こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

今回ご紹介するのは、日本最強のシングルマザーが活躍するスーパーヒーロー小説です。

むささびレディは君のために翔ぶむささびレディは君のために翔ぶ [Kindle版]
コユキキミ (著), 人無化十 (イラスト)
出版: たらこクラブ社; 1版 (2013/10/12)

シングルマザーのスーパーヒロイン、むささびレディ堂々登場! 子育て、むささび、スーパーヒロイン、痛快コメディー!!


仕事と育児を両立させる


日本ヒーロー協会に所属しているシングルマザーのスーパーヒロイン。その名も、むささびレディ

本名は、十六夜翔子(いざよい・しょうこ)といい、未婚の母です。このジャンルにおいては、なかなか珍しい属性ですね。

むささびレディこと翔子には、娘がひとりいます。名前は花純(かすみ)。生後11ヶ月です。

シングルマザーになった理由


2013年現在では、シングルマザーは必ずしも『未婚の母』のみを指すことばではないのですが、幼い花純は、いちども父親の顔を見たことがありません。

翔子は29歳なので、花純を授かったときには分別ある年齢でした。父親が誰かもわかっています。では、なぜ父親が不在なのか?

――翔子の判断によるものでした。妊娠したことを、あえて交際相手に告げなかったのです。

いわく『妊娠したことを知らせれば、翔子自身がスーパーヒロインであることも明かす必要があるため』でした。相手の男性ことを信頼しきれていなかったことも理由に挙げられます。はげしく葛藤した末での決断だったようです。

寓話として優れている


本書『むささびレディは君のために翔ぶ』は、本質的には、現代日本におけるシングルマザーたちの状況を寓意的に取り扱った物語です。

夜6時~朝6時までの12時間労働。むささびレディは夜勤労働者であり、代替の効かない高度な技能を有している――まさにキャリア継続と育児を両立する必要があるわけです。

これは、現代日本におけるシングルマザー問題を考えるために用意された秀逸な設定だといえます。

むささびレディが真夜中の東京を飛び回っているあいだ、花純ちゃんは夜間保育園に預けられます。以下に、1日のスケジュールを記します。

06:00 むささび退勤
06:30 花純お迎え 帰宅
07:00 帰宅 朝食 風呂
10:00 花純 公立保育園へ送迎
11:00 むささび就寝
16:00 むささび起床
17:00 花純お迎え
17:30 花純 夜間保育園へ送迎
18:00 むささび出勤(12時間労働)

本書においては、救いようのないスケジュールをこなさなければいけない翔子のために、ネムリンという名の魔猫が配置されています。人語を解し、空を飛び、時には赤ん坊の世話までしてくれます。

しかしながら、現実の働くシングルマザーには、そんな都合の良い存在はいないわけです。寓話ならではの、諷刺を効かせた設定だといえます。よくできてる。

感想


本編中において鼻白む要素がないわけではないのですが……。シングルマザーを主題に据えた、今までにない物語を創出するという意欲的な試みは、本書において成功しています。

平成ライダーやプリキュアが証明しているように『スーパーヒーロもの・戦隊ヒーローもの』というフォーマットは、まだまだ多くの応用パターンを秘めています。

本書のように、東映ヒーロー特有のノリを小説で再現する試みには興味があります。続編があれば、また読んでみたいと思いました。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「意欲作」度
★★★★★(5)
「むささびジャンプ!」度
★★★★☆(4)
「満足」度
★★★☆☆(3)
「総合」
★★★☆☆(3)



著者について


コユキキミさん(@koyukikimi)。東京都在住。現在、会社勤めのかたわら、KDPにて出版中。


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