶えているが、それから先の記憶はない。ナルと呼ばれるその街。周囲には不可解な人物ばかり。会話の途中で突然怒り出す男。調査と称して意味のない質問をしてくる男。追われているから逃げろと言う男。いったいここはどこなのだろう? 同じ境遇だと紹介されたアズミと一緒に答えを探して街を歩く。
一方、違う街では、大学生として毎日を楽しむ主人公がいる。アズミというのはバイト先の喫茶店を自習室代わりに使っている女子高生。ある出来事を切っ掛けに親しくなり、動物園でデートすることになる。ところが、デートの当日に・・・。
あらすじ
海に突き落とされて溺死したはずの男子大学生の武田は、気がつくと白い部屋のなかにいた。その場所は、NULL(ナル)という街にあるオリエンテーションセンターで、現実感がない天国のような場所だった。死後の世界か? これは夢なのか? それとも、発狂した末にたどりついた妄想なのか?
登場人物は「あなた」
本作『NULL』の最大の特徴は、いっぷう変わった語り口です。
あなたは記憶を整理しているはずが、ウトウトと眠り込んでいた。
あなたは精一杯の感謝を述べた。
あなたは追い立てられるように部屋を出た。
「あなた」は、読者ではなく、主人公・武田のことを指しています。いわゆる2人称小説というもので、過去には倉橋由美子『暗い旅』で、本作と同様に「あなた」という人称が使われていました。前衛小説やミステリ小説で、たまに使われる手法です。
現実感のない世界
主人公の武田は、死んだはずなのに生きています。NULLという街は、天国か地獄でしょうか? おしい。どちらでもありません。NULLという街は、目的地の途中にあるパーキングエリアのようなもの。魂たちの休憩所。男がいれば、女もいる。子供がいて、老人もいる。見た目や感覚は、普通の世界となんら変わりません。
NPCのような世話係たち
NULLという街には、まだ慣れない訪問者のために、身の回りの世話をしてくれる人がいます。まるで、オンラインゲームのNPC(ノン・プレーヤー・キャラクター)のような印象です。主人公は、はじめに「ルール」を教わります。
(1)NULLに来る前にどんな生活をしていたかを他人に尋ねてはならない
(2)お金は必要ない
(3)「欲しい」と言えば、なんでもタダでもらえる
(4)ただし、他人から「欲しい」と言われたら差し出さなければならない
これらのルールを破ったら処刑……ということはありませんが、NULLという街に滞在している人々は、その決まりをなんとなく守っています。
忍びよる「影」
人間には2種類います。「生きている」人間と「死んでいる」人間です。しかし、主人公を含めたNULLという街の住人たちは、そのどちらとも言い切れない人々です。そこへ「影」がやってきます。その得体の知れないものに見つかると、街の外へと連れ去られてしまうのです。
主人公の武田は、アズミという14才の少女と出会い、正体不明の「影」から逃れるために手をとりあいます。その過程で、主人公はNULLという街ではない世界……生前の記憶と似ているけれど異なる「現実」に迷い込んだりします。何重もの入れ子構造になっている、とても複雑な小説です。
ジャンルはSF
「NULL」という言葉は、コンピュータ用語で「何もない」「何も示さない」という意味です。
本作のあらすじを読むと「ファンタジー小説」であるかのような印象を受けますが、この『ナル NULL』は正真正銘のSFミステリです。つまり、解読可能で合理的な理由によってストーリーが組み立てられています。
ネタバレになるので多くは語れませんが、最後まで読めば、たいていの読者は「謎」の大部分の答えを得ることができます。われわれ読者が注意ぶかく観察するべき点は、ある「固有名詞」と「表紙イラスト」です。それこそが、複雑な入れ子構造の世界観を読み解くヒントになるはずです。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。
- ナル NULL
- 著者:樫本 誠太郎
- 価格:250円
- 読了にかかる時間:約2時間(個人差があります)
- 文章力
- ★★★★☆(4)
- 構成力
- ★★★★☆(4)
- 攻殻機動隊SSSっぽい度
- ★★★★★(5)
- 総合
- ★★★★☆(4)
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