こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介するのは、たった3千字程度の小説でありながら、Yahoo!ニュース、ニコニコニュース等のネットメディアで紹介された結果、総アクセス数が100万を突破したという話題作を含む、注目の短編集です。


笑いたい奴こっち来い!笑いたい奴こっち来い! [Kindle版]
著者:星井七億
出版:星井七億
(2013-07-07)

ニュースサイトで紹介され「ツイッター」で3000ツイートされた短編「迷名病棟」、三十歳までに童貞を捨てないと殺処分される世界を描いた「ここは童貞処分場」他、四篇を収録したコメディ短篇集。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。


文学フリマ


本書は、2012年11月に開催された『第15回 文学フリマ』にて頒布されていたオフセット本『無痛コメディ教育 笑いたい奴こっち来い!』のデジタル版です。

収録されているのは、短編小説(ショートショート)4作品。1作品あたり15分で読めます。1時間くらいでサクッと読める短編集です。

迷名病棟


時は、2085年。いわゆるDQNネームやキラキラネームと称される『難読人名』が、日本の人口の過半数を占めているらしき未来のお話。

この作品の旧題『未来のDQNネーム事情はこうなる』が、ズバリ内容をあらわしています。

現代において、その弊害が叫ばれつつも、一向に衰える兆しを見せないキラキラネーム問題を、おもしろおかしく皮肉ったコメディ小説です。

たしなみ指南


舞台は江戸時代なのですが、題材は『オタク』です。

アラフォー大工の熊五郎は、同僚たちとも付き合わず、いい歳をして結婚もせず、とある趣味に没頭していました。『春画』の収集と鑑賞です。むかしのエロ本ですね。

そんな熊五郎のもとに、大店の子息が教えを乞いにきます。人生の先輩として『江戸っ子のたしなみを教えてほしい』というのですが……。

これもアイロニーに満ちた短編です。江戸時代の『オタク』である熊五郎は、春画至上主義者であり、それ以外の文化を全否定します。たとえば、流行を否定するために『数手間』という単語が用いたり。読み方、わかりますよね?

ここは童貞処分場


『性的接触能力未熟者対策条例』――通称『童貞処分法』と呼ばれる法律が施行されている未来の物語。

30歳までに童貞を捨てられなければ、社会にとって不要な人間と見なされ、国家権力によって『尊厳死』を強制されます。しかも、プロ女性のお世話になっただけでは非童貞と認められない、という無理ゲー状態。

おバカな設定ですが、ラストの展開には感涙を禁じえませんでした。

余命一ヶ月の花嫁と余命半月の花婿


1組のカップルが登場します。カノジョの方が、難病のために『余命30日』だと宣告されます。悲劇的な状況におちいる恋人たち。ここまでは、よくある物語です。

そのあと、カレシも難病を患っていることが発覚。なんと『余命15日』。人が死ぬという圧倒的事実に反して、なぜかギャグっぽい雰囲気になっていきます。

この作品の見どころは、余命いくばくもない2人に対する、友人たちの反応です。ケチだったり打算的だったりする人間のイヤな部分を、これでもかというくらい見せつけられます。

実力派作家のウォーミングアップ


著者の星井七億さんは、作品のほとんどをブログで発表しています。公式ブログを拝見したところ、まだまだストックがたくさんありそう。

なかでも、ジャーナリストの津田大介さんを扱った問題作『俺の大介がこんなに総受けなわけがない』が、次回作以降に収録されるのか、わたし気になります!

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「笑える」度
★★★★☆(4)
「パロディ」度
★★★★☆(4)
「新世紀ショートショート」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


星井七億さん(@nnnn330)。たぶん『ななおくぷりーず』と読みます。単位はわかりませんが、なにかを七億欲しいっぽい。公式ブログは『ナナオクプリーズ』。


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