こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・つまずきにより、不登校の末に高校中退
・のちに、大検を取得。留年しながらも大学を卒業した
・現在34歳。『視線恐怖』に耐えながらも管理職として勤務する日々
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・つまずきにより、不登校の末に高校中退
・のちに、大検を取得。留年しながらも大学を卒業した
・現在34歳。『視線恐怖』に耐えながらも管理職として勤務する日々
(上)精神不満足 [Kindle版]
臥薪嘗胆(だんけ) (著)
(下)精神不満足 [Kindle版]
臥薪嘗胆(だんけ) (著)
思いもよらなかった症状が発症していました。 それは自分自身ですら理解に苦しむものであり、日常をことごとく苦しめるものでした。
社会恐怖(視線(脇見)恐怖、対人恐怖)、社会不安障害を患ってしまった一人の人生を包み隠すことなく綴っています。
信じるか信じないか、言えるのは紛れもなく事実の話だということです。 この身に起きた全てを書きました。
精神の世界に彷徨い込んでしまった記録。ノンフィクション。 日常生活をこなすことが困難になってしまった人の記録です。
※上巻 総文字数 およそ8万字
※下巻 総文字数 およそ9万字
※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。
不登校をもたらした謎の症状
現在34歳の著者は、社会不安障害の一種である『視線恐怖』という症状に苦しみながら会社勤めをしています。
いまの職は、さまざまな苦難を乗り越えて、ようやく掴みとったものです。著者にとっては、27歳にしてはじめての正規雇用でした。
高校中退、大検取得、一浪、留年、アルバイト生活、母の死、不誠実な精神科医たちの仕打ち、リーマンショックで投資損失、アルコール依存症、父との和解など━━。
本書は、五体満足でありながら『精神不満足』な著者による、自伝的ノンフィクションです。
身構える必要はありません。
この手の文章にありがちな自己愛に満ちた記述や被害妄想にとらわれた泣き言や恨み言は、まったく見られないからです。
恥をかかされた事、悔しかったこと、愚かだったこと。自分を良く見せようとせずに、されど読者が顔をしかめるような露悪的な内容にならないよう、慎重に言葉をえらんで34年間の人生を振り返っています。
本書には、耳を傾ける価値があります
著者は、責任感の強い人物です。強度の対人恐怖症を抱えながらも、ニートになるという発想はせず、社会生活から逃げずに、学び、そして働き続けてきたからです。
視線恐怖症とは?
著者の場合は。真横や正面にいる人間の視線が気になってしまい、自分の意思にかかわらず相手と目を合わせつづけてしまう。すると━━その相手が迷惑そうな仕草をする、それが怖い。という症状です。
脇見恐怖ともいわれる、対人恐怖症の一種です。ただし、自動車教習のときには症状があらわれなかったといいます。(のちに、著者は普通自動車免許の取得に成功しています)
このように。肉体に症状があらわれる疾患にくらべて、客観的な証明が難しい。そもそも精神科医ですら、まともに理解を示してくれる人が少なかったそうです。
本編中においても、著者ご自身が何度も説明していますが━━どれだけ言葉を尽くしても、他者からみれば納得しがたい症状なのです。
どれ程の拷問か、極端に言えば満員電車で目の前二、三センチで目を閉じてはいけないという条件の下で見つめ合って目的地まで行かないといけないと思って下さい。顔をそらしてはルール違反です。
『精神不満足』から引用。以下おなじ
母との別れ
原因不明の症状がもたらした最初の不幸は……不登校、そして高校中退です。
高校進学後。1年生の教室には小中時代の友達がおらず、だからといって新しい友達を作ることができなかった。太ったカラダでは部活動に馴染めず、すぐに辞めてしまいます。
こうして。夏休みがすぎた2学期には、本格的な不登校がはじまります。家にひきこもりがちになりました。
著者は、高校を中退します。しかし、その数カ月後に大検を取得するメドを立ててしまいます。もともと頭は良かったようです。一浪したものの、大学に進学したあと5年で卒業しています。
唯一の楽しみは、毎週月曜日に発売される週刊少年ジャンプでした。中学に上がる頃には毎週欠かさず読んでいました。
外に出て自分で買いに行く勇気がなく、母親に代わりに買いに頼んだことがありました。
(中略)「はい、これね」と手渡されたものを見てとても怒ってしまいました。見た目、何か分厚いな、と違和感を覚えていましたが、まさか間違って月刊ジャンプを買ってくるとは思いもしなかったのです。
(中略)母親の謝る姿を思い出すと申し訳ないと思います。
著者が不登校だった時代のエピソードです。
このお母さんは著者が27歳のときに帰らぬ人となります。こたつで寝ていたと思っていたら、突然死していたのです。
この出来事は、著者を奮起させました。
心療内科へ通院しながらも、就職活動をおこなって、現在の職場に勤めはじめます。それまではアルバイト暮らしでしたが、ようやく正規雇用を得ることができました。
感想
さきほど著者は誠実な人間だと書きましたが、そうでない部分もあります。
この著者は、病気とは関係なく━━人並みに賢く、人並みに愚かです。リーマンショック前にはじめた株式投資で大損します。損を取り返すために、家族のカネにまで手をだして、カードローンにまで頼って、さらに損失を増やしました。
でも、にんげんだもの。そういうこともあるでしょう。
ちなみに。著者は、人よりも少しだけ薄毛であり、人よりもかなり汗っかきです。ただし、これらは視線恐怖にまつわる症状なので、からかうのはやめておきます。
とはいえ、それらを本編において自虐的ユーモアあふれる文章で綴っており、読んでいて面白かったです。
いずれにせよ。冷静な筆致によって客観的かつ整然とした文章を、上下巻あわせて17万字あまり書いた実績は━━賢明さと、強いバイタリティを証明しています。
著者はこれからも、きっと様々な困難を乗り越えていくのではないでしょうか。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- 精神不満足
- 著者:臥薪嘗胆(だんけ)
- 価格:上下巻・各324円
- 読了にかかる時間:合計 約3.5時間(個人差があります)
「好感がもてる自伝」度 ★★★★★(5) 「精神疾患の闘病記」度 ★★★★☆(4) 「満足」度 ★★★★☆(4) 「総合」 ★★★★☆(4)
著者について
臥薪嘗胆(だんけ)さん(@gashinsyoutan_1)。『がしんしょうたん・だんけ』と読みます。30代の社会人7年目のサラリーマン。
あわせて読みたい
グッドライフ高崎望 [Kindle版]
牛野小雪 (著)
出版: 牛野小雪; 3版 (2014/3/28)
【参考レビュー】
髪型をリーゼントにしたら人生変わった!不登校男子の青春小説『グッドライフ高崎望』
本書のパラレルワールドではないかと思ってしまうほど、同時代性が強い小説です。
『グッドライフ高崎望』は、中学時代に不登校だった少年が、高校デビューに成功する青春小説。
『精神不満足』は、中学時代には友達が多かった少年が、高校デビューに失敗して、その後の人生に苦しむ実話。
これら2タイトルの刊行が、2014年3月というおなじ時期のKDPでおこなわれたことは、ちょっとした神様のイタズラだと思っています。いずれも力作なので、ぜひ手にとってくみてください。
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