こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・第二次世界大戦をもとにした架空戦記ファンタジー
・戦闘機パイロットは魔導騎士
・千里眼(レーダー)の少女を後部座席に乗せて共にたたかう

マイアと銀の翼: シルバー・ウィング(改)マイアと銀の翼: シルバー・ウィング(改) [Kindle版]
神野 淳一 (著), 片貝 文洋 (イラスト)

魔法が消えつつある──我々が知る世界と異なる1940年英国。バトルオブブリテンと呼ばれる大航空戦を舞台に騎士の少年と魔法使いの少女が双胴戦闘機P38Dを駆り、祖国を守る闘いに赴く。

彼らの任務は、配備の遅れるレーダー網を補うため、王立空軍の『眼』として高々度から第三帝国空軍の動向を探る事。二人は少しずつ距離を縮め、互いを大切に想うようになる。

今風のライトノベルというよりも、もっと昔の、ソノラマ文庫とかで出ていた方が、しっくりくるような、架空の世界とフィクションの設定を盛り込んだ青春小説──だと思います。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

リアルな描写と空中戦


本書『マイアと銀の翼: シルバー・ウィング(改)』は、架空戦記に魔法ファンタジーの要素を加えた小説です。

世界観は、魔導騎士が双発プロペラ戦闘機を駆使してたたかう第二次世界大戦━━当時のイギリス空軍とドイツ空軍におけるエースパイロット同士の空中戦をあざやかに描いています。

あらすじ


時は1940年代、第二次世界大戦が勃発。ドーバー海峡を越えて、ナチスドイツによるイギリス本土への空襲はますます激しくなりつつあった。

史実とはすこし異なり、内燃機関ならぬ『魔導機関』をあやつるパイロットが活躍していた。

魔導機関、すなわちマナを動力源とする航空用エンジンは、それまで戦場の空を支配していた飛竜騎兵に対抗するために開発された。
(中略)
魔導機関と比べると内燃機関の馬力は低かったが、量産性や取り扱いの簡便さは兵器としての要求を満たした。

マイアと銀の翼: シルバー・ウィング(改)』から引用。以下おなじ

魔導騎士=ニュータイプ。魔導機関の戦闘機=ガンダム。内燃機関の戦闘機=ザク。このように置き換えれば、読み進めるのが楽になります。(シャア……というよりもランバ・ラルみたいなライバルキャラも登場します)

魔法の力とその記憶が世界から消え去りつつある今、魔導機関は以前よりも更に希少な存在となった。

しかし今もその絶大な力は変わらず、魔導機関を積んだ機体は、内燃機関を積んだ機体より遥かに高い性能を発揮している。

そしてその特別な鋼の翼を駆る者を未だに騎士と呼んでいるのだ。

魔導騎士であるゼロ・ランスーン・ホーカー少尉は、撃墜王ともいえる活躍をしていたにもかかわらず━━高々度偵察任務への配置転換を命じられる。

これは━━内燃機関のプロペラ戦闘機では到達できない高度1万メートル以上から、相次ぐドイツ軍機の空襲を事前に察知するために必要な任務だった。

ゼロは双発(2個の魔導機関)プロペラ機『P38D改』を操縦して、複座の後部座席に乗せた『青竜眼(レーダーと同等性能)』をそなえた14歳の少女兵士━━マイア軍曹とともに、はげしい空中戦をくりかえしていく。

魔導騎士であるゼロ少尉があやつるP38D改は、個体としては優れているものの、けっして戦争全体には大きな影響を与えられない。
本人たちも強い倫理観の持ち主であり、魔法を使えるからといって圧倒的にはならずゲームバランスを意識したストーリー展開なので、最後の最後まで戦いの決着から目が離せません。

魔法が衰退しつつあるなか、絶滅危惧種としての『魔導騎士』をまっとうするゼロ少尉の生きざま。ふたつの魔眼(『青竜眼&秘められたチカラ)の使い手で竜人の末裔である少女マイアが、愛する故国やゼロ少尉を救うために、その能力を限界までもちいたときに起きる悲劇が━━本書のみどころです。

解説


本書『マイアと銀の翼』は、2003年にリリースした『シルバー・ウィング (電撃文庫)』を改題して、著者みずから電子書籍化したものです。

silver_wing_01

当時の文庫本(画像ひだり側。右側はデビュー作)

今回の電子書籍化にあたって大幅改稿しています。旧版に比べて、史実をもとにした架空戦記の色合いが濃くなりました。(イラストレーターも異なります)

たとえば━━旧版における敵国は『帝国』という表記ですが、新版では『ドイツ第三帝国』に変更しています。ヒトラー率いるナチスドイツのことです。
主人公たちの所属も、旧版では『ウェストランド王立空軍』→新版では『イギリス王立空軍』。

ほかにも、旧版におけるプロペラ戦闘機はすべて架空の機種名だったのに対して、新版では実在する機種名に置きかわっています。
ゼロとマイアが搭乗する双発戦闘機は、旧版では『F38D改』という名称でしたが、新版では『P38D改』(ロッキード社開発の実在する機体のエンジンを魔導機関に換装したもの)になりました。

━━と、このように。リメイクするにあたって、いっそう軍事マニアがよろこぶ内容へと生まれ変わりました。著者いわく『戦闘妖精・雪風』に触発されたところもあるようです。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)


「架空戦記」度
★★★★☆(4)
「エンタメ」度
★★★★☆(4)
「マニア満足」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★☆(4)


著者について


神野 淳一さん。『かみの・じゅんいち』と読む。1971年生まれ。明治大学SF研出身。2002年、第9回電撃ゲーム小説大賞選考委員奨励賞を「シルフィ・ナイト」で受賞。2003年、同作で作家デビュー。
著書に『機動戦士Zガンダム外伝 ADVANCE OF Z』などがある。

片貝 文洋さん(@fumihilo)。『かたがい・ふみひろ』と読みます。メカニカルデザイナー。『シャングリ・ラ 』『トワノクオン 』『超速変形ジャイロゼッター 』など。

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