つんどく速報（電子書籍の感想・レビュー）

こんにちは！
つんどく速報ライター☆イマガワです。

中二病。それは、恐れを知らないからこそ発揮できる、世界を革命する力。

仮面騎士 [Kindle版]
著者：＊＊＊
出版：七月社
(2013-06-27)

これは私が中学3年生の時に書いた小説です。

ストーリーは、性世界征服を企む悪の組織ショックーに肉体を改造された主人公が、人類と恋人を変態から守るために、仮面マラダーに変身して怪人と戦うというもの。

設定はコメディですが、話は大まじめに進行します。失笑するところ以外、笑える要素はないのでご注意ください。

かつて、どこかで14歳の少年が望み、実際に15の夜々に書かれた小説であるという事実に鑑み、どうか鷹揚な気持ちで読んで頂きたい願う次第。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

お下品な仮面ライダー

主人公の名前は、本号猛(ほんごう・たけし)。またの名を『仮面マラダーSEX』……えっ(ﾟдﾟ)!?

あとで、まとめてツッコミましょう。あ、性的な意味ではなくて、指摘するという意味ですよもちろん。

　仮面マラダーSEX・本号猛は改造人間である。性世界征服をたくらむ地獄の組織ショックーの手にかかって、最も強いSEX人間としてつくられたのであった。しかしショックーの変態手術人が、彼の脳を手術する前に、その力をもって脱出したのである。

ヾ(*゜∀゜)ノ ｱﾊﾊﾊﾊﾊﾊ　やばい。ツッコミどころが有りすぎて、ツッコミきれなーい。

作品の出自がおもしろい

本書『仮面騎士』のあとがきによると、このおバカな小説が生まれたのは、著者が中学3年生のとき。ワラ半紙に手書きでひとおもいに書きなぐったものだそうです。

怪しい……偽書の疑いがあります。

なぜなら、最近のセルフパブリッシング界隈では、中二病の作品がヒットする傾向にあるからです。『架空の歴史ノート』や『我が名は魔性』はネットで話題になったことでヒットを記録しました。

『中学生のときに書いた小説を発掘したってことにすれば売れる』という、2匹目ならぬ3匹目のドジョウ狙いの考えで制作されたもの……だと思っていたら、ちがいました。





ガチだ……

本書内には、壮大な中二病サーガの原本の一部が収録されています。2枚目のような挿絵は、当時水彩で描いたもので、作品内にて何枚も使用されています。

これは本物だ！（たぶん。近年では『偽書「東日流外三郡誌」事件』の例もありますから断定はできませんが）

肝心の内容とクオリティは？

率直な感想を述べます。

超中学生級 の 官能幻想ヒーロー小説 です。

基本トンデモ設定のオンパレードなのですが、中3の書いたものとは思えないほどボキャブラリーが豊富で、この世ならざる情景や異形の存在を描写するときの手つきは、成人の小説家志望すら舌を巻くレベルです。

ちょwwwおまwwww という描写もありますが、

　空洞は慟哭し、海中に消えてゆく――尼と僧が森の中で、僧服をぬぎすてて――きらめく水は空に渦巻き、空は水に渦巻く。透明な、黒い鋼鉄が飛んでゆく――

　少女の緑の目は涙の狂気にくるめいてた。彼女はしどけないなりで横たわっている自分を感じると、白鳥のように、白鳥のような背中と尻を一瞬さらして階段から駆け去った。

とにかく文章が美しいのです。三島由紀夫の再来というと大袈裟すぎるのですが、なかなか堂に入った美文体です。

絶対に読むべき1冊

仮面ライダーのパロディなので、バトル描写も頻出します。これがまた幻想的かつ悲愴感と激情を感じさせるもので、読み応えがありました。本当にすごいんだから。

あぁ、これはホンモノです。著者の『＊＊＊（ななし）』さんは、並の才能ではありません。現在はどのような人生を歩んでおられるのかわかりませんが、著名な作家として大成していたとしても、何ら不思議ではありません。読めばわかる！

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。（スマートフォン、タブレットでもOK）

著者について

＊＊＊さん。『ななし』と読みます。年齢・来歴・現在の職業など、すべてが謎です。単なる憶測ですが、いま出版業界にいるんじゃないかなあ、と思ったり。

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出版：ピヨピヨブックス
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