こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・第1回きんどう賞 受賞作(参考リンク)
・苦悩する新人漫画家の奮闘記
・即売会で好評だったシリーズ3作品を1冊にまとめたもの
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・第1回きんどう賞 受賞作(参考リンク)
・苦悩する新人漫画家の奮闘記
・即売会で好評だったシリーズ3作品を1冊にまとめたもの
「これから皆さんに漫画を教えます」
高校で「漫画表現」の授業を担当する非常勤講師「響美晴」
彼女はまた駆け出しの新人漫画家「ひびきみはる」でもあった
教職と漫画活動の間を駆け巡る生活を描くコメディ漫画シリーズ
2005年〜2010年に自費出版で発行の読切3作品を総集。(本文合計71ページ)
※下記プレビューはPC向けです。
憧れ産業の講師とは
専門学校やカルチャーセンターで先生(講師)を務めているのは、第一線で活躍していない人たちです。
もちろん例外はあります。大学の非常勤講師や特任教授の場合は、しがらみがあったり、経歴に箔がついたりするので、忙しくても引き受けることがあるようです。専門学校であれば、不定期のゲスト講師として人気クリエーターを招くこともあるでしょう。
そのような例外を除いて━━商業誌で連載中の作家ならば、他人に教えている時間の余裕なんてあるはずもなく。
クリエイティブ業界における講師(先生)というのは、教授するための技術を備えている人、あるいは、さほど世間から求められていない商業経験者が従事している印象があります。
新人漫画家のくせに……先生!?
本書『漫画の先生』における主人公も、似たようなものです。
大学在学中に商業デビューしたものの、スムーズに第2作目へと繋げることができず、担当編集者に持ち込みを繰り返している新人漫画家。
デビュー直後の作家にはよくある光景……かと思いきや、ややニュアンスが異なります。
即売会イベントに頻繁に出入りしていたり、第1話が80ページ以上というネームを提出したり━━商業作家のセオリーからはずれた行動をとりがちな、いかにも苦労しそうなタイプの人物像です。
そんな彼女が、生活費の足しにもなるからと引き受けた、高校生たちを相手に週1回教えるという体験を通して、うまくいかない現状に足踏みしたり、目標の再確認をおこなって奮起する日々が描かれています。
甘くない。ひたすらニガイ
本書『漫画の先生』は、デビューしたけれど次のステップに行けない新人作家の葛藤を描いた漫画です。
藤子不二雄A『まんが道』と大きく異なるのは、まだ何も成し遂げていない人物の奮闘記であり、(あくまでも主観ですが)将来もパッとしないであろうことを予感させるところです。
作者あとがきによれば、講師を務める部分はすくなからず実体験にまつわる内容であることがほのめかされており━━けっして自虐的なつもりで描いているのではないと思いますが、いち読者としてはビターな気持ちになりました。
小説にせよ漫画にせよ、脚光を浴びることのできる作り手はひと握りであり、たとえプロ(商業作家)としてスタートラインに立てたとしても、その後の3年・5年・10年生存率を鑑みると、つくづく厳しい世界だなあと愕然とします。
みずから望んだとはいえ、商業━━しかも漫画という苛烈な競争が繰り広げられている修羅の道に足を踏み入れてしまった本書の主人公に、哀愁というか悲哀というか、そういうものを感じました。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- 漫画の先生 ~2010
- 著者:なかせよしみ
- 価格:150円
- 読了にかかる時間:約20分(個人差があります)
「まんが道」度 ★★★★☆(4) 「憧れ産業の裏側」度 ★★★★☆(4) 「満足」度 ★★★★☆(4) 「総合」 ★★★★☆(4)
著者について
なかせよしみさん(@yosimin)。漫画家。コミティア等の創作系自費出版漫画イベントに多数参加。2013年末に『漫画の先生 新シリーズ』を刊行しています。
ちなみに。作者あとがきにおいて「私の妻」という記述がありまして、このたび驚愕しております。
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