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つんどく速報ライター☆イマガワです。
・ブラジル妖怪大百科
・現地に10ヶ月間滞在して採集した民話集
・幻想的な挿絵イラストを収録(8枚)
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・ブラジル妖怪大百科
・現地に10ヶ月間滞在して採集した民話集
・幻想的な挿絵イラストを収録(8枚)
ブラジル妖怪と不思議な話50 [Kindle版]
野崎 貴博 (著), 田中 良平 (イラスト)
出版: シロウプレス; 3版 (2013/5/5)
日本初、ブラジル妖怪の専門書! ブラジルの妖怪と、不思議な話(UMA、都市伝説、黒魔術、祭り、民間伝承など)で構成された全50章の怪しい世界。
ブラジルの歴史や民俗文化、妖怪を
取り巻くブラジル人の日常生活に加え、著者の現地取材体験をユーモラスに交えた妖怪随筆(挿絵は8つ)です。
※製品版は、ヨコ書きです。下記プレビューはPC向けです。
※本書に収録されている 切り絵 です。
小泉八雲の愛好家が、ブラジルで調べた
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、『怪談』という怪奇文学作品集を著したことで知られています。『耳なし芳一』は、この本によって広く知られるようになりました。
著者の野崎さんは、島根県松江市を拠点とする『八雲会』の会員です。そんな日ごろからの妖怪や怪談への興味が募って、ブラジルのサンパウロに10ヶ月間滞在した折、いくつもの興味深いブラジル妖怪の話を採集したそうです。
その成果として、本書『ブラジル妖怪と不思議な話50』が完成しました。50種類のブラジル妖怪の由来や伝承を収録しています。
妖怪は世界共通かも
肌や瞳の色が異なるだけで、日本とブラジルの妖怪には共通点が少なくありません。
たとえば、ブラジルにも河童がいます。『カベッサ・ジ・クイア』という妖怪で、ひょうたん頭という意味です。川遊びをしている子供を水底へ引きずりこむ悪さをします。
トイレの花子さんに該当する便所妖怪も存在します。『ロイラ・ド・バニェイロ』という名前の少女であり、直訳すると『トイレのロイラ』です。
ロイラちゃんは成仏できなかった死体であり、口と鼻に脱脂綿を入れています。トイレのいちばん奥の個室に入って水を3回流せば会えるそうです。
ブラジル妖怪 3つの特徴
ひとつ。16世紀に入植してきた、ポルトガル人などのヨーロッパ文化の影響が見られる。
ふたつ。それに伴ってはじまった、イエズス会の伝道活動に利用された痕跡が見られる。
みっつ。日本の妖怪とおなじく、教条的な側面がある。ブラジル妖怪のエピソードは、小学校の教科書に掲載されている。
入植者からの強い影響
ブラジル妖怪の生態を眺めていると、非キリスト者に限って不利に働くものがあることに気づきます。
たとえば『ロビゾーメン』という妖怪がいます。狼男であり、洗礼を受けていない子供を狙います。まさにヨーロッパからの入植者が創造した痕跡が見られますし、キリスト教の伝道を促す内容です。
ゾンビもいます。アフリカ系黒人の容貌をしています。労働力として連行されてきた黒人奴隷が、ブラジルにおける妖怪伝承に影響を与えています。
ブラジル版 遠野物語
南米でもっとも有名なのは『サシ』という妖怪だそうです。いたずら好きの黒人の妖怪で、口笛の音色を聴いてしまうと森の中で方向感覚を失うといいます。
サシにまつわる民話は、モンテイロ・ロバト『O SACI』にもまとめられおり、南米の小学校の教科書に掲載されているそうです。
いたずら妖怪 サッシ ~密林の大冒険 [単行本]
モンテイロ・ロバート (著), 小坂允雄 (翻訳)
出版: 子どもの未来社 (2013/10/29)
本書『ブラジル妖怪と不思議な話50』は、読み物としてたいへん面白いです。資料的価値も高い。大げさに言えば、柳田国男の業績――遠野物語に通じます。
当レビューで紹介したものは、本書の一部にすぎません。妖怪に興味がないひとでも、平易な文章とユーモラスな解説によって、ラテンアメリカの歴史と伝承に触れることができる1冊です。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- ブラジル妖怪と不思議な話50
- 著者:野崎 貴博 イラスト:田中 良平
- 価格:397円
- 読了にかかる時間:約1.5時間(個人差があります)
- 「歴史が妖怪をつくる」度
- ★★★★☆(4)
- 「挿絵が素晴らしい」度
- ★★★★☆(4)
- 「満足」度
- ★★★★★(5)
- 「総合」
- ★★★★☆(4)
著者について
野崎貴博さん(@shiropress)。『のざき・たかひろ』と読みます。世界各国の宗教・伝説・伝承・神話を比較することに興味がある。
田中 良平 (イラスト)さん(@ryonutsjp)。『たなか・りょうへい』と読みます。イラストレーター・挿絵作家。公式ウェブサイトでも様々なイラストを閲覧出来ます。→ 絵描き田中良平
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