こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・10年以上にわたる闘病記
・眠れなくても楽しく生きる方法とは?
・泣き言は皆無であり、笑って読める内容



もう10年。「眠れない恐怖」との戦いが続く。

東洋医学。寝具あれこれ。体を疲れさせるスポーツあれこれ。あげくにセラピー。医者。クスリ。そしてまさかの入院。

自らが不眠症の文藝賞受賞作家の驚愕の日々を描く。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

結局、治ったのか?


治っていません。むしろ、どんどん悪化していく過程が書いてあります。

発症したのは、著者が『(株)リクルート』を辞めた直後です。昼も夜もなく1日十数時間労働&残業160時間以上/月を続けたあと、入社4年後に退職することになります。

ただし、誤解しないでください。睡眠障害がきっかけで辞めたのではありません。

むしろ、会社員時代は健康でした。退職した直後に、思いがけない不眠症状が現れはじめます。

症状の程度は?


30時間以上眠れない日などを含めて、週平均3時間です。ハルシオンやトランキライザーなどの睡眠薬を大量服用しても、なかなか眠ることができません。

アモバン、ダルメート、エリスバン、コントミン、コントール、サイレース、ソラナックス、デパス、レンドルミンなどを取っ替え引っ替えして、果ては、ラボナやベゲタミン等の経口麻酔薬や強力な向精神病薬の処方を試みたりもします。

それでもなお眠れない場合は、薬剤をお酒と一緒に服用する━━自身の寿命と引き換えに、ささやかな安堵を得ようとするのです。

治療内容は?


著者は、強い薬剤耐性の持ち主です。毎食後、致死量ギリギリの十数種類の眠剤カクテルを服用しているにもかかわらず、従来あるべき効果が現れません。

つまり、医者が匙を投げるほどの不眠症です。どう対処したのか?

本書『そうよアタシは不眠症の女』の著者は、ますます仕事や趣味や遊びに励むことに決めて、積極的に活動しはじめます。

いちど辞めた会社に嘱託社員として出戻ったかと思えば━━仕事の合間に小説を執筆したり、テレビのニュース番組のコメンテーターを務めたり、講演をおこなったり、ピアノや声楽や料理などの教室に通いはじめ、ジム通いをして徹底的に鍛えたり等々。

重度の不眠症患者のくせに、鬱や停滞とは真逆へ向かって走りはじめるのです。

感想


まさに、超人的不眠症患者です。決してフィクションではありません。

正真正銘の実話ですから、やはり限界が訪れます。終盤において、薬疹による全身性皮膚疾患を発症したのち入院することになります。不眠症に気づいてから数年を経て、ようやく病人らしい生活がはじまるわけです。

けっして笑いごとではないのですが……奇想天外な著者の思想や行動原理を面白がらずに読むことは難しいと思います。本書は、世に類を見ない不眠症闘病記です。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)

「不眠」度
★★★★★(5)
「奇想天外」度
★★★★☆(4)
「満足」度
★★★★☆(4)
「総合」
★★★★☆(4)



著者について


結城真子さん。『ゆうき・まこ』と読みます。作家。1962年、大阪府吹田市生まれ。

同志社大学卒業後、(株)リクルート勤務を経て、1989年に『 ハッピーハウス』で文藝賞を受賞します。 同賞出身者としては、田中康夫・山田詠美・綿矢りさ・今村友紀などが有名です。

今回ご紹介した『そうよアタシは不眠症の女』は、2001年に刊行したのち絶版になったものを、KDP経由で電子書籍化しています。


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眠れない
結城 真子
出版: シーソウブックス; 1版 (2014/1/14)



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