。・゚・(ノД`)・゚・。ウワアアアン 涙腺崩壊中……
キンドる速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介する一冊は、通勤電車やカフェなどでは読めません。泣けてきちゃうので。

ねこのこと。麟太郎のこと。ねこのこと。麟太郎のこと。 [Kindle版]
著者:かや
出版: 竹の子書房
(2013-03-07)

「――余命二カ月の猫と暮らした、最期の日々のお話」

 猫が好き。
 猫と一緒に暮らしている。
 ずっと一緒にいたい――。

 しかし、人間より遙かに短い生を生きる猫の最期を看取ることは、我々が猫と暮らすうえで避けて通ることができません。
 本書は、猫と安穏に暮らすための手引き書とは言えないかもしれません。
 それでも、全ての猫の友のためのやがて来る「その日」のための一冊として、参考になれば幸いです。

※製品版は、タテ書きです。


猫ぎらいだった著者


著者の加藤一(かとう・はじめ)さんは、猫が苦手でした。子供の頃、野良猫にさわろうとして「手痛い反撃」を喰らった思い出があったからです。

しかし。三十代も半ばになる頃には、近所の野良猫と晩酌をする程度にはなっていました。まもなくして、著者夫妻は、本格的な猫暮らしを始めることになります。

はじめての猫


生後5か月目。白黒の鉢割れ猫。麟太郎(りんたろう)と名付けます。勝海舟の幼名から取ったのですが……なんと、麟太郎はメス猫でした。

先走って命名した著者夫妻は、結局、メスの仔猫を「麟太郎」と呼び続けることになります。

いわゆる、尻叩かれ猫


麟太郎は、尻叩かれ猫です。しっぽの付け根あたりをやさしく叩くと「ぐぃっ」とお尻を突き上げます。ポン、ポン。ぐぃっ、ぐぃっ。もっとして、もっとして。とくに男性の来客が大好きで、まっさきに飛んでいっては初対面でも膝の上に乗ってみせます。

春夏秋冬、そして秋


めぐる季節のなかで、2人と1匹は楽しく暮らしていました。そして、麟太郎が生まれてから7度目の夏が訪れたあと、また秋がやってきました。

麟太郎は、病魔に冒されていたのです。

4か月間の闘病生活


はじめは単なる食欲不振だと思っていました。しかし、点滴をしても麟太郎の体調は回復しません。それならばと、検査に向かった大学病院で下された診断は「猫白血病ウィルス感染」。さらに検査を進めた結果、麟太郎の鼻腔から喉のあたりに「腫瘍」が見つかります。

体調不良の原因……それは、悪性の癌(ガン)でした。

ワラにもすがるアガリスク


癌性腫瘍を外科的手術によって切除することは可能です。しかし、すでに転移している可能性が高く、東大農学部付属病院の医師に「もって、1か月か2か月」だと宣告されます。

処置次第で延命することは可能でしたが、著者は、麟太郎との残り少ない時間を、ともに自宅で過ごす事を選ぶのです。

喉に腫瘍があるので、猫用のカテーテルを使って流動食を与える日々。すこしでも腫瘍による苦しみを軽減できないかと「アガリスク」や「サメ軟骨」を取り寄せては、麟太郎に与えます。藁にもすがる思いで、ペットに民間療法を試みるのです。

ペットの医療費


人間とは違って、全額負担です。薬品代はもちろんのこと、大学病院でMRIを利用したことによって、医療費の総額は相当なものになったそうです。著者いわく「安い中古の軽自動車一台分」とのことです。

こういう時のために、年間3万円弱の「全国ペット共済会」なるものが存在し、著者も払い戻しを受けることができました。

ペットロス症候群と向き合う


著者の加藤さんは、本書の執筆動機を「愛するペットを失ったあとの混乱を、書くことによって解消する試み」だといいます。

いち読者として、この闘病記を通して、あらためて「ペット」という存在に向き合うことになりました。飼っている猫や犬に、どのくらい医療費をかけられるのか? もしも深刻な病を得てしまった場合、自分の時間を割いてまで、介護を続けられるのか?

単に「猫が好き」「犬が好き」という気持ちだけでは、まともに「ペットの死」を看取ることなど出来ないと感じました。「最期を看取る」用意がないのなら、ペットを飼うべきはありません。すくなくとも、自分には無理だと思い知らされました。

著者について


加藤一(@azukiglg)さん。勁文社や竹書房から発行されている実話怪談シリーズ『「超」怖い話』の著者のひとりであり、編集にも携わっていたというプロの書き手です。

本作『ねこのこと。麟太郎のこと。』の出版社名義は「竹の子書房」。有志による電子書籍の出版集団で、これまでに100冊以上の無料電子書籍を発行しています。(参照リンク) 加藤さんは「竹の子書房」において編集組版業務も担当しているようです。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。

猫好き度
★★★★★(5)
もふもふ度
★★★★☆(4)
涙腺崩壊度
★★★★☆(4)
総合
★★★★☆(4)

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