こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・著者は、40歳の大学教授。妻子を連れた1年間の海外研修。
・海外留学もの特有の自慢話がいっさい無い。
・涙と無力感をこらえながら、パブ通いに明け暮れた1年間の奮闘記
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・著者は、40歳の大学教授。妻子を連れた1年間の海外研修。
・海外留学もの特有の自慢話がいっさい無い。
・涙と無力感をこらえながら、パブ通いに明け暮れた1年間の奮闘記
ガンオタ教授のイギリス留学漂流記 [Kindle版]
木野 仁 (著)
普段は家で酒を飲みながら、パンツ一丁でガンプラ作りに忙しい大学教授が、ひょんな事からイギリス留学のチャンスを与えられる。
しかし、この男は海外留学などは行きたくない「日本大好き人間」であり、英語もままならない。
そんなダメ教授が不安を爆発させながらも、戦力外の家族と共に海外留学に立ち向かって行く。実際に起こった出来事をもとにした、涙あり笑ありのドタバタ日記である。
本書はビール片手に読むような娯楽書である。
もしあなたが、以下に該当するならば、是非にも読んで頂きたい。
・イギリス生活に興味のある人
・海外留学に興味のある人
・海外勤務が決定した(決まりそうな)人とその家族
・「海外留学で人生の一発逆転が出来る」と思っている人とその家族
・「英語を上達するには、留学が一番である」と考えている人
・大学などのアカデミックな仕事に従事している人
今回の留学では筆者に加え、嫁と子供2名を加えた合計4名での海外生活であった。この点の苦労においては、家族で海外勤務を強いられるサラリーマンとの共通点も多いと思われる。
※製品版は、ヨコ書きです。下記プレビューはPC向けです。
現役のロボット工学研究者
著者は、40歳の大学教授。本編中において『地方大学に在籍しているロボット工学の研究者である』と自己紹介しています。
ガンオタ教授を自称しているだけあって、いまでもガンプラが大好き。そもそも、ガンダムに憧れてロボット工学の研究者を志したというのですから、筋金入りです。
教授、ノッティンガムの大地に立つ
さかのぼること、2010年。かねてより英語の習熟度に不安を覚えていた著者は、所属している大学の『海外研修(サバティカル)』制度を利用することを決意します。
渡航費用・留学中の給料・現地滞在費などの大部分を、大学に負担してもらえる制度です。
新たな研究分野の開拓と、語学力の向上を目的に定めて、滞在先をイギリスに決めました。
渡航前、最初におこなったことは、研究者として受け入れてくれる現地の大学探しです。英国ノッティンガム地方の大学に客員教授(任期1年)の籍を確保することができました。
順調に見えるけれど……
じつは、ここからが苦難のはじまりでした。
単身赴任のつもりだったのに━━著者の妻が「海外生活を体験したい!」と強く主張したことにより、自動的に幼稚園児2人も連れて行くことになったのです。
このとき単身赴任を強行しなかったのは、客観的に見て、今回の留学がうまくいかなかった原因のひとつだと思います。
なぜなら、イギリス滞在の多くの時間を、度重なる家族のトラブル(病気、入学手続き等)に煩わされていたからです。奥さんは英語がまったく話せず、本編中では何度も『戦力外』ということばが登場します。
語学習得という目的から鑑みれば、1年という限られた留学期間において、あきらかな時間のロスであり機会損失だったといえます。
それに加えて。慣れない土地で、慣れない文化様式と言語による書類手続きに煩わされた著者は、ストレスによる慢性的な高血圧症に見舞われて、何度も体調を崩します。
度重なる不運の連続に、おもわず感情移入しながら読み進めました。
当初の目的だった、現地のネイティブ相手の英語学習もはかどりません。
一時期、迷走状態に陥った著者は、現地で海外ドラマ『フレンズ』のDVDを購入して、それを観ながら英語学習しようとしたほどです。ちょっと笑ってしまいました。
ほとばしるガンダム愛
本書『ガンオタ教授のイギリス留学漂流記』の収録エピソードは失敗談が多いのですが、著者の語り口がユーモラスなので、読んでいてイヤな気持ちにはなりません。隙あらばガンダムエピソードをインサートしてくるところもユニークです。
教えてもらったパブに到着すると、とにかく広い。客が大勢いてワイワイとしている。正に酒場といった感じ。
(中略)
本書の読者を想定して言えば、「ランバラルとハモンが、アムロと出会った酒場を豪華にした感じ」と言えば分かるだろうか?
『ガンオタ教授のイギリス留学漂流記』から引用
なるほど。あんな感じですね。わかりやすい。
ちなみに。目次も、ガンダムネタまみれです。
■大学フラット脱出作戦
(ファースト#4 ルナツー脱出作戦)
1ヶ月しか住めない大学寮を出て、現地物件をさがす話
■エイゴ包囲網を破れ!
(ファースト#23 マ・クベ包囲網を破れ!)
研究室の同僚たちとのコミュニケーションに悩む話
■血圧は憎しみ深く
(ファースト#21 激闘は憎しみ深く )
━━著者がストレス性の高血圧に悩まされる話
ほか、ZガンダムやGガンダムなどから多数。
途中からはガンダムネタに留まらず、なぜか銀英伝ネタや聖闘士星矢ネタも混じりはじめます。くわしくは、本書でお確かめください。
感想
イギリス生活の序盤は落ち込むことが多かったようですが、研究室の同僚たちと酒場通いをはじめたあたりから、著者の肚がすわりはじめます。
私生活では様々なトラブルに見舞われながらも、トータルでは海外留学生活をエンジョイしている様子が感じ取れます。
本編中で紹介されている英国ノッティンガムの生活風景は、なかなか興味深いものが多いです。
たとえば。バス停に立っているだけでは、バスには乗れない。タクシーを拾うようにして、何らかのジェスチャア(身ぶり手ぶり)が必要だったそうです。
イギリスではおなじみの『フィッシュ&チップス』におけるフィッシュ(タラ)が、想像していたよりもずいぶん大きかったことも印象深いです。(画像あり。普通サイズが、ビールの500ミリリットル缶の2~3倍くらい)
本書『ガンオタ教授のイギリス留学漂流記』の草稿は、留学中に著者がインターネット上で公開していた留学生活ブログです。
当時はリアルタイムで更新していたので、おなじ境遇の研究者や、これから留学を控えている人たちによく読まれていたそうです。
著者がまだイギリスに滞在中しているときに、ブログ読者(学生や研究者)が訪ねてきたり。そのときの話も本書に収録しています。
失敗談が多いので実用には遠いかと思いきや……著者が身をもって体験することで得た数々の知見は、これから海外留学に関わる人々に有用な示唆を与えてくれるように思います。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- ガンオタ教授のイギリス留学漂流記
- 著者:木野 仁
- 価格:280円
- 読了にかかる時間:約2.5時間(個人差があります)
「ガンダムネタ」度 ★★★★☆(4) 「留学ノウハウ」度 ★★★★☆(4) 「満足」度 ★★★★☆(4) 「総合」 ★★★★☆(4)
著者について
木野仁さん。『きの・ひとし』と読みます。巻末の著者紹介によれば、地方の小規模私立大学の工学部に所属している教授。工学博士。好きなモビルスーツはグフ、グフカスタム、イフリート改。
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