こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
今回ご紹介するのは、アンドロイド開発者と家出少女の数奇な出会いを描いたSF小説です。
つんどく速報ライター☆イマガワです。
今回ご紹介するのは、アンドロイド開発者と家出少女の数奇な出会いを描いたSF小説です。
いとしの小さな殺人鬼 [Kindle版]
皮算積人 (著)
出版: Grayscale Lovers; 1版 (2013/7/6)
「僕のこの感情は、許されるものじゃない。だって、彼女はまだ小さな少女だから」
造形師、寺西巧。彼が今携わっている仕事は、人間によく似たロボット、いわゆる「アンドロイド」を製作するプロジェクトだった。
ある夏の日、夜の帰り道で豪雨にさらされた寺西巧は、自宅方面行きのバス停で一人の少女と出会う。少女の名は湊春美。雨に濡れ、呆然とする湊に、寺西は強烈に惹かれていく。
※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。
ふたりは出会った
雨夜の帰り道。主人公の寺西巧は、バス停で出会ったびしょぬれ姿の賓客を自宅に招くことになります。それは、小学生とも中学生ともつかぬ、幼い顔つきの少女でした。
いいえ、寸分たりとも邪(よこしま)な気持ちはなかったのです。
彼は、イノセントを愛する男。とある性的嗜好を持ちあわせているが故に、みずからの手で無垢なるものを汚すことなど、けっして有り得ません。
ただ、気になることが1つ。その少女――湊春美の服には、かすかに赤いシミが付着していたのです。
巧は、家出少女を訝しがりながらも、あえて事情を問いただすことはしませんでした。しばらくして、春美はそっと姿を消します。
ロボット開発に従事する芸術家
主人公である寺西巧の職業は『造形師』。現在は、アンドロイド開発の手伝いをしています。
彼自身は芸大卒の売れないアーティストですが、アンドロイドの容貌における不気味の谷現象(※)を克服するために、容姿形成の専門家として参加していました。
(※)ロボットと人間の見分けがつかなくなる一歩手前において生じてしまう嫌悪感のこと。あるいは『バーチャルアイドル伊達●子』初披露に際して、わたしたちがひそかに抱いた心のざわめきのこと。
開発者たちに忍び寄る影
少女が去ったのち、アンドロイド開発の責任者が刺殺されたことを知らされます。主人公は、ふと家出少女のことを連想しますが、確信するには至りません。
ふたたび、姿をあらわす少女。再会を心から喜んだのも束の間――造形師として、アンドロイド開発者として、家出少女と例の殺人事件のふたつを結び付けざるをえない、ある決定的な証拠に直面するのですが……。
感想
少女が隠している秘密も見どころですが、ほかにも、物語の序盤から中盤にかけて散りばめられていた伏線の数々が、終盤にむかって収斂していく展開は圧巻です。
前作『魔法中年っ!』においては、著者のポテンシャルを甘く見積もっていたかもしれません。
本書を読み終えることで、著者の皮算積人さんが、尖鋭的なテーマも扱える書き手であることを発見できました。シリアスな物語のほうが、いっそう筆が冴えるように思います。
それにしても、なぜ例の嗜好がクローズアップされた物語には良作が多いのでしょうか?
例の嗜好の語源となった『偉大な作品』はいうまでもなく、KDPにおいても『藍の炸裂』という同テーマを扱った怪作が存在します。
地上を追いやられた彼らが集う約束の場所――フィクションという名の楽園にそびえる大樹が、また1つ、大きな果実を結びました。わたしは、いったい何を言っているのでしょう……読めばわかる!
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- いとしの小さな殺人鬼
- 著者:皮算積人
- 価格:100円
- 読了にかかる時間:約2時間(個人差があります)
- 「ドラマティック」度
- ★★★★☆(4)
- 「意外な真相」度
- ★★★★☆(4)
- 「あとがきがぶっちゃけてる」度
- ★★★★★(5)
- 「総合」
- ★★★★☆(4)
著者について
皮算積人さん(@LilGiantPanda)。『かわざん・つむと』と読みます。「人生いたずらに」というモットーに基づいて、いたずらに作家活動をしている。
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