こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

もしも7日後に世界がほろびるとしたら、友人・家族・恋人・ペット・2次元の伴侶……。あなたは、誰と最期を迎えたいですか?


そして、世界は静寂を迎えるそして、世界は静寂を迎える [Kindle版]
著者:晴海まどか
出版:白兎ワークス
(2013-06-03)

やまない雨に、静かに世界が沈んでいく。
そのとき、しがないOLでしかなかった私がとった行動は?

なんでもなかった毎日。
変わり映えのしない生活。
友人、恋人、家族。
それらがゆっくりと失われてゆくとき、
自分だけは失われないだなんてどうして言えよう?

淡々と綴られる、日常と狂気のSFホラー文学。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。


やまない雨は……ある


珍しくもない異常気象だと思っていた真夏の長雨。10日以上も断続的に降り続いているというのに、新聞やテレビは大きく取り上げようとしない。

おかしい――親しい友人が言った。さいきん降り続く雨に関して、政府による情報統制が行われているのではないか?

数日後、その友人が危惧していたとおりになった。

 毎週楽しみにしているドラマを見ていたら、突然、冴えない総理大臣の顔がテレビに大写しになった。

 非常事態宣言

 遅いっつーの。

30日間以上、雨が降りつづいていた。首都圏の大部分が冠水し、以前は『国道』だった場所が『大きな川』へと姿を変えて、日本全体が機能不全に陥りつつあった。

もっとも残酷な世界の終わり


隕石。小惑星接近。宇宙人襲来。謎のウィルス。核戦争……etc.

ハリウッド映画は、作品内で幾度となく、あらゆる方法で人類を滅亡させようとしてきました。しかしながら、本書『そして、世界は静寂を迎える』ほど、地味でありながら残酷さを兼ね備えた滅亡のさせ方もないでしょう。

黒沢清の作品に『回路』というホラー映画があります。電話回線を介して拡散する呪いによって、地上から人類がすこしずつ消えていく様子を淡々と描いた静謐なフィルムです。

この小説を読み終えたあとの感覚は『回路』というホラー映画を見終えたときのものと似ています。なぜなら、本書『そして、世界は静寂を迎える』には、粛々と日常生活ひいては社会人間が壊れていくさまが描かれているからです。

この小説の中盤から終盤にかけて起きることは、本当にむごたらしいことばかりなのですが、とくに主人公の心情が淡々と表現されているせいなのか、目を背ける気がおきません。だから、つい軽い気持ちで結末まで読んでしまうという具合です。

序盤だけで判断してはいけない


ここまでレビューしたとおり、本書は素晴らしい内容です。が、Kindleストアのサンプル版で読める冒頭部分は、単なる『カレシとうまくいっていないOLの日記』みたいに見えるとおもいます。でも、それは演出です。

訓練されている読者諸兄のために、わかりやすくたとえるなら『葉桜の季節に君を想うということ』や『イニシエーション・ラブ』を思い浮かべていただければ。あれらも、一見すると退屈な小説ですよね。

いわゆる『※※トリック』ではないですが、まあ似たようなものです(ネタバレではない)。読めばわかる!

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「ホラー」度
★★★★☆(4)
「彼氏がヘタレ」度
★★★★★(5)
「変な水は飲んじゃダメ」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


晴海まどかさん(@harumima)。『はるみ・まどか』と読みます。1983年生まれ。『月1冊ペースで新刊出しちゃおう計画』進行中。椎名林檎のファン歴15年。


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