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つんどく速報ライター☆イマガワです。
・全国で巨大な骨がみつかる
・恐竜の化石だと思っていたら……巨大な類人猿!?
・巨人信仰がもたらす死と狂騒
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・全国で巨大な骨がみつかる
・恐竜の化石だと思っていたら……巨大な類人猿!?
・巨人信仰がもたらす死と狂騒
日本忌 [Kindle版]
葦原葭彦 (著)
日本各地から巨大な骨が次々と出土した。当初、恐竜の骨と信じられていたそれらは、その異様な出現状況から人々の関心を集める。
巨大骨が「日本の死の象徴」だという奇怪な説を発表した准教授が変死すると、他愛ない噂話に過ぎなかったオカルト傾向が、一気に国民の間で広まり、「日本の死」を予言したとされるトンデモ本作者の元教授が一躍、時の人となる。
平凡で、どうしようもない登場人物の人生の切片をとおして描かれる、これは「日本の死」「終わりの終わり」の物語。
※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。
謎の巨大骨格と怪死事件
現代の日本各地において。突如として、巨大な石塊が姿をあらわします。
調査の結果、巨大な生物の骨であることが判明。マスコミは 新種の恐竜━━ニホンサウルスの化石を発見か!? と連日のように騒ぎたて、大衆は浮き足立ちます。
しかし。さらなる精密な分析によって、恐竜の化石だと思われていたものは類人猿の骨であることが判明します。
巨大な類人猿━━すなわち巨人が実在したかもしれないという手がかりです。
異変は、とつぜん起きました。調査委員長をつとめていた専門家が、変死体で発見されます。
この怪死事件をきっかけとして。
巨人とおぼしき骨の発見にかこつけて、スピリチュアルめいた、あるいは不穏なムードが社会に蔓延しはじめるのです。
巨人信仰をめぐる狂騒
本書は、いわゆる日本忌ブームの発端から終息に至るまでを描いたドキュメンタリー風の群像劇です。
『日本忌』は本書のタイトルであり、作中作であるトンデモ本のタイトルです。
その主張というのが『日本という国家は、古代や中世に備えていたはずの価値観を喪失しており、比喩として死を迎えつつある。それは精神的支柱であった巨人信仰が廃れてしまったからだ』というものです。
巨人とおぼしき骨が発見されるよりも以前から巨人信仰の重要性を唱えていたため、『日本忌』の著者は大いにもてはやされます。それまでは絶版扱いだったものが一転してベストセラーになったほどです。
著者は手練れ
そんな作中作『日本忌』の著者である元大学教授が、喫茶店でやきそばを食べるシーンがあります。
本編序盤において。担当編集者が、元大学教授に『日本忌』の絶版を告げる場面です。
本筋を差しおいて、本書の圧巻とも言えるシーンです。おかしな褒め方ですが、とても面白い場面であるし、著者の資質や実力がもっとも現れているのだから仕方ありません。
やきそばを食べる様を観察している女性編集者が、延々とネチネチと数ページにもわたって『日本忌』の著者である元大学教授を論評してみせる心理描写は、この部分だけでも読む価値があるくらい見事なものです。
感想
大衆が日本忌ブームの熱狂に踊らされているくだりでは、2ちゃんねるやニコニコ動画やピクシブなどの反応も引き合いにしています。テーマはオーソドックスですが、時事性を取り入れることによって現代ならではの物語を書こうという意欲を感じました。
巨人信仰という大風呂敷なテーマを扱っているわりには、始まりから終わりまで地味に淡々と進行します。現代日本を、きわめて冷めた視線で書き起こしているためです。
けっしてハリウッドの災害映画のような筋運びにせず、あえてエンタメ性を抑えている印象を受けました。読者にとっては、好みが分かれるところだと思います。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- 日本忌
- 著者:葦原葭彦
- 価格:280円
- 読了にかかる時間:約2時間(個人差があります)
- 「諷刺小説」度
- ★★★★☆(4)
- 「高度な文体」度
- ★★★★☆(4)
- 「満足」度
- ★★★★☆(4)
- 「総合」
- ★★★★☆(4)
著者について
葦原葭彦さん(@perkypatdoll)。『あしはら・よしひこ』と読みます。懐古趣味。アイロニーの人。
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コメント
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レビューで少し興味をもったけど、買うのはどうかなと悩んでしまった方、この機会に一読していただけたら幸いです。