こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。

ざっくり言うと


・進学せずに『スイカ』になることを決意した少女
・待ち受けていたのは、残酷でうつくしい結末
・あなたはスイカを(タネごと)愛せますか?

メロンだったら良かったのかもしれないメロンだったら良かったのかもしれない
水池亘(著)
出版: 淡く眠る猫 (2014-07-09)

 一年ぶりに会った彼女はスイカになっていた。
「見て見て、ゆーくん。私、美味しそうでしょ?」
 緑色に輝く彼女の姿を見て、僕は自分の間違いを思い知らされた。
 人は、なろうと思えば何にだってなれるのだ。

スイカになった幼なじみと僕の、ある夏の日々について描いた作品です。 泣きたい人/笑いたい人/奇妙な小説が読みたい人におすすめです。

※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。

スイカになった幼なじみ


本書『メロンだったら良かったのかもしれない』は、スイカになってしまった幼なじみの女の子と高校生男子による、甘くせつないラブストーリーです。

スイカ少女の話なのに、なぜ『メロン』なのかを含めて、物語を最後まで読めば理解できることを完全に保証します。
何を言ってるのかわからないと思いますが、興味をもっていただくために、長めの『あらすじ』を用意しました。ご覧ください。

あらすじ


高校進学をひかえた中3の春。主人公の『ゆーくん』は、幼なじみの夏川詩織から「卒業後、スイカになる」つもりであることを打ち明けられる。

「高校に行かないで、私、スイカになります」

メロンだったら良かったのかもしれない』から引用。以下おなじ

進路相談でも、きっぱりと断言した詩織の意思はかたい。

これはウケ狙いでもなければ、メンタルのヘルスがアレなわけでもない。宣言どおり━━1年後、ゆーくんの前にスイカになった詩織があらわれる。

フレッシュなスイカである詩織は、きたるべき出荷をひかえて『常に10℃に保たれている部屋』から出られない。

「ゆーくんはどうしてるの、今」
「普通に高校生やってるよ」
「普通?」

 彼女が丸い体を少し転がす。たぶん、首をかしげたつもりなのだと思う。

ひさしぶりに顔をあわせたふたり。詩織とことばを交わすなかで、ゆーくんは知ることになる。

スイカの賞味期限は、収穫から二週間程度だという。
それを過ぎると、品質がどんどん劣化していく。

フルーツには、おいしく食べられる期限━━鮮度がある。ヒトに言いかえるなら、それは寿命。

今生の別れが近いことを悟ったとき。鈍感なゆーくんは、いままで単なる幼なじみにすぎなかった詩織の想いに気がつく。

出荷の日。リュックサックを背負うゆーくんの姿があった。その中には、やわらかなタオルと保冷剤に包まれた一個のスイカが納まっている。

「詩織、僕が見えるか?」
「見えるよー」
「痛くないか?」
「うん。ちょっとくすぐったいけど」
「ごめん、我慢して。暑かったりはしないね?」
「少しだけ。でも、大丈夫だよ」

おなじ年齢の少女たちに比べれば、詩織の体重はずいぶんと軽くなっていた。実がぎっしりと詰まっているとはいえ、スイカなのだから仕方がない。

たどりついた砂浜で語り合うふたり。笑いあって別れたあと━━ゆーくんのもとに1通の手紙が届く。
ゆーくんにとって、目をそむけたくなるような事実がつづられていた。

衝撃のラスト。本書タイトルが秘めている真実を知った読者は、きっと感情のたかぶりを抑えることができず、おもわず肩をプルプルと震わせることになる━━。

美織はレモンに。詩織はスイカに。


あらすじを書いていて、おもわず目がうるんでしまった……。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン!!

本書『メロンだったら良かったのかもしれない』は、おバカなユーモア小説と見せかけて━━不治の病をあつかったラブストーリーのパロディです。

わかりやすいのは『スイカの賞味期限は2週間程度』で、これは余命。さらに、詩織がすごす『常に10℃に保たれている部屋』は、すなわち無菌室。急性白血病をあつかった物語ではおなじみの場所です。

出荷のために、海のそばにある八百屋へ向かうふたり。女の子を「背にした」男の子が自転車をこぐ。
クライマックスにいたっては、波打ち際の砂浜で思いをぶつけあいます。セカチュー! ピカチュー!(とはいえ、わたしが想起したのは『AIR』ですが……。またアニメが観たくなりました)

「スイカになりたい」━━途方もない望みですが、2014年現在に生きるわたしたちにとって、さほど驚きを感じるものではないかもしれません。

なぜなら。わが国においては「フレッシュレモンになりたいの。」でおなじみ、AKB48市川美織さんの存在があるからです。
読んでいる最中に気づいてしまい、すべてのセリフがレモンちゃんの声で脳内再生されました(笑) 『世にも奇妙な物語』などで実写化、あるいはアニメ化の際にはオファーをよろしくお願いします。

Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)


「泣けるストーリー」度
★★★★☆(4)
「萌えの限界突破」度
★★★★★(5)
「満足」度
★★★★★(5)
「総合」
★★★★☆(4)

著者について


水池亘さん(@mizuikewataru)。『みずいけ・わたる』と読みます。電撃小説大賞3次選考通過など、多数投稿歴あり。
同人活動の成果として『極私的この4コマがすごい 2009~2011』や『きらら系4コマレビュー120』などもKindleストアで好評発売中。

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コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. たき
    • 2014年07月20日 08:21
    • 気になって読みました。
      確かに、メロンだったら良かったのに…。
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