こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・サッカーW杯(ワールドカップ)が謎を解くカギ
・謎のおたけび「またみようぞ!」とは?
・『こどもを犯罪から守る町、まちる野』

まちる通りの殺人まちる通りの殺人 [Kindle版]
門屋 亮 (著)

当時中学生だった真中たちは、ゲームセンターで賭けをした男からある仕事を頼まれるが、翌日マンションで男の死体を発見してしまう。

8年後、成人した真中は、元またぎの滝澤、優等生の野島、事件直後に転校していった伊藤と再会する。

ソーシャルサイトの情報から、当時担任だった三神が事件に関係しているのではという疑いを抱く。事件についてそれぞれ過去の記憶を辿る4人。

出来事の断片をつなぎ合わせていくうちに、思いもよらなかった真相が浮かび上がる。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

あらすじ


2014年。巷がワールドカップで盛り上がるなか、中学時代の同級生たちが集まった。仲が良かった3人の男たち。会合の言い出しっぺなのに、いまいち印象がうすいニット帽の男。あわせて4人。

中学生のとき。8年前の2006年。くしくも、おなじワールドカップイヤーに殺人事件に巻き込まれた記憶を呼び起こす。

死体の第一発見者として関わった事件。あれから8年が経って。4人は、殺人犯がまだ捕まっていないことを知る。

集まった男たちが断片的にもたらす新事実の数々。すりあわせていくうちに。彼らのほぼ全員が、何らかのかたちで8年前の殺人に関わっていたことが、明らかになってゆく━━。

張りめぐらされた伏線


2014年1月28日現在のAmazonカスタマーレビューを見ると、伏線というキーワードやほのめかしが目立ちます。

まぎれもなく。『まちる通りの殺人』本編には、いくつもの伏線(ヒント)が散りばめられています。

ただし。

本書の場合、伏線というよりも━━あらかじめ用意した真相を小分けにして、それらを等間隔に配置してあるだけ。という印象を受けました。いわゆる伏線回収の快感は、あまり期待しないほうがいいでしょう。

思弁と諷刺


けっして「つまらない」「凡作だ」と言いたいわけではありません。

そもそも。本書は、純然たるミステリではありません。

8年前の事件について、登場人物たちが固執していないからです。ある人物ひとりだけが躍起になっているにすぎません。(その理由は、終盤において判明する)

ひとつ気になるのは。本編において、語り手である二十歳すぎの青年に、たびたび思弁的なことを語らせている箇所です。

人は誰でも、自分に都合がいいように物事を解釈する。特に自分が理解できないことに対しては。

理解できないことについて、可能性を受け入れることはたやすい。

小説作品レビューのなかで引用すると、あたかも剣の切っ先を喉元に突きつけらている気分になります。いわゆる「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」とも受け取れます。(本書の解釈が的外れだったらスミマセン……)

思弁的な内容にくわえて。最後の数ページにおいては、現代社会への諷刺━━培ってきた狡猾さと高度経済成長時代の余録以外になんの取り柄もない老人たちが幅を利かせている状況への静かな憤りがほのめかされています。

この小説は、いったい……


単純な謎解き、よくある伏線回収型ミステリではないことは確かです。変わり種。

本書は、1時間ほどで読み終えられる小説です。伏線を確かめるために再度読み返しても、合計で1.5時間程度。角川70%OFFセールほどではありませんが、手にとりやすい価格なので、本書に挑戦してみてはいかがでしょうか。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

  • まちる通りの殺人
  • 著者:門屋 亮
  • 価格:250円
  • 読了にかかる時間:約1.5時間(個人差があります)

「W杯ミステリ」度
★★★★☆(4)
「キサラギ」度
★★★☆☆(3)
「満足」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★☆☆(3)



著者について


門屋亮さん(@ryokdy)。『かどや・りょう』と読みます。1974年生まれ。九州芸術工科大学卒業。サイボウズ株式会社勤務。


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