こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

伊能忠敬といい、間宮林蔵といい、日本人における地図作成に対する執念は、すさまじいものがあります。


架空地図のたのしみ方架空地図のたのしみ方 [Kindle版]
著者:志歌寿ケイト
(2013-06-29)

子どもの頃から架空地図を描いている著者・志歌寿ケイト(しかすけ)が「架空地図」という創作行為についてやさしくまとめた書籍です。

創作の楽しさと苦労、作品の鑑賞ポイント、架空地図に秘められたこれからの可能性など、幅広く紹介していきます。

※製品版は、ヨコ書きです。下記プレビューはPC向けです。


局地的にタイムリーな話題


6月28日の『タモリ倶楽部』において『地図マニアの最終形 ひとり国土地理院大集合』という特集が放送されました。ネットの一部で大反響を呼んでいます。

タモリ倶楽部 「地図マニアの最終形 ひとり国土地理院大集合」まとめと地理人からのご挨拶

タモリ倶楽部「地図マニアの最終形 ひとり国土地理院大集合」のまとめ【その2】 - Togetter

番組内で紹介されていた人たちにも楽しませてもらいましたが、本書『架空地図のたのしみ方』の著者である志歌寿ケイトさんも、相当な『ひとり国土地理院』さんです。

ある地方都市のご紹介


武南市(ぶなんし)。市町村合併によって立ちあらわれた、日本のとある地方都市です。

武南市には、2本の鉄道線が敷設されており、花街の名残を感じさせる『新橋町』や『歌町』という繁華街があります。

kakuchizu_02

ほかにも、合併によって武南市の一部になった温泉街『大桜』があり、せっかく開発したものの区画が埋まらない『樵台(きこりだい)』という新興住宅地が存在します。

貫陽自動車道武南インターの周辺には、食品加工業者が集積する『小隈台』という工業地があり、いっぽうの武南市中心部には商業地区があるけれど、さほど賑わっていません。

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どうでしょう、人口は30万人もいれば多すぎるでしょうか。

いずれにせよ、現代日本において武南市(ぶなんし)という自治体は実在しません。すべては創作によって構築された、架空の地図です。

(ただし、平成の大合併に際して、埼玉県の川口市・鳩ヶ谷市・蕨市が合併して『武南市』(人口60万規模)が誕生しそうになったことがある……らしい。いちおう『武南市 - Wikipedia』というリンクがありますが、これすらも著者の罠かもしれないと思えてくる……)

メイキング架空都市


製作期間は20日ほど。架空の地域を『南北8km、東西10km』に定めます。縮尺は『1:10000』としました。

kakuchizu_03

下書きは、紙と鉛筆を使います。『海岸線・川・鉄道の配分』を構想して書き留め、それを元に、パソコンのお絵かきソフトで区域別に色分けしていきます。

航空写真風を思い描きながら、二次元CADソフトを用いて道路線などを定めていき、そのあと架空の『地名、建物名、会社名』などを割り当てていくのです。

生きている地図をつくる


『架空の都市』を作るというと、シムシティをプレイするのと同一視されてしまいがちですが、すこし異なるようです。

『架空地図』の醍醐味は、線と記号と文字だけを用いて、そこに住んでいる人々の生活はもちろんのこと、地域の過去や未来をも感じ取ってもらうことにあります。文芸やアートにも引けをとらない表現分野なのです。

感想


『架空地図をつくる人』すなわち地図作家を、ズバリ一言であらわすツイートがあったので引用させていただきます。

まさに言い得て妙であり、架空地図とは『作品』であり、まさに『世界』を想像して創造する行為に等しい。

本書を読んで『よーし、架空の地図を作っちゃうぞ!』という人はきわめて少ないと思いますが、小説やマンガなどの創作を志している人にとっては『架空世界の作り方』という面で、おおいに参考になる一冊です。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「タモリ好み」度
★★★★★(5)
「こだわり」度
★★★★★(5)
「新世界の王になれる」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★★(5)



著者について


志歌寿ケイトさん(@shikasukeito)。『しかす・けいと』と読みます。1979年生まれ。愛知県出身。東京23区内の商店街をすべて踏破! 散策家・商店街観察家として、現在も活躍中。


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レビュー有り
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コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. ooo
    • 2013年07月12日 11:23
    • チラシの裏に適当に島の形を描いて
      その中に線で道を書いたりしていたなぁ 
      三色ボールペンで色分けしたりして
      楽しいんだよねぇ
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