こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
『1粒で2度おいしい』という言い回しは、昭和30年に『アーモンドグリコ』 が発売されたときのキャッチフレーズによるものです。
今回ご紹介するのは、1粒で5種類の味を楽しめちゃう短編小説集です。
つんどく速報ライター☆イマガワです。
『1粒で2度おいしい』という言い回しは、昭和30年に『アーモンドグリコ』 が発売されたときのキャッチフレーズによるものです。
今回ご紹介するのは、1粒で5種類の味を楽しめちゃう短編小説集です。
5人の書き手が放つアンソロジー短編集!
『三月ウサギは知っている』
知りたがりの変人と地味で普通な佐藤くんを描いた青春小説
『ヴァージョンBの世界』
古い友人との再会に向かう中、僕を包む違和感の正体は? 近未来SF小説
『霧の盟友』
スカンディナヴィアの海の男たちの英雄譚
『残暑の雪だるま』
少女と雪だるまの夏の思い出を描くダークファンタジー
『ロンドン・プライド』
久しぶりに集まった三人。山口が音信不通になった理由とは?純文学
※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。
本書『わーくしょっぷ [アンソロジー短編集]』は、小説講座で一緒だった仲間たちの手による合同本です。
収録されているジャンルは多彩で、ラブストーリー・SF・ファンタジー・ヴァイキング・純文学。バリエーション豊かで飽きさせない作品集です。
三月ウサギは知っている
著・晴海まどか。タイトルが示すとおり、かの『不思議の国のアリス』の一部をモチーフにした物語です。まさに『三月ウサギ』のごとき女と、『Mad Hatter』という名の紅茶専門店につとめる男が登場します。
『好きだから好きになった』いう、若者特有の身も蓋もない劣情を、古典的名作である『アリス』を援用することによって、スタイリッシュな物語へと変えてみせた著者の手腕が見どころです。
ヴァージョンBの世界
著・楢野葉。『大災厄』と呼ばれる出来事によって、東北は立ち入り禁止区域になっており、東京都は放射能汚染にまみれている。語り手である男は、十数年ぶりに懐かしい女友達と再会するため、ある場所へと向かう。
作中に登場する人工知能や電脳インプラント――サイバーパンクSFを思わせるガジェットが実現されている世界観も見逃せない。
断定できる記述はないものの、ジョン・タイターの予言が的中したとも、某原発の炉心制御に失敗したとも受け取れる、まさにヴァージョンの異なる日本の近未来が描かれています。
いまのところ、KDPによるセルフパブリッシング本には、この作品のような本格的なSF小説は少ないので、とても読みごたえがありました。
短編なのが惜しいくらい、濃すぎる作品も収録
笹原祥太郎『霧の盟友』においては、超がつくほど本格的な『ヴァイキング原初譚』が描かれています。
登場人物の背景や世界観を、限られた枚数に詰め込みすぎているので難渋な印象を受けますが、たとえば『ヴィンランド・サガ』(幸村誠)が好きな人ならば、さほど苦労せずに読み進めることができます。
これこ『残暑の雪だるま』は、母親のネグレクトによる児童の希死念慮について書かれた怪作。冒頭は児童文学っぽいのに、徐々に不気味な展開になっていくのが見どころです。
山田宗太朗さん『ロンドン・プライド』は、高学歴作家志望の苦悩が描かれているのですが、著者自身の経歴とつい重ねあわせてしまい……くじけずに、いつか報われる日が訪れることをお祈りいたします。
個人的には『ヴァージョンBの世界』の楢野葉さんや、『霧の盟友』の笹原祥太郎さんを発見できたのが今回のレビューの収穫でした。ぜひ、長編小説も読んでみたいです。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- わーくしょっぷ [アンソロジー短編集]
- 著者:晴海まどか,楢野葉,笹原祥太郎,これこ,山田宗太朗
- 価格:100円
- 読了にかかる時間:約2.5時間(個人差があります)
- 「満足」度
- ★★★★☆(4)
- 「1粒で5度おいしい」度
- ★★★★★(5)
- 「海賊」度
- ★★★★☆(4)
- 「総合」
- ★★★★☆(4)
著者について
晴海まどかさん(@harumima)。『はるみ・まどか』と読みます。1983年生まれ、千葉県育ち。
楢野葉さん(ブログ)。『ならの・よう』と読みます。神奈川県出身。
笹原祥太郎さん。『ささはら・しょうたろう』と読みます。東京都在住。おでんが好き。
これこさん。群馬県在住。好きな作家は、小川洋子と別役実。
山田宗太朗さん(@ssafsaf)。『やまだ・そうたろう』と読みます。1985年生まれ、静岡県出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。
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レビュー有り
仕事しかできない男はダメだ。洪水のとき会社に取り残される『そして、世界は静寂を迎える』ホラーSF小説
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