こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・連続殺人ミステリ。犯人を返り討ちにして、1人だけ生き残る
・犠牲になった想い人の死を悔やむ→悪魔が契約をもちかけてくる
・犯人を含む5人全員ならば蘇生可能→ふたたび殺人事件が発生
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・連続殺人ミステリ。犯人を返り討ちにして、1人だけ生き残る
・犠牲になった想い人の死を悔やむ→悪魔が契約をもちかけてくる
・犯人を含む5人全員ならば蘇生可能→ふたたび殺人事件が発生
サマータイムリバース [Kindle版]
赤井五郎 (著)
出版: 赤井五郎; 1.2版 (2013/7/10)
本の内容は、まあ、一言で言ってしまえばSF設定ミステリです。
自分では、おもしろいとは思うのですが、このジャンルの先駆的作品として西澤保彦先生の『七回死んだ男』という高いハードルがあるので、それを越えようとしました。
※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。
終わりから始まるミステリ
森の奥深くにある山荘で連続殺人事件が発生します。
鈍器をもちいた惨劇を皮切りに、撲殺、刺殺、両腕切断、射殺などが粛々と実行されたのち、犠牲者は5名まで増えていきます。
唯一の生存者は、主人公の航(わたる)です。
運よく生き延びた彼は、正体をあらわした犯人と対峙することになり、相手を返り討ちにすることで、今回の連続殺人事件を生き残ることに成功します。
ただし――この部分は、物語序盤にすぎません。あろうことか、せっかく生存することができたにもかかわらず、己のある欲望を満たすために、せっかく終わった事件をリセットしてしまうのです。
悪魔はささやく
連続殺人事件の犠牲者のなかに『詩織』という女性がいました。主人公が片思いをしていた相手です。
亡き母の形見である懐中時計から姿をあらわれた悪魔は、死んだ人間を生き返らせることができると主人公に告げます。ただし――
■特定の死者だけを蘇生させることはできない
■生き返る順番を指定することはできない
仕方がないので、犯人の死体を地下室に隔離したのち、悪魔に死者蘇生を実行してもらいます。
しかし、主人公は致命的な思いちがいをしていました。よみがえった犠牲者たちからは真犯人扱いされた挙げ句、犯人であるはずの人物が殺害されてしまうのです。
ささやかな傑作
ネタバレギリギリの発言をします。本書は、クリスティ『そして誰もいなくなった』の野心的な再解釈と言うことができます。いいぞ、よくやった!
大袈裟かもしれませんが(あえて大袈裟に言っています)、きっと実際に読んだ人の多くからは過大評価と言われるでしょうが、わたし個人としては満足度の高いミステリでした。
同水準のクオリティを備えた短編を5~6つほどまとめれば、どこに出しても恥ずかしくないミステリ作品集の完成です。
著者である赤井五郎さんには、ひそかに注目していました。
しかし、赤井作品――とくにSFやミステリジャンルに該当するものは、奇抜すぎる設定が用いられていることが多いため、うまく紹介する自信がなかったのです。
今回ご紹介した『サマータイムリバース』は、小説家・赤井五郎の長所だけを集めたような良作です。自信をもってオススメします。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- サマータイムリバース
- 著者:赤井五郎
- 価格:99円
- 読了にかかる時間:約1時間(個人差があります)
- 「本格ミステリ」度
- ★★★★☆(4)
- 「チャレンジ精神」度
- ★★★★☆(4)
- 「満足」度
- ★★★★★(5)
- 「総合」
- ★★★★☆(4)
著者について
赤井五郎さん(@red56zzz)。『あかい・ごろう』と読みます。著作のあとがきには、かならず古典SFや古典ミステリに関する薀蓄が披露されています。読み応えあり。
本書のあとがきにおいては、魔法とミステリの組み合わせの前例として、ランドル・ギャレット『魔術師が多すぎる』が挙げられています。
ほかにも、ディクスン・カー『ビロードの悪魔』や『火よ燃えろ! 』のような、いわゆるSFミステリを愛好しています。
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