つんどく速報（電子書籍の感想・レビュー）

こんにちは！
つんどく速報ライター☆イマガワです。

自動車による人身事故は、物語の重要なファクターとしてよく用いられます。『タッチ』『冬のソナタ』『君が望む永遠』など、ほか多数。

今回ご紹介する作品も、主人公の女性が交通事故を起こしたことを発端にして、物語が大きく動きはじめます。

空白からの手紙 [Kindle版]
里崎　充 (著)
出版: 里崎　充; 1版 (2013/3/12)

一人の女性がおこした事故から始まる運命の悪戯。
愛とは…。
幸福とは…。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

福岡残酷恋物語

舞台は福岡県。大学の映画研究会で知り合った男女が交際をはじめるものの、10ヶ月後に、ふたりは別れを迎えます。

原因は、男――伊東修造の二股でした。しかも「自分の愛車をくれてやるから黙って別れてくれ」などという始末。

その晩、女――水野マキはヤケ酒をあおりますが、あろうことか、手切れ金代わりに押しつけられた車で人身事故を起してしまいます。飲酒運転によるものでした。

交通事故がもたらした縁

マキが車ではねてしまった相手は、若い男性――小倉タクミでした。手足をひどく骨折しますが、不幸中の幸いで、タクミは脳や脊椎損傷をまぬがれます。全治4ヶ月。

そのあと、毎日のように見舞いで顔をあわせるうちに、加害者と被害者のふたりは恋におちていきます。

退院後、正式に交際することになり、マキは新しいパートナーであるタクミと幸せな毎日を送ります。

しかし、ある日。自分を捨てた男――伊東修造が、自宅マンションにあらわれたのです。

クズ男が原因でいろんなことがおこる

本書『空白からの手紙』は、ひとことで言うなら、伊東修造という最低最悪のクズ野郎が、マキやタクミの人生をメチャクチャにする残酷なラブストーリーです。

マキを一方的に捨てたことにはじまり、なんと二股相手に二股をかけられちゃった挙句（m9(^Д^)ﾌﾟｷﾞｬｰ）、性懲りもなく、身勝手な復縁を求めてマキのマンションに押しかけます。

この伊東修造がクズであるゆえんは、本編中にて何度も繰り返されている犯罪行為です。

マキのことを、いまの彼氏であるタクミから取り戻すための凶行なのですが、手口やその準備過程がやたら詳しく書いてあるので、クズっぷりが大変よく伝わってきました。

福岡県民なら、いっそう楽しめる

じつは、本書『空白からの手紙』内における交通事故現場は、わたしが住んでいる近所です。福岡県の南区周辺。搬送されるのは『大橋救急病院』。

もちろん架空の病院名ですが、たしかに福岡県の福岡市南区には『大橋』という地名があります。大橋駅があり、九州大学の大橋キャンパスもあって、おいしいカレー屋さんが多いスポットでもあります。

本編中では、ほかにも北九州市のスペースワールドや天神なども登場します。自分に縁（ゆかり）がある土地を舞台にした小説って、なんだか嬉しいものですね。

寝る前とかに読むといい

今回ご紹介した作品は、ミステリというほどの謎は提示されておらずサスペンスというほどの演出がされているわけはありません。あえていうなら『ラブストーリー』です。

取り扱われている『オチ』も珍しいものではありませんが、読んでいて心地良いのです。スラスラ読める感じ。日本酒の味わいを『まるで水のような口当たり』と表現することがありますが、まさにソレです。

たとえば乗り物の待ち時間や就寝前など、あまり熱中しすぎると差し支えがある――だけど有意義に過ごしたいときのお供にもってこいの1作です。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。（スマートフォン、タブレットでもOK）

著者について

里崎充さん。『さとざき・みつる』と読みます。本書のほかにも『白光』や『犬との生活』という作品を、Kindleストアにて発売中です。

リーダビリティといえば、この作家

トラベラーズ [Kindle版]

如月恭介(@KyouskeKisaragi)

夜明けプランニング

2012-10-27

レビュー有り
ちょっと並行世界いってくる「トラベラーズ」夢みるホームレスの大冒険

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