つんどく速報（電子書籍の感想・レビュー）

こんにちは！
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと

・2062年の秋葉原。ラジオ会館の地下には秘密基地
・処分されつつある『欠陥品のアンドロイド美少女』を守るため奔走
・運命シリーズ3部作。はじまりの物語

ヒトとキ (ヒトトキ) [Kindle版]
猫鰯ひろき (著)
出版: 夢花書房 (2013/12/2)

ヒトに紛れてアンドロイドが暮らす世界。処分が決定した一人のアンドロイドの運命は、一人の冴えない少年に委ねられた。

日常の中に潜む非日常に引き込まれた人達、機械のミステリアス・ストーリー！

裏で動く陰謀の正体とは？　運命シリーズ第一弾。運命に翻弄される物語。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

著者は、現役高校生

という情報を知って、興味をもちました。2013年12月現在、高校3年生。本書『ヒトとキ (ヒトトキ)』は、人生で2作目の小説だそうです。

公式ブログの記述によれば、推薦入試の準備を進めながら、制作やらEIN取得やら出版申請手続きをおこなっていたようです。これが若さか……！ サボテンの花が咲いています。

若き挑戦者の登場にワクワクしながら、さっそくKindleストアの販売ページにアクセスしたところ、センスの良い表紙が目につきました。おなじ学校の友人に依頼したものだそうです。



イラスト品質の高さはもちろんのこと、装幀デザインの秀逸さが目立ちます。描かれているのは、作品に登場するアンドロイドの少女です。

アンドロイドを巡るSFミステリ

本書『ヒトとキ (ヒトトキ)』は、2062年の秋葉原やアンドロイドをテーマにした小説です。

この未来においては、特殊なヘッドギアを介して、VC（ヴァーチャル・キャラクター）すなわちヒトの意識を『VW』と呼ばれるネットワーク空間に送信できるようです。

高校生の鉄哉は、ネット巡回先の零細ニュースサイトの情報をもとに、夜な夜な秋葉原に出没するという『欠陥品のアンドロイド』を探して、出会いを果たします。

じつは、その出会いは第三者が仕組んだものであり、アンドロイドが普及した社会におけるアンドロイドの存在意義をめぐって、主人公たちは複数の勢力争いに巻き込まれていくのです。

感想

わかりやすく言ってしまえば『STEINS;GATE』等の空想科学アドベンチャーシリーズを連想させる物語です。

ラジオ会館の地下に秘密基地、ドクターペッパーを愛飲、ロボットオタク設定など――おおよそ察していただけると思います。

本書は『運命シリーズ3部作』の第1弾であり、物語の結末は、アドベンチャーゲームのBADENDを連想させるものです。事件は終結しているものの、本編中のさまざまな出来事や伏線を踏まえると "ある事象" を期待してしまいます。シリーズ第2弾が楽しみです。

未来が始まった

じつは、いまだに実感がありません。KDPを筆頭とするセルフパブリッシング時代の到来に関してです。

日本には、世界よりも30年は先を行く『同人誌即売会』という清濁併せ呑む個人出版エコシステムが存在しますが、それを踏まえたとしてもKDPのようなセルフパブリッシング環境は、未来すぎます。

金銭の対価として求められる品質水準は変わらないものの、印刷や流通の参入障壁にわずらわされることなく、中学生や高校生であってもAmazonで自作小説を販売できる時代がやってきました。

十代の頃には、すでにKDPのようなセルフパブリッシング環境が整っていた。だから作って、販売した――。そんな経験の持ち主たちが、10～20年後には出版の第一線を担っているかもしれません。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。（スマートフォン、タブレットでもOK）

著者について

猫鰯ひろきさん（@hirokikuroneko）。『ねこいわし・ひろき』と読みます。1995年生まれ、兵庫県の高校3年生。

あわせて読みたい

これら2作品の著者たち（当時14歳）は、KDPがあったなら、きっと販売していたはずです。

我が名は魔性 [Kindle版]
清田いちる (著)
出版: ピヨピヨブックス; １版 (2013/4/30)

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＊＊＊ (著)
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