スラマッパギ!(インドネシア語で、おはようの意)
キンドる速報ライター☆イマガワです。

アベノミクス効果で、連日のように株価が上がりまくってますね!
今回ご紹介するのは、ヘッジファンドを題材にした経済サスペンス小説です。

全ての輝けるもの全ての輝けるもの [Kindle版]
著者:広瀬隆雄
(2013-01-23)

ヘッジファンドのアナリストである私はある顧客に頼まれてボルネオ島のジャングルに潜入する。元グルカ兵の護衛付きだ。そこで思いがけないものを見てしまう。

ソブリン・ウエルス・ファンド、大企業、大統領の一族を巻き込んだ死闘がはじまる。



あらすじ


ロサンゼルスに本社があるヘッジファンド「ニューポート・パートナーズ」に勤める、アナリストの一之瀬奈津子。二十代後半、独身。鉱山採掘会社「ブサン・ゴールド」の調査を担当していた。

あるとき、予定されていたはずの「金」鉱山の試掘現場の視察が中止になる。不審に思った奈津子は、金鉱山があるインドネシアに赴いて調査を強行する。深夜の闇に乗じて「金」の試掘現場に足を踏み入れることに成功するが、そこで思いもかけない危機に陥ってしまう。

幾度も上方修正される金埋蔵量の予測データ。その発表を受けて高騰し続ける採掘会社の株価。運用残高が数兆円のヘッジファンドと、歴史的な経済事件を題材にした「カネ・金・栄光」すなわち『全ての輝けるもの』をめぐる、サスペンス小説。

著者は、金融のプロ


著者の広瀬隆雄さんの肩書きは『米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター』です。いわば金融のプロフェッショナル。

本編中のディール(金融取引)の描写は、著者の専門性が大いに活かされており、実際の事件がモデルということもあってリアリティに満ちています。

題材は、ヘッジファンド


ヘッジファンド勤務というと、デスクワーク中心なのかと思いがちです。それは、ファンドマネージャーという職種の業務イメージなのかもしれません。

『全ての輝けるもの』の主人公は、アナリストです。新たな顧客を求めて営業に出かけたり、投資候補先へ現地視察に行くなどして、いそがしく世界各国を飛び回っています。

輝けるものをめぐる争い


インドネシア国内の新たな「金」鉱脈の所有権をめぐる取得合戦と、それが将来生み出すであろう莫大な利益を見越して乱高下を繰り返す「金鉱株」の売買をめぐるディール描写が圧巻です。

現地情報をもとに空売りを仕掛けたのに予測通りの値動きにならない等、作品のクライマックスでは、激しい情報戦に翻弄される登場人物たちの喜怒哀楽が楽しめます。

海外を舞台にした経済小説にありがちな「政府の陰謀」や「マフィアの暗躍」といったものは無く、あくまでも合法の範囲内で利益獲得競争を繰り広げる人々を描いた正統派の経済小説に仕上がっています。

個人的に……


ヘッジファンドを題材にしている経済小説には、どうしても「非日常感」を期待してしまいます。

文章力・構成力ともに申し分ないのですが、あまりにもスラスラ読めてしまうので、やや物足りなさを感じました。著者が「金融の専門家」であることを知っているうえで手に取った「いち読者」としましては、そのキャリアと専門的知識を駆使して表現されたものを期待していたからです。

おそらく、投資知識に馴染みのない読者への配慮なのだと思いますが、新聞やテレビで見聞きする程度の知識でも理解できてしまう内容なので、もうちょっと「刺激が欲しかった」というのが正直な感想です。

作者について


広瀬隆雄(@hirosetakao)さん。『Market Hack』でおなじみの有名ブロガーです。金融の話題だけに留まらない、様々な事象に対する歯に衣着せぬ物言いが魅力です。

日本版KDPに早くから取り組んでいることでも有名であり、キンドる速報においても「青春小説『ニューヨーク三部作』第一部はモデル界の残酷な現実」という記事にて、作品をレビューさせて頂きました。Kindleストアにおける有料ランキング100位以内の実績もあります。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。

  • 全ての輝けるもの
  • 著者:広瀬隆雄
  • 価格:315円
  • 読了にかかる時間:約1時間(個人差があります)
文章力
★★★★☆(4)
サスペンス度
★★★☆☆(3)
ヘッジファン度
★★★★☆(4)
総合
★★★☆☆(3)

飽くなきチャレンジャー


この著者は、アメリカのKindleストアの成功例を研究して、その成果を自分のKindle本の制作に反映させていることでも有名です。詳しくは、以下の記事を参照してください。

書店の店員が苦労して自己出版、億万長者へ 病みつきになる仕組みで大成功 - Market Hack

とても野心的な書き手であり、今後も目が離せません。

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