こんにちは!
キンドる速報ライター☆イマガワです。
無人島、ミステリーツアー、奇妙な建築物。この3つのキーワードにピンときたら、この作品がオススメです!
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無人島、ミステリーツアー、奇妙な建築物。この3つのキーワードにピンときたら、この作品がオススメです!
正吾と冴の物語Ⅰ [Kindle版]
著者:幻夜軌跡
出版: のぎのぎ出版
(2013-02-08)
大学生の正吾と冴は付き合って3か月。
なかなか2人の仲が進展しないのを見かねた友人の美恵の招待で、2泊3日のミステリーツアーに参加する事になった。
そして待ちに待った第1の殺人。
さぁ、事件の幕開けだぁって、知らない人が死んでいるんですけど?
参加客でもスタッフでもない謎の死体の登場に首を傾げる。
え? これって出し物なの?それとも本物なわけ?
ミステリーツアーに参加したら、本当のミステリーだったというオチに驚く間もなく、第二の殺人が行われる。
これはトリックを明かし、犯人を指差すミステリーじゃあない。
どうやって? ではなく、どうして? を求める物語。
犯人が犯行に及んだ動機を理解した時、ようやくこの事件は幕を下ろせる。
トリックではなく、動機を探せ。
新時代のミステリーがここに開幕。
※製品版は、タテ書きです。
連作ミステリ小説
本作『正吾と冴の物語I』は、無人島ミステリーツアーに参加することになった大学生の男女2人が、連続殺人事件の謎に挑むという内容です。
タイトル末尾に「I」という文字がありますが、これは「シリーズの第1作目」という意味です。事件が起きて、次々とヒトが死んで、最後に犯人が明らかになります。本作品はシリーズものですが、この第1巻で起こった殺人事件の謎は、きちんと解決して終わる「読み切り形式」です。安心して手に取ってください。
用心ぶかい主人公
天海正吾(あまうみ・しょうご)。大学2年生。哲学サークルに出入りしているだけあって、他人とはやや異なる感性の持ち主です。2泊3日の無人島ミステリーツアーに参加するにあたって、あらかじめ大量の食料を買い込んで持参します。本人いわく「料理に毒を混入されることを警戒しているから」だそうです。
血より濃いもの
水口冴(みずぐち・さえ)。大学1年生。3か月前に正吾とつきあい始めました。きっかけは、十数年ぶりの再会。まさか、ふたたび逢えるとは思っていなかった冴と正吾。ふたりは……幼い頃を、おなじ孤児院で過ごした間柄だったのです。
島に伝わる唄
ミステリーツアーの参加者は、正吾と冴を含めて9名。事前に配布されたパンフレットには、唄の歌詞が印刷されていました。
冥府に続く三途川。
黄泉路に浮かぶ河原島。
煉獄にて待つのは林檎の木。
常世の住人が手招き誘う。
現世の帰還はできるかや。
いかにも意味ありげな内容であり、この唄に見立てた「イベント演出としての殺人」が展開されると思っていたら……無人島内で、本当の殺人事件が起きてしまいます。しかも、発見された死体は「ミステリーツアー参加者」でも「現地スタッフ」でもありませんでした。その死体は、見知らぬ人物だったのです。
空気をよめない探偵役
1人目の死体が本当に絶命しているにもかかわらず「いや、これこそがミステリーツアーのイベントなんだ! この死体も、精巧な人形に違いない」と、正吾は騒ぎ立てます。死臭が漂いはじめてもそう言い続けるのだから、空気を読めないにもほどがありますね。
しかし、見知らぬ死体に続いて、ツアー参加者のひとりが殺害されてしまいます。さすがの正吾も「ミステリーツアーの演出ではない」ことを認識しはじめるのです。
動機を探るミステリ小説
『三毛猫ホームズ』(赤川次郎)のような連作ミステリ形式ではなく、シリーズ全編を通して「冴」と「正吾」の隠された過去と因縁を探っていく物語構成が採用されています。『四季シリーズ』(森博嗣)のように、シリーズ全体を覆っている謎を、1作品ごとにチラ見せしていく感じです。
本作『正吾と冴の物語I』は、どうやって殺したか?(ハウダニット)はあまり重視されておらず、誰が殺したか?(フーダニット)と、なぜ殺したか?(ホワイダニット)に重点が置かれて物語が構成されています。
たとえるなら「トリックを重視しない綾辻行人」。そんなの「ミステリ」じゃない……と思うかもしれませんが、主役の「冴」と「正吾」にはナイーブな隠された過去があって、それを軸にして物語が展開していく感じです。「本格」要素を含まない、広義のミステリ小説と言ったほうがよいかもしれません。
著者について
幻夜軌跡(@Osefly)さん。「まぼやのきせき」と読みます。
1984年東京生まれの28歳。大学在学中から小説のことを考えて書き続けてきたという、筋金入りの書き手です。Kindleストアが開始して以来、2013年3月現在、すでに5冊の長短編を発表しています。(参照リンク)
そのうちの1冊である『コンビニの戦士達』は、とあるコンビニで働く総勢22名の群像劇を見事に描いている良作です。すでにAmazonにおいて好意的なレビューが3件もついており、キンドる速報でも取り上げたことがあります。
こんなコンビニで働きたくないw ☆『コンビニの戦士達』 - キンドる速報(KDPの感想・レビュー)
執筆意欲は旺盛であり、作者のプロフィールによれば『5年で10回賞に応募するよりも5年で100冊の電子書籍をリリースするほうが新しい。 そう考えて、目標達成のために書き続ける毎日です』という意気込みを見せています。
幻夜さんの作品を読むかぎりでは、リリース100冊を待つことなく、2,3年以内にはKDP出身作家として頭角をあらわすでしょう。そう確信させる、実力と生産力を備えている書き手です。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。
- 正吾と冴の物語I
- 著者:幻夜軌跡
- 価格:200円
- 読了にかかる時間:約4時間(個人差があります)
- ミステリ度
- ★★★☆☆(3)
- 文章力
- ★★★★☆(4)
- 構成力
- ★★★★☆(4)
- 総合
- ★★★☆☆(3)
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