こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・ボクサーの生き様と人生哲学をめぐる長編小説
・体感で、全体の20%がボクシング描写
・強い奴が勝つとは限らねえ!勝った奴が強いんだ!
東條仁『Cuffs(カフス) 傷だらけの地図』という漫画をご存知でしょうか? 1997年から8年間、週刊ヤングジャンプで長期連載されていたアクション漫画です。
本書『プロミス・リング』は、その『Cuffs』と同系統のアイデアが用いられている異色のボクシング小説です。大好きなマンガなので、つい連想してしまいました。
本書の主人公は、戸駒逸馬。ボクシング観戦を愛好する、就活中の大学3年生です。ある日のボクシング観戦を境にして、原因不明の昏倒を繰り返すようになります。
ちなみに。表紙イラストの男性は、主人公の逸馬ではありません。いったい誰なのか?
長谷川虎夫。20年前の後楽園ホールの対戦で死亡したプロボクサーです。
ボクシングマニアの逸馬は、インターネット上の動画サイトで、虎夫が死亡することになった試合の映像を目にします。視聴しているうちに、逸馬は、激しい動悸や不意に胸をしめつけるような悲しみに襲われます。
そして、わけもなく溢れ出てくる涙。すべてを思い出す。このとき、逸馬は自分が何者であるかを確信するに至ります。
果たされなかった約束。もはや果たすことのできない約束。本書のタイトルは『プロミス・リング』。まさに『誓い』と『ボクシング』について書かれた小説です。
いちばんの見どころは、迫力あるボクシング描写です。
単にリング上の動きや試合経過を書き連ねるだけに留まらず、専門用語を駆使しつつ、ボクサー同士の駆け引きや、試合に至るまでの想いをうまく絡み合わせながら、躍動感を損なわずに殴り合いの熱気を再現することに成功しています。
恥ずかしながらボクシングのことは全然わからないのですが、そんなわたしが読んでも、テキストのみの描写で、物語中のリング上でいったい何がおこなわれているかを正確にとらえることができました。お見事。
たとえば、登場人物の名前とか。ヒロインとして岸愛乃という女子大生がいます。きしあいの。わかる人にはわかるネタですね。読んでいるときに気付いちゃうと、感動的な話が台無し(笑)
ほかにも、バーナード・ホプキンス、アレクシス・アルゲリョ、フリオ・セサール・チャベスなどの実在する有名ボクサーたちの名前も登場したり、某ボクサー兄弟たちを指して『五買級制覇』と書いてあるのもご愛嬌。
幅広い読者が楽しめるように配慮されている、ボクシング小説の良作です。オススメ!
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
月狂四郎さん。『つきぐるい・しろう』と読みます。著者ご本人もボクサーだそうです。公式ブログ→ ペンと拳で闘う男の世迷言
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つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・ボクサーの生き様と人生哲学をめぐる長編小説
・体感で、全体の20%がボクシング描写
・強い奴が勝つとは限らねえ!勝った奴が強いんだ!
プロミス・リング [Kindle版]
月狂 四郎 (著)
出版: 月狂四郎; 3版 (2013/10/13)
凍りついたままの約束――俺はそれを果たさなければならない。
就職活動を控えた大学生、戸駒逸馬はボクシングの試合を観戦中に昏倒する。その日を境に意識を失う回数が増えていく戸駒であったが、それと同時に、彼は何か大事な事を忘れているのではないかという疑問を持ちだす。
二十年前に死亡事故が起こった長谷川虎夫対メルビン・ノーウッドの映像を観た時、戸駒はすべてを思い出した。
運命の歯車は動き出した。果たして彼は、目の前に立ちはだかる現実に直面出来るのだろうか?
