あけましておめでとうございます。
つんどく速報ライター☆イマガワです。

皆様におかれましては、年末年始のあいだに積ん読は解消されましたか?
わたしは調子に乗ってポチリすぎてしまい、手つかずのものが倍増しました。今年もつんどく速報をよろしくお願いします。

ざっくり言うと


・人気漫画ファンサイトの常連6人のもとに招待状が届く
・その漫画作品における いわくつきの最終話 に見立てた殺し合いがはじまる
・かつてない(!?)『犯人の動機』と『見立て殺人』を満喫できる推理小説

クレイフィッシュ/ブルー(上)クレイフィッシュ/ブルー(上) [Kindle版]
飯田譲治 (著), 梓河人 (著)
出版: 飯田譲治; 2版 (2013/9/21)


クレイフィッシュ/ブルー(下) (クレイフィッシュ/ブルー)クレイフィッシュ/ブルー(下) (クレイフィッシュ/ブルー) [Kindle版]
飯田譲治 (著), 梓河人 (著)
出版: 飯田譲治; 4版 (2013/9/21)

「NIGHT HEAD」「アナザヘヴン」「アナン、」「盗作」「黒帯」に続く飯田譲治と梓河人による約7年振りの長編小説。

深夜、太平洋上の豪華なメガヨットに集まった6人の男女。彼らは殺し屋リコの活躍を描く長編漫画「ブルークレイフィッシュ」のファンたちだった。

彼らの間に連帯感は存在しない。ただ、達成しなければならないひとつの共通の目的のために、その夜をメガヨットの中で共に過ごさなければならなかった。緻密な完全犯罪計画をコンプリートさせるという目的のために……。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

三大奇書には及ばないものの


はっきり言って、まともな推理小説(ミステリ)ではありません。

なぜなら、本書の真相は、われわれ読者が前提としている推理小説の常識や大前提を覆すものだからです。わたしの場合、読了した直後に呆然となりました。まさに離れ業によって成立しているからです。

本書『クレイフィッシュ/ブルー』は、まともではない――並大抵ではない仕掛けと驚きの真相とおもしろさが詰まっている、サスペンス&推理小説です。

あらすじ


6人の男女たちが、豪華クルーザー『ブルークレイフィッシュ号』の船内で、たがいに疑心暗鬼に陥っているところから物語は始まります。

船の名前である『ブルークレイフィッシュ』というのは、いわくつきの人気漫画のタイトルであり、登場する6名の男女は『ブルークレイフィッシュ』ファンサイトの利用者たちです。

ただし、単なるオフ会ではありません。各々は、謎の人物から届いた招待状にしたがい集まったのです。かれらは指示されるがままに6億円の宝石強盗計画を実行して、はずみで殺人を犯します。

手に入れた6億円相当の宝石をめぐって、メンバー同士で仲良く6等分……するはずもなく。ホストとゲストそれぞれの思惑が複雑にからみあったが故に現出した、予測不可能かつ泥沼のようなバトルロワイアルが幕をあけます。

意外すぎる動機


人気漫画『ブルークレイフィッシュ』におけるいわくつきの最終回――それは前半部分だけが掲載されたあと作者は消息を絶ち、数年を経てから唐突に後半部分が公開された、という代物です。

最終回の結末は、当時のファンを失望させただけでなく、99話までの読者たちを全否定する内容でした。陰惨きわまりない『ブルークレイフィッシュ号』事件と並行して、ファンたちを激怒させた最終回の内容が、すこしずつ明らかになっていくという構成です。

登場人物たちの意外な共通点も謎解きの対象です。かれらは、単なるマンガオタクたちの集まりではない、ということです。

いずれにしても、真犯人の『動機』こそが最大の謎でありオリジナリティであると言えます。著者は、推理小説における『動機』の新たなバリエーションを発明したのです。

斬新な『動機』を採用したことによって、陰惨でミステリアスな『ブルークレイフィッシュ号事件』の真相は、ほとんどの読者が予測不可能なものに仕上がっています。

変化球なミステリの読者向け


ぜひ多くの人に読んでほしいので、できるだけネタバレを避けたうえで、もうすこし踏み込んだ解説をしたいとおもいます。

本書は『見立て殺人』の系統に分類できる作品です。作中作『ブルークレイフィッシュ』における いわくつきの最終回 と同じ状況に放り込まれた6人のファンたちが殺しあうように仕向けられます。真犯人の思惑にしたがって。

ただし。読めばわかるのですが、推理小説としてはアンフェア寸前です。しかしながら、著者の構成力と説得力あるストーリーテリングによって「これはアリかも」と納得できる仕上がりになっています。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「予測不可能な結末」度
★★★★★(5)
「問題作」度
★★★★☆(4)
「満足」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


飯田譲治さん(@iidageorge)。『いいだ・じょうじ』と読みます。映画監督、脚本家。代表作である『NIGHT HEAD』や『沙粧妙子最後の事件』のほかに、小説家としても多数の著作があります。

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