こんにちは!
毎日エビオス! つんどく速報ライター☆イマガワです。

エヌ氏が主人公のショートショートでおなじみの作家・星新一には、会社社長だった時代があります。星製薬を経営していたお父さんが急逝したことによる、突然の社長就任でした。

今回ご紹介するエッセイ集の作者も、現役の社長さんです。


暇人 不協和な私暇人 不協和な私 [Kindle版]
著者:一ノ瀬こうじ
(2013-02-28)

著者自作の小冊子から始まり、各方面で密かな話題を得た「暇人」がついに待望の電子化。

通勤電車、銀行窓口、行列の出来るラーメン屋、世の中の至る所に生息する時間を持て余した全ての暇人に送る失笑エッセイ集第1弾。自分を偽って生きるつらさを描いた「本当の幸せ」、偉大な人物の親心故に苦しむ「親心のバトン」等、典型的小心者である著者内面の葛藤を、書き下ろし三編を含めた全十編収録。

【目次】
・まえがき
・本当の幸せ
・選択の自由
・人と人とをつなぐ物
・親心のバトン
・双肩にかかる責任
・母の膝枕
・父へ伝えたかった事
・取り戻せない物
・絶対に
・めまい治療
・暇人

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。



自家製の小冊子が、待望の電子化!


著者は、中小企業の社長さん。本書の元となったのは、自家製の小冊子でした。従業員が退社したあと、会社のコピー機でせっせと印刷したのち、自分で製本して知人友人にのみ配布していたそうです。

この手のものは、たいてい『ワンマン社長の自己満足エッセイ』である場合が多いですが、ご安心あれ。本書『暇人 不協和な私』は、ホンモノです。市井の隠れた名エッセイストによる珠玉の10編を楽しめます。

ヤキトリと『空気の研究』


『本当の幸せ』と題したエッセイ。著者は20年間、ヤキトリの味付けにおける自分の好みを偽っていました。周囲の人々には、塩味が好きだと公言していたのです。本当は、タレ味のヤキトリが好きなのに。

そして、40代を迎えた現在。いよいよ、自分を偽って生きることに耐えかねた著者は、なけなしの勇気を振りしぼり、ヤキトリにおける本当の好みをカミングアウトしようと決心するのですが……。

じつに、どうでもいい話です(笑) タレ味が好きだと言えなくなったトラウマについては本文中で明らかにされていますが、くだらないけれど日本人ならあるあると納得してしまうものでした。

胃カメラ実況中継


『母の膝枕』では、著者が健康診断に出向いた時のエピソードで笑わせてくれます。

読み応えがあるのは胃カメラ挿入の実況中継です。苦しくならないよう、ノドに麻酔薬を塗布するところまでは何事もありませんでした。しかし、さらにラクに検査するのに必要な鎮静剤を打ってもらうところで問題が発生します。

検査当日、著者は乗用車で来ていたため、やむなく鎮静剤なしで胃カメラを挿入することになったのです。その様子を書いたくだりは、まさに阿鼻叫喚にして抱腹絶倒。よくもまあ、自分の災難をここまでおもしろおかしく書けるものだと、感心しながら読みました。

著者について


一ノ瀬こうじさん。『いちのせ・こうじ』と読みます。1969年生まれ、東京都出身。お父上の急病をきっかけに、急遽、中小企業を経営することになったという経歴の持ち主です。

ご本人いわく『普段は欲望が渦巻く内面を持てあまし、それを表に出すことが出来ないがゆえに、職場や家庭など、時と場所を問わず葛藤し続けている』そうです。エッセイを書くことで救われている部分があるのかもしれませんね。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。

  • 暇人 不協和な私
  • 著者:一ノ瀬こうじ
  • 価格:200円
  • 読了にかかる時間:約45分(個人差があります)
「ニヤニヤ」度
★★★★☆(4)
「昭和のかほり」度
★★★☆☆(3)
「真面目な顔でボケる」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★☆☆(3)



あなたの一冊をレビューします


つんどく速報では、電子書籍のレビュー候補を受け付けています。
ご応募はこちらから。
おもしろい電子書籍を教えてください(自薦・他薦を問いません)

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット