こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・考古学×オカルト×探偵
・クトゥルフ要素あり
・複数のMMORPGに偏在する神とは?

暗闇のメランコリー -Nightmare Tripper #1-
蔵内 終
出版: 天尾谷忌憚; 1.1版
2013-12-30


探偵・藪蔵不童(やぶくらふどう)は、久しぶりに本業の依頼を受けるが、それは「自殺した友人は自分が殺した」と言い張る女子高生の真犯人を探す奇妙な依頼だった──。

超常現象が多発する“天尾谷”を舞台にしたジャパニーズ・コズミックホラー
「ナイトメアトリッパー」シリーズ、ここに開幕!

(2012年作品/総文字数約70,000)

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

あらすじ


『あまおやライフ』というフリーペーパー(タウン誌)があります。誌面でいちばんの人気を誇るのが『アマオヤ・アドヴァタイザー』という企画ページです。

内容は、読者から寄せられた怪奇現象の体験談やオカルトじみた噂を取り上げて、実際に取材をおこなうというもの。

本書『暗闇のメランコリー』の主人公である藪蔵不童は、大学では考古学を専攻していた私立探偵です。友人の女性ライターに請われて『アマオヤ・アドヴァタイザー』の調査を手伝うことになります。

3つの事件


ひとつは、MMORPG上に偏在するという神について。複数タイトルにまたがって、gratzenoshkaという同一IDをもった神プレーヤーが、MMORPGユーザーのあいだで話題になっていました。

ゲームマスター権限でさえ垢BAN(削除)することができず、プログラムレベルでは消去できるものの即座に復活する。MMORPGの仮想空間において、信仰のようなものが形成されつつあった。

ふたつめは、とある廃村の沼に棲むという守り神について。探偵・藪蔵不童が関わった事件としては初期のものですが、じつは全ての始まりでもあります。

みっつめ。「寮のルームメイトが自殺した。でも……殺したのは自分かもしれない」という、名門女学校の生徒から打ち明けられた奇妙な告白。

すべての依頼者に共通しているのは、現実ではない場所━━オンラインゲーム、夢、SNSなどによってもたらされた不吉な暗示でした。

くしくも、藪蔵は三代続く考古学者の家系です。学会において高名であったにも関わらず、祖父や父は、ひそかに超常現象にまつわる研究をおこなっていました。

三代目である藪蔵不童が、これらの不可解な事件に関わることになったのは、ある種の宿命を感じさせます。

感想


主人公が探偵や考古学者で、オカルトがらみの調査の過程において超常現象をともなう事件に巻き込まれる━━という設定だけで、ワクワクせざるを得ません。

なぜならば、90年代前半に隆盛した某ゲームジャンル、たとえば『DE・JA』『黒の断章』『EVE burst error』『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』などを彷彿とさせるからです。大好き。

とくに『涼崎探偵事務所ファイル』シリーズの続編である『人工失楽園』のマスターアップ報告を毎月待ち構えている身からすれば、よくぞこういうものを書いてくれたと小躍りしながら読みました。

本書の要素をひもとけば、クトゥルフ・探偵・依頼者は女生徒。これらを含んだ三題噺が面白くならないはずがないわけで、わたしは存分に楽しむことができました。

作品名には『#1』という表記があるので、ぜひとも第2話・第3話と重ねてほしいものです。かならず購入させていただきます。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「オカルト」度
★★★★☆(4)
「ミステリ」度
★★★★☆(4)
「満足」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


蔵内 終さん(@kurauchiowari)。『くらうち・おわり』と読みます。第14回「海燕」新人賞2次予選通過 経験あり。

なつかしいですね。むかし『海燕』という文芸誌がありました。角田光代・小川洋子・吉本ばななを輩出しています。

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