こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

自力で組み立てられませんでした、ミニ四駆を。だから仲間に入れてもらえなかった暗い思い出があります。

今回ご紹介するのは、そんな不器用だった人間が読んでも楽しめるミニ四駆小説です!


流しのミニヨン・レーサー北川【第一部】流しのミニヨン・レーサー北川【第一部】 [Kindle版]
著者:野間恒毅
出版:ワンダードライビング・ブックス
(2013-05-29)

時は近未来…株式会社タミヤが40年前に発売し、長い人気を得ている電動工作自動車「ミニ四駆」。かつて子供が遊ぶものとされた「ミニ四駆」は大人の嗜む趣味となり、「賭けミニ四駆レース」がアングラで流行していた。

主人公・北川は都内のIT企業に勤める32歳のサラリーマン。しかし裏の顔があり「ミニ四駆」を製作するメカニックであり、レースをするレーサーである。ホームコースをもたず、夜な夜な街のミニ四駆サーキットに繰り出し、コースレコードを塗り替えるのを嗜みとしている。並みいる常連のタイムをたった1日で記録更新して去っていくため、人呼んで「流しのミニヨン・レーサー」。

ひょんなことから望まぬ戦いに巻き込まれ、北川の運命は大きく狂う。渦巻く陰謀、巨大な闇組織の野望。警察組織、国家を相手に孤軍奮闘する北川とその仲間たち。流れる血と命。新橋、新宿、横浜、川崎と場面は移り変わり、北川が最後にみたものとは…

※製品版は、ヨコ書きです。下記プレビューはPC向けです。


もしも、ミニ四駆ブームが終わらなかったら……


本書『流しのミニヨン・レーサー北川【第一部】』は、ユートピアSFであると同時に、ディストピアSFでもあります。

全国の少年たちを熱狂させた『ミニ四駆ブーム』が終わらなかった未来。

それはミニヨン愛好家たちにとって理想な世界のはずなのに……緻密なシミュレーションによって導きだされたのは、ひたすらレースと改造に明け暮れる子供たちが、大人になることを拒否する未来のビジョンでした。

小学生の頃にブームがやってきた


小遣いを貯めて『ミニ四駆』を模型店で買い求め、自分で組み立てて走らせる。友達とレースを繰り返すうちに、マシンを他人よりも速くするには改造が必要なことを知ります。

破滅のレーンをひた走る


彼らは、ミニ四駆レースで勝つために、持てるすべての時間を費やすようになっていました。

学生のうちはそれでも良かったのですが、社会に出たあともミニ四駆熱は冷めることなく、やがて無断欠勤を繰り返しはじめます。そのうち会社を退職する者が続出しはじめ、とうとう社会問題化するのです。

もうひとつのモーターギャンブル


真っ当な人生を捨ててまで最速常勝の車体を追求するミニヨンレーサーたち。最高のマシン同士によって繰り広げられるレースを観戦したい人々。

それぞれの立場は違えども、ミニ四駆に狂乱する者たちの情熱は、やがて新しいギャンブルを日本に誕生させることになるのです。

ミニヨンの賭けレースをめぐる、元少年たちの暗闘


殺人ミニ四駆』というトンデモ設定が登場するほど文章はコミカルチックですが、ストーリー全体においては徹底してシリアスな話題を扱っています。

たとえば、『ミニ四駆飲み屋』内で行われていた賭けミニ四駆レースの摘発に際しては警察とパチンコ業界の癒着構造に言及しており、その他にも、われわれ市民が普段から見て見ぬふりをしている、さまざまな社会の欺瞞を暴いています。

なによりも特筆すべきなのは、本編中において何度も言及されている『このままいけばミニヨン文化が廃れてしまうのではないか』という強い危機感をともなった問題提起です。

とにかく『ダッシュ!四駆郎』世代も『レッツ&ゴー!!』世代も、ミニ四駆を愛する者ならすべての世代が楽しめる1冊だと思いました。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「コミカル」度
★★★★☆(4)
「社会派」度
★★★★☆(4)
「よし! ミニ四駆で勝負だ!」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)

著者について


野間恒毅さん(@noma)。『のま・つねたけ』と読みます。本書は、ブログ『のまのしわざ』(アルファブロガーアワード2011受賞)に掲載されて好評を博していた小説を再構成したものだそうです。

電子書籍化にともない追加された『あとがき』によれば、メディアミックスを想定して書いたことが明らかにされています。物語を完結させた後に、オファーがあるかもしれませんね。

関連作品


月刊ミニヨン技術 vol. 1月刊ミニヨン技術 vol. 1 [Kindle版]
著者:野間恒毅
出版:ワンダードライビング・ブックス
(2013-05-30)



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