二十年の時を超えた、一人のボクサーのラブ・ストーリーがここに始まる。
異色のボクシング小説
東條仁『Cuffs(カフス) 傷だらけの地図』という漫画をご存知でしょうか? 1997年から8年間、週刊ヤングジャンプで長期連載されていたアクション漫画です。
本書『プロミス・リング』は、その『Cuffs』と同系統のアイデアが用いられている異色のボクシング小説です。大好きなマンガなので、つい連想してしまいました。
リング上の悲劇と20年目の奇跡
本書の主人公は、戸駒逸馬。ボクシング観戦を愛好する、就活中の大学3年生です。ある日のボクシング観戦を境にして、原因不明の昏倒を繰り返すようになります。
ちなみに。表紙イラストの男性は、主人公の逸馬ではありません。いったい誰なのか?
長谷川虎夫。20年前の後楽園ホールの対戦で死亡したプロボクサーです。
ボクシングマニアの逸馬は、インターネット上の動画サイトで、虎夫が死亡することになった試合の映像を目にします。視聴しているうちに、逸馬は、激しい動悸や不意に胸をしめつけるような悲しみに襲われます。
そして、わけもなく溢れ出てくる涙。すべてを思い出す。このとき、逸馬は自分が何者であるかを確信するに至ります。
果たされなかった約束。もはや果たすことのできない約束。本書のタイトルは『プロミス・リング』。まさに『誓い』と『ボクシング』について書かれた小説です。
映像的なテキスト表現を満喫できる
いちばんの見どころは、迫力あるボクシング描写です。
単にリング上の動きや試合経過を書き連ねるだけに留まらず、専門用語を駆使しつつ、ボクサー同士の駆け引きや、試合に至るまでの想いをうまく絡み合わせながら、躍動感を損なわずに殴り合いの熱気を再現することに成功しています。
恥ずかしながらボクシングのことは全然わからないのですが、そんなわたしが読んでも、テキストのみの描写で、物語中のリング上でいったい何がおこなわれているかを正確にとらえることができました。お見事。
遊び心あふれる文章
たとえば、登場人物の名前とか。ヒロインとして岸愛乃という女子大生がいます。きしあいの。わかる人にはわかるネタですね。読んでいるときに気付いちゃうと、感動的な話が台無し(笑)
ほかにも、バーナード・ホプキンス、アレクシス・アルゲリョ、フリオ・セサール・チャベスなどの実在する有名ボクサーたちの名前も登場したり、某ボクサー兄弟たちを指して『五買級制覇』と書いてあるのもご愛嬌。
幅広い読者が楽しめるように配慮されている、ボクシング小説の良作です。オススメ!
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- プロミス・リング
- 著者:月狂 四郎
- 価格:99円
- 読了にかかる時間:約2時間(個人差があります)
- 「アクション描写」度
- ★★★★☆(4)
- 「時空を超えたラブ」度
- ★★★★☆(4)
- 「満足」度
- ★★★★☆(4)
- 「総合」
- ★★★★☆(4)
著者について
月狂四郎さん。『つきぐるい・しろう』と読みます。著者ご本人もボクサーだそうです。公式ブログ→ ペンと拳で闘う男の世迷言
あわせて読みたい
じつは、このレビューを書くときに参考にしたブログが2つあります。
※リンク先、ネタバレ注意! ネタバレ注意!
■月狂四郎さんの新作「プロミス・リング」の感想 : MMミリオンセラー
熱量の高い書評記事です。読了済みの人を対象にしているので閲覧注意。
■「プロミス・リング」の裏話2 - ペンと拳で闘う男の世迷言
著者による自作解説。登場人物のモデルや伏線回収について語っています。
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おもしろい電子書籍を教えてください(自薦・他薦を問いません)
売り上げが急に上がったので「どうした?」と思ったらここに行き着きました。
愛情を感じるレビューでちょっと震えてしまいましたよ(笑)。
ブログも参考にしていただいてありがとうございます。作品解説が個人作家のおナルな企画で終わらずに良かったです。
今後とも是非宜しくお願いします。