こんにちは!
つんどく速報ライター☆イマガワです。
・さかなクンさんに匹敵する知識をもつ死神美少年のミステリー小説
・メフィスト賞作品『THANATOSシリーズ』の副読本
・著者が手作りした同人誌を電子書籍化したもの
つんどく速報ライター☆イマガワです。
ざっくり言うと
・さかなクンさんに匹敵する知識をもつ死神美少年のミステリー小説
・メフィスト賞作品『THANATOSシリーズ』の副読本
・著者が手作りした同人誌を電子書籍化したもの
アリス入城(THANATOS水槽読本より)
汀こるもの(著)
出版: 汀こるもの (2013-12-08)
あの伝説の同人誌、『THANATOS水槽読本』の小説部分です。
『アリス入城』『ある夜のリドル』の2編。設定資料部分はもうしばしお待ち下さい
※製品版は、タテ書きです。下記プレビューはPC向けです。
メフィスト賞作品の副読本
本書『アリス入城(THANATOS水槽読本より)』は、メフィスト賞を受賞した『THANATOSシリーズ』の前日譚ともいえる長編小説などを収録しています。
表題作である『アリス入城』の内容は━━おなじみ高槻刑事が、死神(タナトス)こと立花美樹の護衛任務についたばかりの頃に、さっそく殺人事件に巻き込まれます。
ほかにも、シリーズ本編に登場する高槻や双子にまつわるアレコレ明らかにされています。いわば副読本であり『THANATOSシリーズ』の読者には、うってつけの1冊です。
2014年7月現在において既刊8巻をかぞえる人気シリーズですが、第37回メフィスト賞作品であり第1作『パラダイス・クローズド THANATOS 』を読んだことがあるのなら、十分に本書を楽しむことができます。
THANATOSシリーズとは?
一口で言いあらわすならば、美少年のさかなクンが主役の本格ミステリです。
※表紙イラストは、猛毒の持ち主であるヒョウモンダコ
イカれた設定&メフィスト賞という出自でもわかるとおり、ジャンルは脱格あるいはメタミステリ寄り。しかしながら、登場人物たちのキャラ立ちが著しく、すぐれた娯楽性をあわせもっています。でなければ、シリーズ既刊8巻も続くはずがない。
立花美樹(たちばな・よしき)は、水棲生物が大好きな美少年。精神疾患をわずらっており、小学生のころから自宅に引きこもりがちだ。
美樹は16歳にして、東京海洋大学客員准教授ことさかなクン(敬称略)に匹敵する知識を有するが━━彼には死神(タナトス)という別の一面があった。
犬も歩けば棒に当たる。美樹が歩けば人が死ぬ。
魚好きの美少年が出歩けば、飛び降り自殺や交通事故にかならず遭遇する。見知らぬ他人だけならば良いのだが、この死神体質が原因で……美樹は、お母さん・おじいちゃん・おばあちゃんを亡くしていた。
大きな邸宅でさみしく暮らしているのはその事件がきっかけであり、現役代議士である実の父親は、我が子の呪われた体質を恐れるあまり会おうともしない。
じつをいうと、美樹は一卵性双生児の兄であり、真樹(まさき)という顔がうりふたつの弟がいる。もちろん美少年。
精神疾患をかかえる兄とは違い、ふつうの16歳らしく見えるが━━真樹は、超高校生級の探偵だ。死神体質である双子の兄と行動を共にしているので、しょっちゅう死体と遭遇する。
つまり、日常的に第1発見者にならざるをえない。事故現場だけでなく、殺人現場にも居合わせることになる。「門前の小僧習わぬ経を読む」━━双子の弟である真樹は、若くしてベテラン刑事をも凌駕する捜査能力を身につけてしまった。一般市民でありながら、監察医務院の直通番号をそらんじることができるくらいに。
双子たちは、はじめのうちは重要参考人として警察に疑われていた。しかし、双子の兄・美樹の死神体質を理解し始めた警視庁は「どうせ人が死ぬなら、つねに刑事に護衛させておけば通報とかの手間が省ける」という方針に転換した。
『THANATOSシリーズ』の語り手でありワトソン役は、高槻彰彦(たかつき・あきひこ)という捜査一課の刑事だ。彼は、8人目と呼ばれている。
リピート・アフター・ミー。「美樹が歩けば人が死ぬ」
美少年のさかなクンに付き添っている警察官も例外ではなかった。いままで7人の屈強な刑事たちが原因不明の死を遂げている。ゆえに、人柱(ひとばしら)。死神(タナトス)効果を測定するための実験動物(モルモット)あつかい。
アリス入城
本書『アリス入城(THANATOS水槽読本より)』に収録している長編小説は、8人目の人柱こと高槻が、死神体質の双子と出会うことになったエピソードを収録しています。
「アリス」というのは、ミステリ読者にはおなじみ『鏡の国のアリス』です。高槻や死神美少年たちが遭遇する連続殺人の現場に、作品の一節を記したカードが残されています。
「入城」は、チェスにおけるキャスリングを指しています。ロジックと先読みを競うボードゲーム用語は、本格ミステリにふさわしい要素です。
本書では、愛すべき高槻刑事のデビューを堪能することができます。のちに、シリーズ1作目『パラダイス・クローズド』において、双子を警護して孤島の館に行ったもののやっぱり殺人事件に巻きこまれることになる同情すべき人柱さんの初々しい反応をお楽しみください。
同人誌の電子書籍化
本書は電子書籍バージョンですが━━もとは印刷所を経ている同人誌であり、著者の『汀こるもの』さんが自主製作して、文学フリマやコミケなどの同人誌即売イベントで配布していました。(参照リンク)
講談社ノベルスではおなじみ『辰巳四郎』デザインへのオマージュにあふれた装丁が素晴らしい。
今回ご紹介するのはAmazonのKindleストアで購入できるものですが━━著者が直売しているPDF版もあります。
【Gumroad 販売ページ】
THANATOS水槽読本 700円
Kindle版には収録されていない『人物・設定資料集』や『作中建築物の図面』などデータを含む、いわば完全版です。特典付きではありますが、大型タブレットなどお手持ちの環境にあわせての購入をおすすめします。
Kindleストアでサンプルが無料で読めます。お試しください。(スマートフォン、タブレットでもOK)
- アリス入城(THANATOS水槽読本より)
- 著者:汀こるもの
- 価格:500円
- 読了にかかる時間:約2時間(個人差があります)
「お魚ウンチク」度 ★★★★★(5) 「マジキチ」度 ★★★★☆(4) 「満足」度 ★★★★★(5) 「総合」 ★★★★☆(4)
著者について
汀こるものさん(@korumono)。『みぎわ・こるもの』と読みます。1977年生まれ。『パラダイス・クローズド THANATOS』で第37回メフィスト賞を受賞しデビュー。
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