こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・名作ミステリのネタバレ解説が満載
・着手は9年前。作品に惚れ込み、徹底的に調べあげた成果
・これを読めばもっと楽しめる、最強の副読本

謎解き『イニシエーション・ラブ』謎解き『イニシエーション・ラブ』 [Kindle版]
ゴンザ (著)
出版: ゴンザの園 (2013/3/11)

乾くるみ氏による希代のトリック小説『イニシエーション・ラブ』。

1980年代の静岡と東京を舞台にして語られる、どこにでもありそうな若者たちの恋愛の理想と現実。すーっと何も考えずに読んでしまえば、なんということもない物語ですが、実はその裏には丁寧に、緻密に組み上げられた驚くべきプロットがあります。

この小説のトリックに気がついても、実はその細かい仕掛けにまでは気づけないままの人が多いかと思いますので、じっくりみっちり解説してみました。数学科出身の著者が仕掛けた、数学的なギミックの数々。堪能してください。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

ファンと作家が並んでVサイン


今回ご紹介するのは、累計発行部数65万部のミステリー小説『イニシエーション・ラブ』にまつわる、出版社非公認のトリック解説書━━ネタバレ本です。

「×××について語ろうと思えば、本が何冊も書けてしまうよ」という言い回しがあります。著者のゴンザさんは、まさに体現している人物です。KDPを利用して、個人で電子書籍を出版しました。

現在、AmazonのKindleストアにおいて『イニシエーション・ラブ』を検索すると、以下のような結果が表示されます。

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Amazon検索: イニシエーション・ラブ

出版社の本とセルフパブリッシング本が同列に、非公式ネタバレ本とネタ元のミステリー小説が隣接して表示されるという、シュールかつユニークな光景です。

本書は、単なるネタバレ本ではありません。もしもネタバレ総選挙なるものがあれば、Aチーム入りは確実、文句のつけようがない、もはや正当性すら備えてしまっている、上質なトリック解説本です。

難問&異色の恋愛ミステリ


イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫) [Kindle版]
乾 くるみ (著)
出版: 文藝春秋 (2012/9/20)

メフィスト賞作家・乾くるみ『イニシエーション・ラブ』は、まるで隠し絵のようなミステリー小説です。
言うならば、平凡で牧歌的な風景画だと思っていたのに、ひそかに数十柱の悪魔が描き込まれている━━そんな周到かつ高難易度で、読者が震えあがるほどの仕掛けが施されている作品です。

仮に、ネタバレ本である『謎解き~』を、ネタ元よりも先に読んでしまい、物語の全貌を知ったとしても、にわかには信じられないと思います。

ネタバレ本において解説されているトリックの数々が、ほんとうに破綻なく実現されているのか否かを確かめるために、おもわず、ネタ元の『イニシエーション・ラブ』を買い求めてしまうこと請け合いです。

まさに『謎解き~』は、営業妨害になるどころか、すぐれた販促小冊子あるいは副読本の役割を果たしています。

個人的には、非電子書籍ユーザーのために、文庫の巻末付録として袋とじ収録すれば良いのに……と思ってしまうほど、充実のトリック解説が収録されている一冊です。

怒涛のランキング上昇


とにかく、売れています。本書『謎解き~』は、直近2週間のあいだに、KDP本としては珍しく総合ランキング2ケタ台を記録しています。

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amaran : 謎解き『イニシエーション・ラブ』

Amazonランキングデータによれば、3月4日からランキング上昇が始まって、いまのところ最高順位は、3月16日付の53位です。なぜ、このような現象が起きたのか?

ネタバレ対象である『イニシエーション・ラブ』が、総合ランキングの1~5位にランクインした相乗効果によるものです。

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amaran : イニシエーション・ラブ Kindle版

2007年の文庫化をきっかけにした大ヒット以降、『イニシエーション・ラブ』は繰り返し注目されてきましたが、今回のKindleストアにおけるランキング変動の原因は、テレビです。

3月3日放送のバラエティ番組『しゃべくり007』のなかで紹介されたことによって、書店および電子書籍ストアで大きな動きが生じました。

書いたのは9年前


ちなみに。KDPを利用して『謎解き~』がKindleストアに並んだのは昨年2013年の3月です。つまり、1年越しのヒットです。ブログ記事を、著者みずから電子書籍化に動きました。元記事には、現在もアクセスすることができます。

【参考リンク】謎解き『イニシエーション・ラブ』 序章 時系列データ: 【ゴンザの園】

じつは、著者が考察エントリーをウェブ公開したのは2005年のことです。これはネタ元の『イニシエーション・ラブ』が出版された翌年であり、いまから9年前です。

知る人ぞ知るネタバレ考察記事だったのは確かですが、9年越しにようやく陽の目を見た、と言うこともできます。以前、トリック解説を求めてたどり着き、当該ブログ記事にお世話になった身としては感慨深いです。

今回の事例は、セルフパブリッシングというシステムがもたらした、まったく新しい光景であり、ウェブ上におけるストックに新たな付加価値が生じた具体例でもあります。乗るしかない、このビッグウェーブに!

【参考リンク】ライブドアブログで、電子書籍を作成できる
【参考リンク】でんでんコンバーター
【参考リンク】EPUB3::かんたん電子書籍作成

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)


「完成」度
★★★★★(5)
「作品への惚れ込み」度
★★★★★(5)
「満足」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★★(5)



著者について


ゴンザさん(@twittegonza)。静岡でネタを集めるPerfume好きの「街歩き」人間。

【参考リンク】【KDP最前線】ここまで読み解きますかっ!「謎解き『イニシエーション・ラブ』」を執筆したゴンザさんにインタビュー | きんどるどうでしょう


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