なめこ、増やしてますか?
キンドる速報ライター☆イマガワです。
全国1億人の「きのこ」ファンに紹介したいキンドル本は、こちら!
キンドる速報ライター☆イマガワです。
全国1億人の「きのこ」ファンに紹介したいキンドル本は、こちら!
(きのこファンのための)はじめての菌類学 (1) [Kindle版]
著者:中島淳志
出版: 中島淳志
(2013-02-27)
内容は専門的な菌類学に関するものですが、「きのこが好き!」、あるいは「きのこのことを、もっと知りたい!」という人のために、まったくの初心者でも理解できるように、豊富な写真を用いながら説明しています。
本書できのこを学問的に理解することで、皆さんのきのこライフがより豊かになることを願っております。
著者は、大学院生
中島淳志さんは「菌類学」を勉強している筑波大学大学院の2年生。自分の研究内容をわかりやすく他の人に伝える「サイエンスコミュニケーション」の一環として、AmazonのKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)に挑戦したそうです。
菌類と「精子」の共通点
きのこ研究を含む菌類学は、図書の分類に用いられる「日本十進分類法」において「植物学」のカテゴリに含まれています。しかし、最近の研究によると、菌類は「動物に近い」存在であることが明らかになってきました。なぜなら「細胞の後ろに鞭毛(べんもう)をもつ」という特徴が共通しているからです。
動物の「精子」と、菌類の「遊走子」はその点で共通しています。
きのこは「根元」が重要
研究者にとって、きのこは「何から生えているのか?」が重要です。なぜなら、もとの部分である「基質」と呼ばれるものによって、きのこの種類が決まるからです。
たとえば「マツカサキノコ」は、地中の「松ぼっくり」から生える菌類です。「ツエタケ」は、地面に埋まっている「木の枝」から生えますし、モグラが排泄した場所から生える「ナガエノスギタケ」というキノコも存在します。「きのこは根元が重要」という意味がわかりますね。
薬膳料理の材料として有名な「冬虫夏草」も、土に埋まっている虫から生えるキノコです。根元の虫をふくめて無傷で取り出すのは至難の技であり、数時間かかることもあるそうです。掘る前に「正座をして精神統一する」という研究者もいるとか。
溶けてしまうキノコもある
きのこを標本にするためには「正しい方法」があります。傷をつけないようにするのはもちろんのこと、きのこは蒸らしてはいけません。「ヒトヨタケ」の一種は、成熟すると溶けてしまう性質があるため、通気性の良い紙袋に脱水剤「シリカゲル」を入れて、一緒に持ち帰る工夫が必要です。
きのこ狩りと『iPhone』
学術的に価値がある標本には「採集者名」「採集日」「採集地」が明記されている必要があります。しかし昔の標本情報は、けっこういい加減なものが多かったそうです。
最近は、iPhoneで写真を撮ればGPSによって位置情報も記録されるので、標本情報の記録がラクチンになったそうです。著者の場合、QRコードを利用して「標本情報」を管理しています。新しい世代の研究者って感じでカッコイイ!
きのこ研究者たちの素顔
研究の成果である学術論文は、一般市民が目にする機会がありません。たとえ閲覧できたとしても専門用語で溢れていて理解できないはずです。
本書では、研究者たちの親しみやすいエピソードを読むことができます。「採集後の一時保管には、100円ショップのお茶パックが使える」「野外や洞窟でアグレッシブに動くため、防水膝パッドがオススメ」「蚊にさされるから、蚊取り線香と虫除けスプレーを忘れるな」等々。
学術論文を通して情報共有しているのが微笑ましく、菌類の研究者たちのことを、以前よりも身近な存在に感じられるようになりました。
市民に『菌類学』のことを知ってもらう
かつて山中伸弥教授(iPS細胞研究者、ノーベル生理学・医学賞)は、不足している研究費を募るためにフルマラソンに出場してアピールしたことがあります。同様に『菌類学』を読み物として楽しめるようにすることで、興味をもつ市民が増え、研究に対する理解を得ることにもつながります。
親しみやすい入門書を出版する、つまり「教える」ことで、著者自身の考えが深まり、説明力がつきます。このことは、現役の大学院生である著者と、きのこに興味がある読者の双方にとって有意義なことであり、手軽に出版できるKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)の有効な活用法だと感じました。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。
- (きのこファンのための)はじめての菌類学 (1)
- 著者:中島淳志
- 価格:200円
- 読了にかかる時間:約2時間(個人差があります)
- わかりやすさ
- ★★★★☆(4)
- ためになる度
- ★★★★☆(4)
- きのこバカ度
- ★★★★★(5)
- 総合
- ★★★★☆(4)
Kindleストアで読める「きのこ」本
きのこ会議 [Kindle版]
著者:夢野 久作
(2012-09-13)
空の境界(上) (講談社文庫) [文庫]
著者:奈須 きのこ
出版: 講談社
(2007-11-15)
あなたの一冊をレビューします
キンドる速報では、電子書籍のレビュー候補を受け付けています。
ご応募はこちらから。
おもしろい電子書籍を教えてください(自薦・他薦を問いません)bookdi.gger.jp に関するツイート
コメント