こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

かわいい女の子や男の子はかわいいですが、さらに猫耳や犬耳やフサフサの尻尾がはえていたら、もっと愛らしくなると思いませんか?

今回ご紹介するのは、血と暴力と絶望が支配する近未来の街を、犬耳刑事が駆けまわるケモノ&SF&ハードボイルド小説です。

煉獄街煉獄街 [Kindle版]
大村吉高 (著)
出版: 大村吉高; 1版 (2013/12/28)

22世紀、荒廃した世界。人類はヒューマンとミュータノイドという、ふたつの種族に別れていた。

東京自治区の最外殻。天国の地獄の狭間に位置するその街を、ひとは煉獄街と呼んだ。

民間警察組織SSC(ソーシャル・セキュリティ・コーポレーション)に勤める新米ワーカー狗嶋は、初めての依頼を受け、煉獄街にある、とあるホテルに赴く。

『天国と地獄の狭間に位置する街で、ドライになりきれない男と悲しい定めを背負った少女が織り成す、サイバーパンク・ハードボイルド』

あらすじ


22世紀、東京自治区。月に独立国家が樹立している近未来。民間警察組織の狗嶋潤一は、月政府から亡命してきた研究者とその娘の護衛任務を命じられる。

護衛対象の少女――ミオは、幼い顔立ちでスイムスーツをまとい、湯があふれる浴槽に浸かっていた。

単なる入浴ではない。月生まれの少女は、まるでわら人形のような骨組成であり、地球の重力に耐えらないのである。せまい浴槽のなかでヒザを抱えている少女の首には、謎のチョーカー(首輪)が取り付けられていた。

そして、突然の銃撃。襲撃者たちの狙いは、研究者とミオの暗殺

おびえる無力な少女に、非業の死を遂げた恋人の面影をみてしまった狗嶋は――任務を超えた感情を抱き『あなたを守る』という決意を、ミオに告げてしまうのだった。

遺伝子書き換えウィルス


本書『煉獄街』は、隕石によってもたらされた未知のウィルス(シードウィルス)が拡散したのち、地球上のあらゆる農作物が有毒化した未来のはなしです。

シードウィルスは遺伝子書き換え作用を備えており、汚染された食物を口にしたヒトは、みるみるうちに奇形化を起こして死亡。清浄な食糧をめぐって核戦争が勃発します。

煉獄街(れんごくがい)とは、何か?


一部の特権階級のみが、月へ避難することに成功。50年後にワクチンが開発されると、月政府は地球の一部地域の植民地化に乗り出します。それが『東京自治区』です。

シードウィルスに汚染されていない彼らのような人類は『ヒューマン』と呼ばれ、高層ビル内の清浄な環境なかで、楽園のような生活をしています。

一方、自治区の外郭は、瓦礫ヶ原と呼ばれています。汚染食物により命を落とさなかったものの、すでにヒトの形をなさない――キマイラ化した者、すなわち『害獣』たちが身を寄せあう地獄です。

『神曲』(ダンテ)によれば、楽園と地獄の中間地点には『煉獄』があるといいます。

『害獣』たちとは異なり、ヒトとしての理性を保っているものの、キマイラ化によって姿を変えてしまった者たち――ミュータノイドの生活区域を、ダンテにならって『煉獄街』と呼んでいるわけです。

登場人物みんなケモノ


主人公は、煉獄街の治安維持を目的とした民間警察組織SSCの新入社員であり、ミュータノイドです。

あだ名は『たれ耳』。耳がビーグル犬のように垂れて、灰色がかった体毛の持ち主。しかも、ズボンの後ろには小さな穴が空いていて、犬のような尻尾が飛び出しているのです。(´∀`*)カワイイ。

本書『煉獄街』の登場人物たちは、ほとんどがミュータノイド――獣人であることが特徴です。作風はハードボイルドなのに、ケモノ耳や尻尾が頻繁に描写されるので、殺伐としたなかに萌えがあります。

感想


護衛対象の少女――ミオの人物イメージですが、作品中では『幼い顔立ちの割りには背丈のある少女』と書かれています。

個人的には、ミオのスイムスーツはスクール水着だという確信があるので、すくみず姿の桐谷美玲を護衛するハードボイルドSF小説として脳内再生されていました。読んでいて楽しかったです。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • 煉獄街
  • 著者:大村吉高
  • 価格:100円
  • 読了にかかる時間:約4時間(個人差があります)
「月と地球の抗争」度
★★★★☆(4)
「ミュータントもの」度
★★★★☆(4)
「ケモナー萌え」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


大村吉高さん(@NAKA_Yasuyuki)。好きな作家・詩人は、レイモンド・チャンドラー,レイモンド・カーヴァー,ポール・オースター,カール・サンドバーグ,アンドリュー・ヴァクス,安部公房,星新一,宮沢賢治,車谷長吉,谷川俊太郎。


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